2024.12.30NTTリーグワン2024-25 D3 第2節レポート(狭山RG 27-31 SA広島)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第2節
2024年12月29日(日)12:00 JIT リサイクルインク スタジアム (山梨県)
狭山セコムラガッツ 27-31 マツダスカイアクティブズ広島

一時は19点差を逆転。粘りの反撃に貢献した初出場選手たち

セブンズ日本代表の活動から戻ってきた狭山セコムラガッツの野口宜裕選手は3年ぶりの公式戦出場となった

開幕2連勝を懸けた狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)とマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)の一戦。序盤はSA広島のワンサイドゲームとなったが、その後は狭山RGが反撃。前半を17対24で折り返すと、後半も立ち上がりからペースを握って同24分に逆転に成功する。それでもSA広島は残り7分で再逆転に成功して、31対27で勝利を収めた。

あと一歩のところで勝利を逃した狭山RGだが、開幕戦から先発3人を変更。中でも注目されたのが、助田凌雅と野口宜裕の二人だ。

卓越したタックル技術を誇る助田は、SA広島の強力フォワード陣に仕事をさせないという役割を担った。「相手の外国人フォワードは、縦の動きが強いので、しっかり止めてほしいと指示を受けました。しかし、立ち上がりに得点を与えてしまったこともあり、自分としても満足のいくプレーを見せられなかった」と反省を口にする。自ら、「一番の持ち味はタックル」と胸を張る助田。だからこそ、「もう一度体を作り直して、タックルの技術もさらに磨き、チームに貢献できる存在になりたい」と、前を向くコメントを残した。

一方の野口宜裕は、7人制日本代表としてパリ五輪に出場した韋駄天。中学までサッカーをプレーして培ったスピードをラグビーでも生かし、この試合でも反撃の口火を切るトライを決めてみせた。

「後半のプレーが前半の立ち上がりからできていれば、勝てた試合だった。反省点もあるけど、追い付いてリードする場面も作れたのは、成長できた部分かなと思います」

ここ数年は7人制日本代表の試合を重視しており、チームの公式戦に出場したのは3年ぶり。「まだまだフィットしていない部分も多かったですし、いろいろと勉強をしながら、成長を続けていきたい」と力を込めた。

スコット・ピアス ヘッドコーチが「とにかくチームの底上げが大事」と語る今季。リーグワン参入1年目でのディビジョン2昇格を達成するためには、助田や野口宜裕のように個性ある選手たちの活躍が欠かせない。敗れはしたが、開幕戦でメンバー外だった選手がチーム力アップにつながる経験を積めたことは、今後につながるはずだ。

(松野友克)

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(右)、髙島理久也ゲームキャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「前半、後半を区切るなら(それぞれの)パフォーマンスは全然違うものになりました。後半は僕たちのミスが多く、前半は相手のコラプシングが数回ありました。でも、前を向かなければいけない。このゲームから学ぶことは多いと思います。このレベルで試合をして、ミスの部分をなくせば、結果は出るはず。あとは精度かな。試合前の準備とスタートに関しては、(前節と比べて)変わっていました。その影響があったかどうかは分からないが、最初の20分で相手は19点を取っていました。その後も相手のチャンスはあったので、試合を見ながら30点ぐらい取られるんじゃないかと思っていました。それでも、点差を詰めて前半を終えられたのはラッキーでした。

後半は、僕たちにチャンスがいっぱいあったけれど、差はわずかでした。今季、こういう試合はすごく多くなると思います。それでも今季は同じ相手と3回対戦があるので、もっと前を見なければいけない。これからフォーカスすべきなのは、次の試合をどうするかです」

──粘りを見せましたが、悔しい結果となりました。攻撃力の高い相手に対して、試合前に選手に伝えた作戦など、教えていただける範囲で伺えればと思います。

「ゲームのやり方は開幕戦とほとんど一緒で、ゲームのキーの部分はあまり変わっていません。それが悪い影響につながったかどうかは分からないし、試合前の雰囲気も悪くありませんでした。最初のキックが高くなり過ぎたところはあったけれど……。

後半のフォーカスポイントは、2、3回ぐらいキャリーするとだんだん(テンポが)遅くなっていたので、そこからスペースのあるワイドを使えていませんでした。前半はその(ワイドのスペースを使う)判断ができなかった。そういう点は分かっていたけれど、プレーヤーに共有できなかったのはこちらの責任。やりながら変化させることは必要ですが、どうやってコミュニケートするかを考えていかないといけない」

──次戦は約2週間後になります。次へ向けての意気込みを聞かせてください。

「先ほどもみなさんに言いましたが、今日の試合は、ほとんど僕たちのエラーから相手に得点を与えています。いまの状態では、ディビション3のレベルに達していない。チーム力をほかのチームと均一化させることが必要です。このチームは強くなっているけれど、まだ足りない部分も多い。中でも、ブレイクダウンの部分はフォーカスしてやるつもり。あとはエリアマネジメント。今日も裏にスペースはあったけど、まったく使わなかったので、そういう点も含めていろいろと改善していきたい」

