NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月2日(日)12:00 福山通運ローズスタジアム (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs ルリーロ福岡
熱き闘志がぶつかり合ったスクラム。大学時代の先輩・後輩がリーグワンで再会

真っ白な霧雨に包まれたフィールドの上で、初先発をつかんだ中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の岩井陸は燃えていた。対面には、大学時代の先輩であるルリーロ福岡(以下、LR福岡)の木村圭汰が構えていた。
3月2日のディビジョン3第8節で、中国RRはホストゲームにLR福岡を迎えて24対10で勝利し、チーム初の3連勝を飾った。岩井は3番(右プロップ)で、木村は1番(左プロップ)でそれぞれ先発出場し、スクラムでは対面で京都産業大学時代の先輩・後輩が組み合った。
大卒新人の岩井にとって、「スクラムもキャリーも真っ直ぐ来るパワフルな人」という先輩との対決。「大学でお世話になったので敬意もありつつ、やってやるという気持ちもあった」と闘志を燃やしていた。
もちろん、木村も先輩のプライドがある。「すごく頑張るし、イヤなこともしてくるいい選手」と評価する2学年下との対決。「やっぱり後輩なので絶対に負けたくなかった」と熱い気持ちでぶつかった。
試合の立ち上がりはLR福岡がスクラムで優勢に立った。木村は、「前半はしっかりコントロールできたし、レフリーともいいコミュニケーションが取れていた」と振り返り、岩井とのバトルでは「やったりやられたりだったけど、ヒットでは絶対に負けないことを意識していた」と強気を貫いた。
対する中国RRは序盤にペナルティが続いて苦戦。岩井は、「全体で押す意識でやっている中で、僕だけ孤立して一人で行ったところもあった」と悔しさをにじませつつ、「先輩の距離感に付き合い過ぎて何本か受けてしまった。でも、ヒットは負けていたけど、組んだあとはそこまで力の差がなかったと思うので、修正すれば次はもっと押せると思う」と前を向いた。
フィールドで実現した先輩・後輩の久しぶりのぶつかり合い。木村は、「すごく懐かしかったし、楽しかった。大学時代は何年も前なので変な感じはしたけど、これもまたラグビーの楽しいところだと思う」と再会を喜んだ。岩井は、「圧倒はできなかったけど、いい経験になった。先輩に負けないようにもっと僕も頑張らないといけない」と刺激を受けた。

大学からリーグワンに舞台を移し、対戦相手として真剣勝負を繰り広げた。お互いに負けじと燃やした闘志を胸に、またフィールドで対面する日を目指す。
(湊昂大)
中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ
「まずはルリーロ福岡(以下、LR福岡)の皆さま、リーグ運営関係者の皆さま、ありがとうございました。今回初めて福山でリーグワンの試合をすることができて、勝利という形でみなさんにハピネスを届けられて非常にうれしく思っています。試合の総括としては、率直に勝てて良かったと思います。勝利はしたものの、いろいろと課題も見えました。チームのプランで言うと、エリアを取ってディフェンスしてフォワードのセットピースという流れは、本当に評価できるところだと思います。ただ、アタックはチャンスを作れていますが、特にバックスのところで生かし切れていない部分があったので、それを次の試合に向けて修正していきたいと思います。チームが苦しいときには粘り強さが非常に出ていますし、チームの一体感も上がってきていると思います。次戦は大一番になると思うので、勝利できるように準備していきたいと思います」
──チーム初の3連勝を飾りました。
「いまからわれわれが経験することは初めてのことばかりだと思います。3連勝も初めてですし、良い経験を積み重ねていけていると思っています。西川(太郎)共同キャプテンが言っていた『今日は勝てたことだけが収穫』というコメントも、昨季はなかなかできなかったものなので、また一つわれわれが強くなっている証だと思います。一つひとつ勝ちを積み重ねていくだけですし、いつも話している『イージーゲームはないよ』という言葉どおりだったので、また次に向けて引き締めてやっていきたいと思います」
──後半はお互いに14人の時間帯もありましたが、そこでの攻防を振り返っていただけますか。
「(フォワードが)7人になってから途中で入ったメンバーに関しては、ワークレートをもっと高めてほしかったです。要所でいいタックルで盛り上げるシーンはありましたが、後半から入った選手はもっとチームにエナジーを与えないといけないと思っています。フィールドでのワークレートがもっとあれば、フォワードが7人になってももう少し引き締まったゲームになったと思います。しっかりインパクトを与えてほしいなとは思いました」
中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン
「本日はLR福岡のみなさん、リーグ関係者のみなさん、あとは天候が悪い中来てくださったラグビーファンのみなさん、ありがとうございました。今日の試合で良かったのは勝てたところだけだと思っています。最後にトライを取り切るところでミスが多く、後半の途中はそこですごく流れが悪くなって、相手の時間になったところもありました。こういうゲームをしていると、勝ち続けていけないと思っています。今日は勝てたので良かったですが、みんなで反省してクオリティーを上げていくしかないと思います」
──チーム初の3連勝を飾りました。
「勝てたのはすごく大きいことですし、昨季は1勝しかできなかったのが今季は5勝目を挙げたので、チームとしてすごく成長できていると思います。昨季は勝って反省することが全然できなかったので、充実したシーズンになってきたと思っています。ただ、トップ3に入ろうと思ったら、やっぱり上のマツダスカイアクティブズ広島さん、狭山セコムラガッツさん、クリタウォーターガッシュ昭島さんを絶対に倒さないといけませんし、今日みたいなゲームで勝てたので、しっかり反省してクオリティーを上げて臨んでいきたいです」
──セットピースを振り返ってください。
「ラインアウトは試合をとおしてミスもありましたが、優勢に進められていたと思います。スクラムはグラウンドが少しスリッピーなところがあって、相手のフロントローの圧もすごかったので、いつもの自分たちのスクラムが出せなかったところもありました。次の試合まで1週間しかないですが、もう一度、チームでフォーカスしているスクラムができるようにやっていきたいと思います」
──後半はお互いに14人の時間帯もありましたが、そこでの攻防を振り返っていただけますか。
「めちゃくちゃしんどかったです。ただ、トライを1本取られはしましたが、大崩れすることはなかったと思います。ディフェンス自体は80分間とおしてファイトできていたので、そこは良かったと思います。ゲームをやっていくと、こういうアクシデントもあると思うので、対応をしっかりできるように、全員で意思統一してゲームを運べるようにやっていきたいです」
ルリーロ福岡

