2025.05.03NTTリーグワン2024-25 D2 第13節レポート(RH大阪 35-21 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月2日(金)19:00 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 35-21 日本製鉄釜石シーウェイブス

ホストゲーム最終戦で原点回帰。RH大阪は得た手ごたえを携え、最後まで一丸で準備していく

レッドハリケーンズ大阪は、日本製鉄釜石シーウェイブスに勝利。ホストゲーム最終戦をいいかたちで締め括ることができた

レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)と日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)の一戦は、後半の立ち上がりには、釜石SWが3点差にまで詰め寄ったが、RH大阪は西川賢哉のリーグワン初トライを含む二本のトライと山口泰輝のキックで突き放し、35対21で勝利した。

この結果により、最終節を待たずに両者の順位も決まった。RH大阪は4位となり、ディビジョン1とディビジョン3いずれかとの入替戦には回らず、次節が今季最後の試合となる。釜石SWは8位で、入替戦では、D3優勝チームと対戦することが確定した。

この日、RH大阪はシーズン序盤の連勝中に見せていた安定したセットピースとコリジョンでの粘り強さを発揮し、7試合ぶりの勝利をつかんだ。連敗中には、「個人としても、フロントローやバックファイブとしても、一貫性がなく、チームが負けていく中で徐々に崩れていく」感覚もあったと、坂本洋道が振り返っている。開幕から首位に立つ時間が長かったからこそ、黒星を増やすに伴って、胸の内にある焦燥感が漏れ出るようなシーンも垣間見えるようになっていた。

それは、フォワードの選手に限らない。試合前日に急遽メンバー入りし、釜石SWとの前回対戦だった第7節に先発してから出場機会がなかった西川は、前回対戦では「『トライを取らないと……』という焦りがあった」と振り返っている。当時は、今節でD2初優勝を決めた豊田自動織機シャトルズ愛知に勝ち点1差で追われ続けており、勝てなければ首位で折り返せない状況に置かれていた。RH大阪は、チーム再編後にD3から再スタートし、首位の立場を僅差で追い続けられる経験がなかった。焦りを感じるのも無理はない。

ただ、今節のホストゲーム最終戦には、4,172名の観客が駆け付けた。ヨドコウ桜スタジアムはグラウンドと観客席の距離が近く、声援もよく響く。恥ずかしい試合はできない。僅差に詰め寄られても、焦ることなくひたむきに一貫性を保って、ホストタウンの人たちとともに喜び合える結果をつかんだ。

「この1週間は、チームが掲げている『タフ・規律・絆』を体現するために、全員で修正することができた。トレーニングで試合に出るメンバーの相手をしてくれるチームメートがしっかり練習をさせてくれたからこそ、結果を出せたと感じている」(坂本)

原点回帰したRH大阪は、この試合で得た手ごたえを携え、今季最後の試合に向けてチーム一丸となって準備していく。

(前田カオリ)

レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪の松川功ヘッドコーチ(左)、杉下暢キャプテン

レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ

「開催にあたりまして、協会の皆さま、レフリーの皆さま、ありがとうございました。また、ナイトゲームにも関わらず、4,000人を超える多くのファンの皆さま、大阪市民の皆さまに来ていただき、われわれのラグビー、パフォーマンスを観ていただくことができ、本当に良かったです。敗戦がかなり続いた中で残りの2試合、そして今節をどういった形のゲームにするかにフォーカスしたとき、もう一度原点に立ち返り、自分たちのベースであるセットピースとコリジョンでしっかり勝負するということをテーマにして臨みました。それらの点がゲームを作り、われわれのペースにもってくることができた要因だと感じています。やはり勝利は良いものだとは思いますが、シーズン自体はまだ続いています。今季をどのような形で締めくくるのか、次のシーズンに向けてどういう形で終わるのか、そういうことに来週はチャレンジし、シーズンを終えたいと思っております。今回勝てたことは、非常に良かったです。ありがとうございました」

──直近の数試合ではセットピースが少しかみ合わないような場面もありましたが、今日は連勝を重ねていたころと同じような印象がありました。改善できた要因を教えてください。

「われわれのできることが、今回は再現できたと思います。今週は、練習中のゲームメンバーとゲームに出られないメンバーの強度がとても良い状態でした。フォワードの選手たちも、チーム全体としても、セットピース自体には自信をもっています。連敗していたときは、どうしても取り戻そうという気持ちが出てしまっていて、少し前進できたときに少しバラつくようなところがありました。気持ちとともに、自分たちがしなければいけないことをしっかり見つめ直し、練習から積み上げてきました。それが、シーズン当初のようなセットピースのクオリティーを作れた要因ではないかと思っています」

──大きな声援が響くホストゲーム最終戦となりましたが、どのように感じましたか。

「シーズンが深まるごとに、会場に来てくださる方たちの数も増えてきたと思います。今回のナイトゲームも、なかなか来てもらいにくいような環境ではありましたが、4,172人の方が駆け付けてくれ、本当に感謝しています。われわれのラグビーや区民アンバサダーの活動などによって、多くの方とのつながりが少し近づいたものになったのではないかと思います。今日の試合では、みなさんの声援や手拍子を受けた選手たちは、しんどいところで立ち上がれたり、一歩踏み出すことができたりしていました。本当にともに戦っているという気持ちにさせてもらいました。これからも引き続き、みなさんの力も借りながら成長していきたいと考えています」

レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン

「本日は試合開催にあたり、ご協力いただきました皆さま、本当にありがとうございました。まずは、連敗を止めることができ、本当に良かったと感じています。セットピースで圧力を掛け、ディフェンスで体を張って、ワンチャンスをモノにするという、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)らしいラグビーができたと思っています。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんは、本当にパワフルな外国籍選手が多く出場していましたので、コリジョンが今日の勝負を分けるのではないかと考えていました。そのコリジョンは、今季はフルコンタクトの練習にかなり時間を割いて重ねてきましたので、われわれが成長した部分でもあります。そして、それを今日の公式戦でしっかり出すことができ、うれしく思っています。来週に対戦するNECグリーンロケッツ東葛さんも、とてもパワフルな選手が多くいますので、まずはそのコリジョンで引き続き成長を示していきたいと考えています。本日はありがとうございました」

──少し調子を落としていたセットピースが、この試合では好調でした。要因はどういうところにありますか。

「スクラムに関しては、直近2試合ほどは、ヒットで勝っていても、少し個人でいってしまうところがあって、カウンターを受けて倒されていたケースがありました。なので、まずはヒットで勝ったとしても、まとまりを崩さずにキープしていこうというマインドセットでいったことが、今日の良さにつながったのかなと思っています。ラインアウトに関しましては、今日はわれわれが相手陣に入ったとき、釜石SWさんがあまりコンテストしてきませんでしたので、プランどおりにラインアウトを組み立てることができました」

──ホストゲーム最終戦でした。何か感じたことがあれば教えてください。

「チームの再編から3年目のシーズンでしたが、年々応援してくださる方が増えていることを感じています。本当にうれしいです。試合後にスタジアムを1周する際にスタンドを見て、何度か来てくださっている方がいることも分かっています。そうした方たちには、今後も熱い試合をお見せし、さらにたくさんの方に来ていただけるようにピッチ外での活動にも引き続き取り組んでいきます」

日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(左)、村上陽平キャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ

「本日は、素晴らしいスタジアムで素晴らしいサポーターの皆さまの前でラグビーができたことを非常に光栄に思います。われわれとしても素晴らしい体験ができたと感じています。入替戦に向けて、どうしても勝ちたいゲームでした。ゲームの入りも悪くはなかったと思いますが、(スコアを)取り切るところ、しっかり流れをもってくるというところは、RH大阪さんのほうが粘り強かったと思います。そこからなかなか立て直せなかったところが大きかったです。とはいえ、レギュラーシーズンはあと1試合ありますので、そこに向けてもう一度切り替えて、しっかり勝って入替戦に臨めるようにしていきます。本日はありがとうございました」

──流れを引き寄せ切れなかった原因はどこにありましたか。

「村上(陽平)キャプテンが話したとおり、“ステイ・オン”をやり切れなかったところは、はっきり言うと気持ちの弱さだと思います。全員ではなくて、誰か一人、誰か二人、そういったことだと思います。チームとして切らさないということを徹底していかないと、同じことが入替戦でも起きると思います。そこはしっかりいまのうちにつぶしておきたいです。もちろんRH大阪さんの粘り強いディフェンスもありましたが、そこももう少し勢いを付けられるアタックへと改善しなければならないと感じています。早く起き上がって、早く準備するということだけだと思うので、シンプルな部分をしっかりやり続けるということがキーになってくると思います」

──次節に向けて、あらためてお気持ちを聞かせてください。

「入替戦には、勢いを保ったまま突入したいと考えています。来週のゲームに限ったことではなく、われわれは常に勝利を目指していますが、これまでは結果が付いてきていない部分もありました。次節はなんとしても勝って、入替戦に臨みたいと強く思っています」

日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン

「立ち上がりに敵陣に入ってチャンスの場面が何度かありましたが、そこでスコアできなかったのがかなり痛かった印象です。RH大阪さんの規律をしっかり守ってくるディフェンスに対して、こちらはなかなかモメンタムを生むことができませんでした。ただ、課題は明確だと思うので、そこを次、いかにアプローチを変えていくかというところが大事だと思うので、チャンスで必ず取り切るということは全員がしっかり頭に入れて、チャンスのときには必ず3点でもスコアをして帰るということが重要だとあらためて思い知らされました。前半はディフェンスのところはルーズボールなどがありましたが、そこに対して若干集中が切れ、コネクトが切れてしまっていました。チームとしては、今日のテーマに“ステイ・オン”、(集中を)常に切らさない、オンし続けるということを掲げ、臨みましたが、そこが遂行できませんでした。なかなか声がとおりづらい環境でしたが、そういうときにこそ指示待ちにならず、いかに自発的に一人ひとりが動けるかということが重要です。練習でしか改善できないので、しっかりリーダーとしてアプローチし続けなければいけない、チームを引っ張っていかなければいけないと感じています」

──相手陣に迫りながらもスコアが取り切れなかった原因は、どういったところにありましたか。

「RH大阪さんから見れば、今日の釜石SWは守りやすかったと思います。キャリアーがキャリーしかしてこないだろうと感じさせてしまいました。一人ひとりが全然オプションに慣れておらず、なおかつ、ブレイクダウンのところもすぐ捨てられて掃き切れず、しっかりディフェンダーをスマッシュできませんでした。基本中の基本ですが、やはりそこを徹底しないと絶対に得点は見えてこないと思うので、そこは引き続き、練習でしっかり改善できるようアプローチしていきます」

──ヘッドコーチから、「気持ち」の話も出ました。キャプテンとして、その部分を高めていくためどのようにチームに働き掛けていきたいですか。

「試合中は、やはり声を掛け続けるしかないと思っています。試合中は、しっかり声を掛け続け、リーダーが率先してやり続ける。また、それも練習でのことが絶対に出てくるかと思うので、普段の練習がどれだけ試合に影響するかというところを一人ひとりが認識し、取り組んでいかなければいけません。リーダーとして引っ張っていきます」

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