2025.02.24NTTリーグワン2024-25 D3 第7節レポート(LR福岡 3–57 狭山RG)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第7節
2025年2月23日(日)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 3–57 狭山セコムラガッツ

日本のラグビーに精通する敵将からの金言。九州の雄になるためにLR福岡の挑戦は続く

今シーズンからリーグワンのDIVISION 3に参入したルリーロ福岡は、開幕から7戦7敗と苦境が続く

今季からリーグワンに参戦したルリーロ福岡(以下、LR福岡)だが、地方クラブとしての厳しい戦いが続く。前回の対戦で10対58と大敗した狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)に、今節はさらに差を広げられ3対57で敗戦。これで開幕から7連敗を喫し、今季最少の3得点に終わった。試合後、豊田将万ヘッドコーチは悔しさをにじませながらも、前を向く。「プレーの完成度が低く、決め手を欠いた印象でした。しかし、たとえ3点でも5点でも確実に得点する方法を明確にし、それを徹底していきたい」。

一方で、対戦相手である狭山RGのスコット・ピアス ヘッドコーチは、LR福岡の置かれた厳しい環境を指摘する。「リーグワン1年目のチームにとって、ここでの戦いは容易ではない。日々のルーティンやチームのシステムを築くこと自体が大きな挑戦です」。狭山RGは親会社の手厚いサポートを受けており、午後3時から練習できる環境がある。しかし、LR福岡にはそのような基盤がなく、環境の差が試合結果にも表れているのだという。

ニュージーランド出身のピアス ヘッドコーチは、日新製鋼やヤマハ発動機で選手として活躍し、7人制ラグビー日本代表として2001年のラグビーワールドカップセブンズにも出場した。引退後は三菱重工相模原ダイナボアーズのヘッドコーチなどを経て、2022年から狭山RGを指揮している。日本ラグビーに精通するからこそ、LR福岡の挑戦には特別な期待を寄せている。「九州は優れたラグビー選手を輩出する地域です。現在、日本のラグビーチームは都市部に集中していますが、九州にも強豪クラブが必要でしょう。LR福岡が地域に根付き、ラグビー文化を築くことができれば、日本ラグビー全体にとって大きな財産になるでしょう」。

さらに、ピアス ヘッドコーチはLR福岡の未来について展望を語る。「強いチームを作るには時間が掛かる。3、4年のプロセスを経て、環境を整え、システムを確立すれば、企業の支援も増えてくるはずです。そして、現在リーグワンのディビジョン1で活躍する九州出身の選手たちが、いつか地元でプレーしたいと思えるようなクラブになれば、さらにチームの厚みが増すでしょう」。

LR福岡にとって、道のりは決して平坦ではない。しかし、豊田ヘッドコーチは「チームとして前を向いて進むしかありません。選手たちは日々努力を続けています。ファンのみなさんに応援し続けていただけるよう、次の試合に向けて準備をしていきます」と力強く語った。苦しい状況の中でもあきらめず、前進を続けるLR福岡。次節の戦いで、どのような進化を見せるのか。巻き返しに期待したい。

(柚野真也)

ルリーロ福岡

ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(右)、三股久典キャプテン

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ

「今日はありがとうございました。今週も引き続き、規律の部分にフォーカスし、自分たちで改善に取り組みました。その中で、ペナルティを減らすという課題に対しては、選手たちはよく意識をもってプレーしてくれたと思います。結果として、試合の中でペナルティを減らすことはできました。一方で、相手のプレースタイルに対応し切れなかった部分もありました。タックルに関しては、結果としては負けてしまいましたが、選手たちは積極的に挑みましたし、個人的にはポジティブに捉えています。試合の中で改善点が明確になったことは、次に向けての収穫です」

──試合の中で特に課題だと感じたことを教えてください。

「前半、相手にシンビン(イエローカード)が出て数的優位になった場面がありました。しかし、そのチャンスを得点に結びつける力が足りなかったのは大きな課題です。プレーの完結度が低く、最後の決め手に欠けてしまった印象でした。今後の試合では、たとえ3点でも5点でも、しっかり得点できる方法を明確にし、そこに集中して取り組んでいきたいです。少しずつでも、確実に得点を重ねることで、チームとしての自信も付いてくるはずです」

──今日のゲームプランはどういうものでしたか。それをどの程度実行できたと思いますか。

「現在の課題の一つは、相手に22mラインまで侵入された際に、平均で3点以上の失点をしてしまっていることです。そのため、まずは22mラインに入れさせないこと、そしてペナルティをしないことを徹底することが重要だと考えていました。前回の狭山セコムラガッツ戦でも、ペナルティが流れを崩す大きな要因になっていました。今回の試合では、それを改善するために規律を守ることをテーマに取り組んできましたが、結果的にうまく機能しなかった部分もありました」

