2025.04.06NTTリーグワン2024-25 D3 第11節レポート(中国RR 14-27 L戸田)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第11節
2025年4月5日(土)12:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ 14-27 ヤクルトレビンズ戸田

幼馴染であり、戦友であり、プレーを続ける意味でもある。ラグビーがつなぐ、6歳で出会った二人の絆

中国電力レッドレグリオンズの岩永健太郎選手(写真中央のタックラー)

また二人のラグビー人生が交わった。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の岩永健太郎とヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)の小川正志共同キャプテン。6歳のときに出会った二人が再びグラウンドで対峙した。

ヤクルトレビンズ戸田の小川正志 共同キャプテン(写真中央)

長崎県出身の二人は小学生と中学生の9年間を長崎ラグビースクールで一緒に過ごした。中学3年のときには岩永がキャプテンを務め、副キャプテンだった小川に「かなり支えてもらいました」と信頼関係を築いていた。

中学卒業後はお互いに花園を目指して別々の道を選び、岩永は長崎南山高校、小川は長崎北陽台高校と、ライバル関係にある高校にそれぞれ進学。2年生のときは県予選決勝で長崎北陽台高校のコンバージョンキックがポールに当たって勝負が分かれた激闘を繰り広げ、3年のときにはお互いキャプテンとして火花を散らした。

その後、二人は帝京大学に進んで再び仲間として4年間一緒に汗を流した。卒業後はまたそれぞれの道を歩んだが、今季からL戸田がリーグワンに参入したことで、二人に再び対戦する機会が訪れた。

岩永は小川について、「目立つプレーヤーではないけど仕事人という感じで、リーダーシップは当時からもありました。自分に厳しい男なので、練習の質をかなり突き詰めるタイプ。L戸田でキャプテンなのは、そういうところが評価されていると思います」と話す。

小川も岩永について、「すごく仲間思いなので、彼の周りには人が集まる人望のある選手。魂のこもったプレーをするので、L戸田の中でも警戒すべき選手になっていて、それは戦友としてすごくうれしいこと。いまはライバルとして、お互いに切磋琢磨しながら成長できる、いい関係だと思っています」と評価する。

今季最初の対決が実現したのは第3節。二人の対戦は高校生以来で約10年ぶりのことだった。岩永は、「久しぶりに体と体を当てて、やっぱり正志のタックルは突き刺さるなとあらためて思いました」とうれしそうに振り返り、小川も「マッチアップを何回かして試合後も話をしました。こういうのをずっとやりたかったなって、ラグビーを続けてきて良かったなって思ったことの一つでした」と目を細めた。

第7節の同カード2戦目は小川が欠場したが、今節はお互い先発で二度目の対決が実現。少ないながら二人がマッチアップするシーンもあった。

小川は、「(体を)はじかれたので、相変わらずボールキャリーが強いなと思いました」と戦友の力強さをまた肌で感じた。岩永は、「コンタクトでは勝ったけど、そのあとに別の選手にスティールされたので、正志には勝ったけど、L戸田に負けた感じでした」と悔しさをにじませた。

同カードは中国RRが過去2勝していたが、3戦目の今節はL戸田が27対14で勝利した。ノーサイドになったあとは、小川も岩永もお互いのことを柔らかい笑顔で話す。

「(岩永は)自分がラグビーをやり続ける意味でもあるので、今日は対戦できて、しかも勝つことができてうれしいです」(小川)

「仲間から敵になっての繰り返しだけど、それはラグビーがつないでくれていること。ラグビーをとおしてこうしてずっとバチバチできるので、やっぱりいいスポーツです」(岩永)

故郷の長崎で出会った二人のラグビー少年は、いまではすっかり大人になりそれぞれの人生を歩んでいるが、その絆はラグビーでつながっている。

(湊昂大)

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(右)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「まずはヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)の皆さま、運営関係者の皆さま、本日はありがとうございました。前半はディフェンスの部分でプランどおりに粘り強さが出ていたと思いますし、粘り強さに至るいろいろなチームの決め事ができていた部分もありました。アタックでは、L戸田さんにすごくいいモールディフェンスをされて、われわれのモールを完全に封じ込められました。それから、ラックの部分では消極的なところが非常に多かったので、これは大きな問題だと捉えています。またゲームを振り返る時間を取って、チームに落とし込みをしようと思いますが、なかなか崩し切れないところがあったので、そこはもう一度振り返らなければいけないと思っています。いつも出てくる課題ではありますが、いいところでスコアを取り切れず、そこでしっかりゲームを作れなかったところが大きな敗因だと思っています。いずれにしても、まだクリタウォーターガッシュ昭島さん、狭山セコムラガッツさん、マツダスカイアクティブズ広島さんの上位3チームとの対戦が残っているので結果を残していきたいです。(今季)勝つことができていないチームを相手にしっかり勝つところを選手自身も頭に入れてやってほしいと思います」

──チームとしてなかなかトライを取り切れないシーンが多くありましたが、改善点を教えてください。

「今回で言うと、アタックのプランをやり切れるかどうか以前の問題で、チームの『敵陣に入ったら(トライを)取って帰るぞ』という姿勢があまり見られなかったかなと思います。抽象的ではありますが、そういったところが感じにくかったので、(改善点はトライを)取りに行く姿勢になってくると思います。プレーしている選手たちも必死にやっているので、弱気だったことはないと思いますが、上から見ているとそういう印象でした。プランニングをもう一度明確にして、それに対して選手自身がどれだけプレーで体現できるかというところになってくると思います。あとはわれわれの武器であるモールを封じ込められたときに、誰が修正するのかをもう1回チームで落とし込んでいきたいと思います」