狭山セコムラガッツ
髙島理久也ゲームキャプテン

「まずは、この素晴らしい会場で試合できたことを感謝しています。ありがとうございます。

前半の入りでマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)さんの強いコンタクトを受けてしまい、後手に回ってしまいました。気持ちの部分でも少し沈んでしまって、そこで相手に勢いを与えてしまったという印象です。ただ、後半は立て直して、こちらもいいエナジーでできる場面もあって、シーソーゲームになりました。こういったリーグワンのゲームを一戦一戦勝ち切ることが大切だと、いい勉強になりました」

──前半26分にトライが決まったあと、チームの雰囲気もガラリと変わった印象が強いです。いかがでしたか。

「ボールをキープしたらスコアに結び付けられるという思いはチーム内でありました。『まずはボールをキープしていいアタックをしよう』と話し合っていました」

──スピードを生かしながら巧みにパスを展開してくる相手に、どのような対応を考えていましたか。

「前半20分までやりたいようにやらせてしまいましたが、後半の前にヘッドコーチから『一人ひとりがアグレッシブにファイトをしていこう』という話がありました。後半はそれを一人ひとりが意識して対応できたと思います」

──先ほど「いい勉強になった」という言葉もありましたが、具体的にどんなことでしょうか。

「先に3トライを許すゲームでも、その後に追い付いて一時は追い越すことができたというマインドの部分です。一人ひとりの気持ちの切り替えはできたと思うので、次のゲームでは、そういうマインドセットの部分も意識してやっていきたいです」

──次戦は約2週間後になります。次へ向けての意気込みを聞かせてください。

「相手がどういう作戦でくるかというところよりも、日々の練習の中で試合に出るメンバーも出ないメンバーも関係なく、一つひとつの練習でのチーム内の雰囲気を大事にしてレベルアップしていきたいですし、次の戦いに向けてみんなで勝負できるようにしたいです」

マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(右)、芦田朋輝キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「勝利するのはすごくいいことだと思います。狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)は非常に強いチームで、コーチもいいコーチです。今日はいい勝負になると思っていたんですが、そのとおりでした。それにいろいろと改善しなければいけないところがあります。勝利できたことはいいことですが、内容に関して満足していません」

──前半の立ち上がりから、スピードを生かした狙いどおりの展開でリードを広げられたと思います。しかし、前半20分以降は相手に押される展開になりました。相手の変化の影響か、あるいはチームの中で何かの狂いが生じたのか。

「狭山RG側の立ち位置がすごく上手にできていました。その中で圧力を掛けられ、そこでの私たちの状況判断が良くなかったです。だから状況判断の部分においては、今後、改善していかなければいけないところだと思います」

──開幕2連勝で、次節は今季最初のホストゲームを迎えることになりました。少し時間が空く中で、現状をどう改善して、次の試合に挑みたいと思いますか。

「まず、どういうふうにプレッシャーを与えるのか、自分たちの得点でプレッシャーを与るためにどうするのか。その細かい部分の状況判断や精度を改善しなければいけないと思います」

マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン

「本日はありがとうございます。自分たちが準備してきたことをなかなか出すことができませんでした。狭山RGさんはすごく圧力のあるプレーで、なかなか中盤で自分たちのラグビーができなかったのですが、最後の最後で勝ち切ることができたことは良かったと思っています」

──前半の立ち上がりは、スピードを生かした狙いどおりの展開でリードを広げられたと思います。しかし、前半20分以降は相手に押される展開になりました。相手の変化の影響か、あるいはチームの中で何かの狂いが生じたのか。

「前半のスタートは、自分たちが準備してきたことができて、得点を重ねられたのですが、前半の中盤以降は、スクラムでレフリーと自分がコミュニケーションを取れず、そこをなかなか修正ができなかったことで、押される展開になってしまったと思います」

──今日の試合ではコラプシングが多くなってしまった印象がありますが、どう感じていましたか?

「自分たちもコミュニケーションをとってやっていたのですが、なかなか(レフリーへの)印象が悪かったです。そういうところをすぐに改善していかないと、こういうゲーム展開になってしまうと感じました」

──開幕2連勝で、次節は今季最初のホストゲームを迎えることになりました。少し時間が空く中で、現状をどう改善して、次の試合に挑みたいと思いますか。

「フォワードとして、スクラムのところをもっとこだわっていかないといけません。今日は勝ち切れましたが、シーズンの中盤や終盤になっていくと、難しい状況になってくるので、そこは重点的に課題を解決していきたいと思います」

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