2025.03.03NTTリーグワン2024-25 D3 第8節レポート(SA広島 45-17 狭山RG)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月1日(土)14:30 福山通運ローズスタジアム (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 45-17 狭山セコムラガッツ

「みんなを同じ船に乗せることがうまい」。楽しくラグビーを続ける“バンバン”とSA広島

愛称は”バンバン”。マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

2位の狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)を迎えた一戦は、今季におけるマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)の成長を存分にグラウンドの上で体現した試合だった。

開始早々に先制のトライを許しても、動じることなくすぐにトライを決めて逆転に成功。その後もお互いに気持ちのこもった攻防が続く中、SA広島は強みのセットピースでイニシアチブを握ってリードを広げていき、後半に入ると交替選手が一つ二つとギアを上げて狭山RGを突き放した。

リーグ戦の折り返し地点で行われたディビジョン3の首位攻防戦でSA広島はチーム力を存分に発揮して勝ち点5を獲得し、試合後はロッカールームで喜びを爆発させた。プレシーズンに全員で作った“勝利の歌”を歌ってから記者会見に現れた芦田朋輝キャプテンは、少し照れながら笑みを広げた。

「勝ったあとにみんなで歌を歌うと、次の試合も頑張ろうという雰囲気になる。今日のロッカールームもすごくいい雰囲気でした」

チームの一体感は、シーズンが進むごとに高まっている。それは今季から就任したダミアン・カラウナ ヘッドコーチが重要視していることでもあり、ベテランの李修平が「バンバン(ダミアン・カラウナヘッドコーチの愛称)はみんなを同じ船に乗せるのがすごくうまい」と称えるほどで、選手たち一人ひとりがイキイキとした表情でラグビーを楽しんでいる。

チーム強化ディレクターを担う福冨文明は、シーズン前半戦の収穫をこう語っていた。

「芯を強くもってチームとして成長していけるように、ニュージーランド出身のバンバンからニュージーランドのラグビーの文化も含めていろいろなものを吸収したかった。ラグビーをやることの価値を本場の指導者から学びたいと思って来てもらいましたが、バンバンは素晴らしい仕事をしてくれている。

ここまで成績にも満足していますが、“勝った、負けた”よりも選手たちがすごく楽しそうにしているところが一番良かったと思います。ここ2、3年はしんどかった。その時期を頑張ってくれたスタッフにも感謝していますし、バンバンと巡り会えたことにも感謝しています」

後半戦もSA広島は一体感をもって目の前の試合に向き合っていく。「最近よく話していることは、すべての行動に目的を持つことです。私たちはまだまだ学ばないといけないことがいっぱいある」と話すカラウナ ヘッドコーチの下、SA広島はみんなでラグビーを楽しみながら成長を続けていく。

(寺田弘幸)


マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(左)、芦田朋輝キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「勝利したことをすごくうれしく思います。狭山セコムラガッツは非常に強いチームなので、5ポイントを取れたことがすごくうれしいです。でも、いろいろと課題もありました。またみんなで月曜日から集まってハードワークしていかないといけないと思います」

──チームの一体感を作るための取り組みをたくさんされています。その効果についてどうお考えですか。

「ちょっとずつ選手も受け入れてくれているし、私ももっといい雰囲気を作ろうと思っていますけど、まだ時間が必要です。少しずつタイトなチームになっていると思っていますが、今日の試合には満足していません。ミスも多かったですし、同じミスが起きているということはチームに問題があると思っているので、いっぱい改善していかないといけないと思っています。

チームの雰囲気はどんどん良くなっていると思いますが、それに対してももっと努力がいると思います。最近よく話していることは、すべての行動に目的を持つことです。いいチームになってきていると思いますし、会社からもすごくいいサポートをしてもらっていますが、私たちはまだまだ学ばないといけないことがいっぱいあると思います」

マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン

「本日はありがとうございました。今日の試合は事前からタイトなゲームになる、大事なゲームになるとチームで話して挑みました。その中でセットピースの部分で先々週、先週に比べて改善できたことが大きなポイントだったと思います。得点差もタイトになると思っていたんですが、全員がハードワークして点差を広げることもでき、多くの点も取れたので良かったなと思います」

──8試合を終えて7勝しました。非常にいい結果を出せたリーグの前半戦だったと思いますが、手ごたえはいかがですか?

「手ごたえは確実にあります。ただ、一つひとつの試合、次の試合を大切にして戦っていかないといけません。1敗してもいるので、そういったことをチームみんなにも話してやっていきたいと思います」

──今季は勝利後に、みんなで歌を歌っていると聞いています。ロッカールームの雰囲気はいかがですか?

「勝ったあとはみんなで歌を歌っていて、それによって次の試合も頑張ろうという雰囲気になりますし、今日もすごくいい雰囲気でした」

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、髙島理久也シニアリーダー

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「前半の最初の15分ごろ、敵陣で僕たちのアタックのときにペナルティがありました。それが(試合の結果に)一番影響したと思います。そのあともセンターを使って(攻めて)いったが、まだ(ペナルティを)止められなかったのでイライラしています。

試合は負けましたが、もっといいパフォーマンスができるし、もうちょっと我慢しなきゃいけないと思います。いいプレッシャーを掛けることができていれば、前半にもっとトライできていたと思います。

今日は熱くなりました。熱くなり過ぎて簡単なミスが起きてしまいました。来週もマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)さんのように激しいラグビーをする中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)さんとの試合があるので、そこまで振り返る時間はないです。

SA広島は本当に素晴らしいチームです。だから1位になっていると思います。そこがわれわれのターゲットです。ディビジョン3に参入して1年目なので、まだ欠けている部分がいくつかありますが、これからもチャレンジしていきたい。今後もタフなゲームが続くので、チームの層が試されると思います」

狭山セコムラガッツ
髙島理久也シニアリーダー

「リーグワンの関係者の皆さま、そしてSA広島の関係者の皆さま、このような素晴らしい会場を設営してくださり、本当にありがとうございます。

ゲーム展開としては、取り切るところで取れなかったわれわれと、取ってきたSA広島さんということに尽きるかなと思います。ディフェンスで我慢できている場面もあったんですけど、やはり結末が悪くて最終的にトライされた。もしくはペナルティで終わることが多かったので、シンプルにSA広島さんのファイトが強かった印象です。後半は修正してやろうと話していたんですけど、我慢し切れずSA広島さんの速い展開にやられてしまった印象です」

──今節で100試合出場を果たした思いを聞かせてください。

「100試合ということを、昨日もジャージーを渡してもらうときにチームのみんなに祝ってもらいました。ただ、だからと言って特別なことをするのではなく、まずはチームの勝利に貢献したい思いでやっていました。

(当時のセコムラガッツに)私が入ったときは、リーグワンの舞台からははるか遠いところにいて、それからどんどんチームのレベルも上がってきて、今季ついにリーグワンに参入できてレベルの高い試合が続いているんですけど、そこでも負けじとあきらめずにやれていると思います。もう下を向いている暇もないので、次の中国RR戦に向けてチーム一丸になってやっていきたいと思います」

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