2025.04.20 NTTリーグワン2024-25 D3 第13節レポート(中国RR 6-47 狭山RG)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第13節
2025年4月19日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ 6-47 狭山セコムラガッツ

苦しい状況でも「顔を上げよう!」。最後まで戦い抜くことで見えてくる、その先の勝利

点差が大きく開いた劣勢の状況で出場した中国電力レッドレグリオンズの森山迅都選手。「意識的に何かしらずっと声を掛けるようにしていた」

苦しいときに何を見せられるか。41点ビハインドの大差をつけられた試合終了間際、トライのチャンスを逃して肩を落とすチームメートに対して「ヘッズアップ!」の声が響いた。叫んだのは今季加入した森山迅都だ。

中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)はディビジョン3第13節で狭山セコムラガッツと対戦し、6対47の完敗を喫した。森山迅都は後半20分に途中出場。残り20分で34点差という厳しい状況だったが、「時間が限られている中で、インパクトプレーヤーとして何ができるのか、そこに重きを置いていた」とチームに良い影響を与えることを心に決めていた。

どんな状況でも、まずは自分のプレーを最大限に発揮することでチームにエナジーを与える。それが森山迅都の信条だ。「残り20分でこの点差だとキツい部分はある。ただ、もちろん最後まで勝ちにいく気持ちはもちつつ、その中で自分がどう目立てるかを考えながらプレーしていました」。

人一倍アグレッシブなプレーを見せ、何度も出足鋭いタックルを突き刺して完敗の中でも光るインパクトを残した。本人も「タックルは今日に限ってはうまくいったし、手ごたえはありました。期待されている要望に対して明確な答えを出せたので、ディフェンスは良かったと思います」と胸を張った。

チームでトライを取れない苦しい展開の中で、森山迅都はプレーだけではなく、「意識的に何かしらずっと声を掛けるようにしていた」。後半37分に7トライ目を取られたあとの円陣では積極的に声を上げて、シンプルな言葉を仲間に掛けた。後半40分には、懸命につないだチャンスをトライに結びつけられず、うなだれるチームメートに「顔を上げよう」と叫んだ。ラストプレーでも味方を鼓舞して最後まで戦う姿勢を率先して示した。

「リザーブの役割として、80分間出ているプレーヤーに対して心の余裕をもたせるような声掛けをするのが重要だと思っている。やっぱりあきらめたら次の試合にも影響を及ぼすので、次の試合にもつながる声掛けをしようと心掛けていました」

中国RRは奮闘実らず、悔しい5連敗を喫した。今季は残り2試合で、チームとしても何を見せられるか。「自分たちの持っているものをいかにうまく出せるかによって、勝ち負けは変わってくる」。今季の積み上げを出し切るために、顔を上げて最後まで戦い抜く。その先に勝利はあるはずだ。

(湊昂大)

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(右)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「まずは狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の皆さま、リーグ関係者の皆さま、ありがとうございました。試合の総括としては、非常に厳しい結果だったと受け止めています。残り3試合でわれわれとしては非常に良いモチベーションをもって、戦う前の準備としては悪くないゲームウィークを過ごしてきました。ただ、やはり狭山RGさんの強いキャリアーに対してわれわれがディフェンスで受けに回ってしまったところ、ラインアウトで攻撃権を手放してしまったところ、アタックを継続する中でわれわれのミスを狭山RGさんにきっちりスコアされたところは非常に反省すべき点だと思っています。トライを取れなかったのは非常に悔しいところで、ディフェンスの修正点もありますが、ラインアウトのところで攻めるトリガーがわれわれになかったところは、相手にしっかり分析されているなと感じた試合でした」

──試合の立ち上がりは良い時間帯もありましたが、どう振り返りますか。

「前半は風下からスタートになって、細かいキックで敵陣に張り付くことができていたのは一つのプランとしてはサクセスだったと思います。ただ、攻撃権があった中でわれわれがスコアにつなげ切れていなかったところは、後半に入っていく中で修正しようと話をしました。前半はわれわれがスコアできてなかったところ以外はプランどおりでした」

──ラインアウトはここ数試合で相手の対策もあり、自分たちの形が作れていませんが、どう修正していきますか。

「どこのチームと対戦しても、われわれより大きな選手をそろえてくるのは分かっているので、フォワード陣がいろいろな工夫をしながら獲得率を上げることに取り組んでくれています。ただ、相手がそれを上回ってきて、特に狭山RGさんはスピードが速いので同じように付いていくと、当然のように相手にボールを与えてしまうことになります。なので、そこでの工夫がまだ必要なのかなと思います」

──シーズン終盤で5連敗と失速していますが、残り2試合に向けて意気込みを教えてください。

「先ほどもチームで集まって話をしましたが、本当に試練のときですし、あとパフォーマンスできるのが2試合しかないので、そこで自分たちが積み上げてきたもの、ストーリーをどれだけ出せるかをしっかり考えてやっていきたいです。何かを大きく変えられるわけではないので、気持ちの部分をしっかり整理して、次のクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)さんとの試合も、良いゲームというよりは必ず勝ちにいきたいと思っています」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「今日はありがとうございました。残り3試合に向けて『自分たちのやってきたことを出し切ろう』『全部勝とう』という話もしていて、すごく良いマインドでゲームに臨めていました。アタックでもディフェンスでもフォーカスポイントについてはできていたところがありましたが、ラインアウトのところで狭山RGさんにしっかり分析されていて、長身のジャンパーもいたので、そこでいいボールをバックスに供給できなかったのが後半にしんどい展開になった要因だと思います。これから劇的に何かを変えることは難しいので、もう一度できることを見つめ直して、来週の試合に勝つことだけを意識してやっていきたいです」