──開幕から厳しい戦いが続いていますが、今後に向けての意気込みをお願いします。

「ホストゲームで、寒い中たくさんの方が応援に来てくださったにもかかわらず、勝ち点を届けることができなかったのは本当に悔しいです。ただ、チームとしては前を向いて進んでいくしかありません。まだまだ課題は多いですが、選手たちは日々努力を続けています。ファンのみなさんに応援し続けていただけるよう、しっかりと次の試合に向けて準備をしていきます」

ルリーロ福岡
三股久典キャプテン

「今日はありがとうございました。前節も負けはしましたが、次につながるポジティブなゲームだったので、アタックマインドを変えずに、そこに乗っていこうとチームで話していました。ディフェンス面では、これまでの課題を修正し、自分たちでコントロールできる部分はしっかりコントロールすることを意識して臨みました。前半はいい戦いができたと思います。ただ、後半に入り、小さなほころびから相手に勢いをもたせてしまい、一気に得点を取られる展開になってしまいました。次節に向けては短い期間ではありますが、しっかり修正していきたいです」

──接点の部分で相手に押し込まれる場面が多く見られましたが、どのように感じていましたか。

「試合中に感じたのは、リアクションスピードの違いです。相手と比べて、ボールキャリーに対する周囲の反応が遅かったと思います。その遅れが接点での劣勢につながり、結果として相手に主導権を握られてしまいました。ここはしっかりと修正しないといけないポイントです」

──今季最少得点に終わりましたが、攻撃面で改善すべき点はどこでしょうか。

「試合前に、ペナルティゴールでもトライでもいいので、先制点を取ることが大事だと話していました。チームの勢いを付けるためにも、そこはこだわっていきたいです。得点の形は問わず、少しでも相手にプレッシャーを掛けられる展開を作ることが必要だと考えています」

──前半13分、17分と0対14の場面でペナルティゴールを選択しましたが、その意図を教えてください。

「キッカーの松尾将太郎としっかり話し合いながら、得点を重ねていこうという判断でした。試合の流れを考え、冷静にスコアを積み重ねることを意識していました」

──厳しい結果となりましたが、次につながる収穫はありましたか。

「今日は前半の戦い方には手ごたえを感じています。だからこそ、次の試合ではそれを継続しつつ、後半に崩れないための改善が必要です。後半の課題をしっかり整理し、チーム全体で明確にして修正し、次の試合に臨みたいと思います」

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、水谷健人ゲームキャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「前半の最初の10分間は悪くはありませんでしたが、そのあとは流れをつかめず、課題が多かったですね。ハーフタイムでは、選手たちに後半のディフェンスをしっかり機能させ、相手を0点に抑えるよう指示しました。後半はプレッシャーを掛け続け、いい形でプレーできたと思います。ミスもありましたが、切り替えの速さやコンタクトプレーの入り方、セットピースでの高さをうまく活用できたのが勝因でした」

──前回の対戦(58対10)に続き、今回も大差の勝利となりました。何が勝敗を分けたと考えますか。

「ルリーロ福岡(以下、LR福岡)にとって、リーグワン1年目のシーズンは厳しいものになると思います。毎日のルーティンやチームのシステムを構築するのは簡単ではありません。一方、私たちはセコムという企業の手厚いサポートを受けられるため、環境がまったく違います。たとえば、私たちは午後3時から練習できますが、そうした基盤の差が試合にも表れているのではないでしょうか」

狭山セコムラガッツ
水谷健人ゲームキャプテン

「はじめに、会場の準備・運営をしてくださったLR福岡の関係者の皆さま、そしてリーグワンの関係者の皆さまに感謝申し上げます。今日の試合は、第2ラウンドとなりLR福岡さんとの2回目の対戦でした。前回のようにスムーズに進むとは限らないと、試合前から全員に伝えていました。特に、試合の中で流れがうまくいかない時間帯は必ずある。その時間をどう乗り越え、自分たちのペースに持ち込めるかが重要でした。みんな、どんな状況でも厳しく体を当て、相手の勢いを削ぎながら、自分たちの自信のあるプレーにもっていくことを意識できました。その点では、ヘッドコーチもおっしゃったように、ミスが重なった場面でも体を張り、相手の勢いを止めるディフェンスを遂行できたのではないかと思います」

──後半途中からメンバーが大幅に入れ替わりましたが、交代選手が躍動し、さらにチームに勢いをもたらしました。

「毎試合のことですが、リザーブの選手に求められているのは“インパクト”です。試合の流れが良いときは、さらにレベルを引き上げること、逆に流れが悪いときは、それを断ち切って自分たちのペースに持ち込むことが求められます。今日の試合では、リザーブメンバーがその役割をしっかりと果たしてくれました。交代選手がピッチに入ることで、チーム全体がさらに勢いづき、試合を決定づけるプレーができたと思います」


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