──バイウィークを挟んで残り3試合です。どう切り替えて次に向かっていくか教えてください。

「昨季もこういった苦しい中でラスト3試合を戦って、結果を残せないシーズンになってしまったことを踏まえると、お客さんにも観に来ていただいているので、残り3試合でどれだけ僕らの成長を見せられるかが非常に大切だと思います。これがまた同じことを繰り返すようだとわれわれの成長もそこまでだったんだなという話になってしまうので、より結果を求めてやっていかないといけないと思います。結果を出せない理由は絶対にあるので、そこに対して取り組んでいきたいです。いまから急に体が大きくなったり、劇的にうまくなったりするわけでもないので、気持ちの部分でしっかり男を見せてほしいなと思います」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「今日はありがとうございました。前半、風上の中、ビハインドで折り返してしまった要因としてはアタックのところだと思います。もちろんL戸田さんのフォワードのラック周辺のディフェンスが素晴らしかったと思うんですが、そこにあえて僕たちが向かってしまったのもそうですし、うまく自分たちのいいテンポでアタックすることができなかったところが敗因だと思います。あとは攻め込んだときのペナルティ、ブレイクダウン周りでのターンオーバーが多々あったので、バイウィーク中にそこを修正する必要があると思っています。しっかり修正してあと3つ勝てるように頑張ります」

──岩戸ヘッドコーチが言っていたチームのトライを取りに行く姿勢について、グラウンドではどう感じていましたか。

「いま思い返すと、トライエリア前に行ったときにもう一段階、集中力が必要だったかなと思います。プレーしている僕たちはもちろんタイトに行っていますが、その中でも細かいところ、ブレイクダウンで(相手ディフェンダーを)しっかり剥がしにいく(クリーンアウト)とか、(ボール)キャリアーがロングリリースする(倒れたときになるべく手前=相手から遠い位置にボールを置く)とか、あとはチームとして順目で攻めようとしていた中で、個人の判断で逆に行ってしまうとか、そういうところで確かにまとまりがなかったのかなと思いました。やっぱり22mラインより内側に入ったら何かしらスコアして帰ってこないといけないと思います。前半の途中までは僕たちの流れでゲームが進んでいた中で、トライを取れずにターンオーバーされると、ゴール前で守り切った相手のほうがエナジーも上がってきますし、盛り上がってくると思うので、そこからゲームが崩れてしまったと思います。やっぱり、(スコアを)取り切らなければいけないところで取り切れないのが一番の課題だと思います」

──バイウィークを挟んで残り3試合です。どう切り替えて次に向かっていくか教えてください。

「本当にやり切ることだと思います。ラスト3試合でしっかり勝てばまだまだ(順位を上げる)チャンスはあると思います。さっきも僕がチームに話しましたけど、何が良くて、何がダメだったのか、各自でしっかりレビューして、それからチームでもレビューして修正していきたいです。落ち込んでいてもしょうがないので、切り替えてやっていきたいと思います」

ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(左)、多田潤平 共同キャプテン

ヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ

「本日は素晴らしい会場をご準備いただきましてありがとうございました。また、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の方々、本当にありがとうございました。試合に関しては、まずコンタクトエリアで必ず勝つところに重きを置いて先週から準備してきました。なかなか前半の最初のほうはうまくいかないところもあったんですけども、試合中に選手が修正したところがすごく良かったなと思います。この勝利を糧にこれから練習していきたいなと思っています」

──今季2敗している中国RRにリベンジを達成し、チームとしても5試合ぶりの勝利になりました。率直な気持ちを教えてください。

「単純にうれしいです。負けた中でも選手みんなが折れずに本当に努力し続けてきた結果だと思いますし、チームとして本当にうれしい結果だと思います」

──トライエリア前のピンチでことごとく相手のチャンスを潰して守り切っていましたが、ディフェンスの評価を教えてください。

「シーズンの最初のほうはなかなか自立してタックルができないシーンが多かったので、ここ数週間で自立してタックルするところ、そこに至るまでの過程、チームのディフェンスを大事にしてきましたので、そこを選手がしっかりと体現してくれたことに成長を感じます」

ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン

「まずは中国RRのみなさん、会場のみなさん、ありがとうございました。グラウンド状態も良く、ラグビーがしやすい環境だったと思います。最初はディシプリン(規律)のところ、またセットピースのところでなかなか自分たちの時間が作れなかったのですが、そこを修正して特に後半のキツい場面でトライを取り切れたのはチームの成長があったからだと感じています。また次に向けて頑張りたいなと思います」

──今季2敗している中国RRにリベンジを達成し、チームとしても5試合ぶりの勝利になりました。率直な気持ちを教えてください。

「中国RRさんは本当に規律がいいチームで、自分たちも見習わなければいけないところが多々ある中で、この試合で上回れたのは本当に成長したなと思いますし、中国RRさんからも刺激をもらえて成長できたなと思っています」

──トライエリア前のピンチでことごとく相手のチャンスを潰して守り切っていましたが、ディフェンスの評価を教えてください。

「あのエリアでペナルティをしてしまう場面が今まで非常に多かったので、私も後ろからしっかり『ディシプリン』と声を掛け続けたりして、そこに選手全員が反応して体現できたのが一番良かったと思います」

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