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。前節で大敗したあとに選手たちに戦う姿勢のところを話して臨みました。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)さんは連勝していたので、勢いのあるチームに対して僕らはどう戦っていくのかというところにフォーカスして、メンバーリリースのところから今までの流れと変えて、できる選手を出すことにフォーカスしてきて、選手は良い態度で良いアプローチをしてくれました。結果は負けましたが、今日のゲームに関しては反省ではなくて課題が多く見つかったのが収穫だと思います。なかなか勝ちに届かないシーズンですが、簡単に勝てるとは選手も私も思っていないので、足りないところを一つひとつクリアして、勝ちを手に入れる日まで努力していくしかないと思います」
──今日はリザーブを含めてメンバー全員が日本人選手でしたが、どのように準備してきましたか。
「メンバーは結果的に日本人選手が並んだ形になりましたが、選手たちは『才能のいらないところで、努力をして解決できるようになる』をテーマとして今週は動いていたので、それにマッチする選手をピックアップしました。今日は初先発が一人いて、7番の井上(大志郎)は本当に黙々と努力してつかんだチャンスでした。ウチのチームは人数がたくさんいて、なかなか出番を与えられない選手が彼のようにチャンスが巡ってくると分かれば、チームとしては底上げできると思います。そういう選手が活躍してもらえれば、勝ちに近づくことができると信じてやっていくしかないと思います」
──後半はお互いに14人の時間帯もありましたが、そこでの攻防を振り返ってください。
「ウチも一人少なくてイーブンの状況にはなりましたが、あの時間帯で得点を取れなかったのは、プレーの方向は間違っていないけど、詰めのところや判断のところが正しくなかったのかなと思います。まだ映像を見ていないのであらためて振り返りたいですが、攻めようという意思表示は選手から感じられたので、同じ気持ちで戦っていたと思います」
ルリーロ福岡
木村圭汰ゲームキャプテン
「今日の結果は確かに負けましたが、課題も見えました。その課題は取るべきところで取れなかったところ。ディフェンスの時間が多くて、今季のフォワードの課題だったモールディフェンスのところで、前半は中国RRさんに勢いに乗られました。そこが負けた原因だと思います。良かったと思うのは、リザーブも含めて80分間誰も折れていなかったこと。それは今週の練習でメンバー外のみんながいいトレーニング相手になってくれましたし、そのメンバー外の選手たちのエナジーを背負って広島まで来られたからだと思います。収穫が多かったとは言っても負けは負けなので、次は絶対勝ちたいと思います」
──相手もほぼ日本人選手の構成でしたが、フォワードのバトルを振り返ってください。
「全体としてはタフチョイスと“才能のいらない努力”というところをチームで統一していて、フォワードとしては『ビート・ワン・ブイ・ワン』、1対1で絶対に負けないこと。それからセットピースからのブレイクもすぐ動いて相手よりタフチョイスをすること。しんどいときでもタフチョイスして『ビート・ワン・ブイ・ワン』で向かっていこうと話していました。確かに乗られる部分もありましたが、1フェーズ目、2フェーズ目で乗られても、3フェーズ目で乗られないように、みんながコネクトしてゲインラインより前で体を当てることを意識していたので収穫は多かったと思います」
──後半はお互いに14人の時間帯もありましたが、そこでの攻防を振り返っていただけますか。
「攻めの気持ちをもってチーム一丸で戦うことができましたが、細かいところのイージーミスがああいった局面で出てしまいました。次の試合までにイージーミスは改善できるところなので、そこはしっかり改善してチーム一丸で戦っていきたいと思います」