──試合の立ち上がりは良い時間帯もありましたが、どう振り返りますか。

「前半の戦い方自体は悪くなかったと思います。ですが、やっぱり(相手に)自陣に入られたときにしっかりトライを取られていたので、そこでもう少し我慢できればよかったと思います。もともと風上になる後半に勝負しようと話をしていて、22点差で離れてはいましたけど、まだいけると話はしていました。ただ、前半は安定していたセットピースが後半は安定せず、スコアできなかったところは修正するべきだと思います。自分たちの攻撃の時間が減ると、逆に相手のアタックする時間が長くてどんどん足も削られていきますし、ディフェンスの時間が長くなるとメンタル面もどんどんキツくなってくるので、ラインアウトのところはしっかり修正する必要があると思います」

──ラインアウトはここ数試合で相手の対策もあり、自分たちの形が作れていませんが、どう修正していきますか。

「ラインアウトは奥が深くて、いろいろな仕事がありますが、リフトやジャンパーやスローといった当たり前のことを突き詰めていくしかないと思います。相手は絶対にプレッシャーに来るので、そこでどれだけ自分たちのやってきたラインアウトのこだわりが発揮できるかだと思います。練習ではすごく良い取り組みができていますが、ここ数試合はそこがゲームで出てきていないところがあるので、もう一度ゲームを見直して修正したいと思います」

──シーズン終盤で5連敗と失速していますが、残り2試合に向けて意気込みを教えてください。

「本当に厳しい戦いがずっと続いていて、僕自身も結構落ち込んだり、暗くなったりするところもあったので、本当に純粋にラグビーを楽しむことにフォーカスしていきたいです。ただ、楽しむということは、やっぱり自分たちで考えているフォーカスポイントをしっかりやり切ることだと思いますし、やり切った先に上のレベルに達してくると思います。次のWG昭島さんには(今季)2回負けていて、3回負けるわけにはいかないので、しっかり良い準備をしていきたいです」

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、飯田光紀キャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「試合の前にみんなで80分間パフォーマンスを続けようと話をしていました。前半はシンプルなエラーがありましたが、今日は80分の中でいろいろな素晴らしいことをやっていたと思います。これからのチャレンジのためにはこのレベルをキープしないといけません。相手はコンテストのあとにボールキャリーでゲインできて、私たちにすごくプレッシャーが掛かっていました。(相手の)トライがなかったのは良かったですが、まだレベルは上げられると思うので、ラスト2試合でチャレンジをしていきたいと思います」

──D2/D3入替戦圏内の2位以上が確定しましたが、どう受け止めていますか。

「シーズンが始まる前のミーティングで、トップ3に入ることが目標と話していました。その中でトップ2に入れてすごくうれしいです。ただ、これは最初のステップなので、これからハードワークが始まります。2週間前は(2位以内が)ギリギリだと思っていましたが、今日のWG昭島の結果(ルリーロ福岡に26対37で敗戦)を見て驚きました。でも、そこは私たちがコントロールできないところなので、これから私たちがやるべきことにフォーカスしないといけないと思います。そのためにはモメンタムが大事で、私たちのノンメンバーは練習のパフォーマンスがすごく上がったので、チームのパフォーマンスも良くなっています。なので、できれば(ノンメンバーに)アピールチャンスを与えたいなと思っています。このチームは去年の3月1日から始動して(活動期間が)長いです。14カ月が経っていますが、みんなが(優勝の)チャンスがあると分かっているので、まだまだリラックスはできないと思います」

──3カ月ぶりに復帰したダニエル・ウェイト選手のパフォーマンスはいかがでしたか。

「今までにないけがだったので(復帰戦は)あまり自信がなかったと思いますが、今日は試合をしながらだんだんと良くなっていきました。後半18分で入れ替えてけがなく終われましたし、試合前にそういうコントロールしようと決めていました。(同じスタンドオフの)(忽那)鐘太も先週けがをしたので、若い選手を使う可能性もありましたが、ダニエルが戻ってきてくれました。パフォーマンスとしては前半まあまあで後半に良くなったと思います。でも、これからですし、もっと仕上げていく必要があると思います」

狭山セコムラガッツ
飯田光紀キャプテン

「まずはリーグ関係者のみなさん、そして中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)のみなさん、会場設営をしていただきありがとうございます。今日の試合は前半に中国RRさんがアタックもディフェンスもすごく前に出てきて、自分たちが受けてしまった部分があって、うまくいかなかったところがありましたが、そこで集中を切らさずに僕たちのラグビーがしっかりできたと思います。後半は点差が離れましたが、そこでしっかりコンタクトでもディフェンスでもアタックでも前に出てできたことはすごくよかった点だと思います。でも、上のチームになってくると、前半から受けてしまうと、そのままやられてしまうと思うので、試合の入りの部分はしっかり改善していきたいと思います」

──D2/D3入替戦圏内の2位以上が確定しましたが、どう受け止めていますか。

「入替戦が確定しましたが、僕らが最初に掲げたのはディビジョン3の優勝です。そこをまだ狙えるチャンスがあるので、しっかり狙っていきたいです。入替戦はすごく激しい戦いになると思うので、メンタルの部分をしっかり整えないといけないと思います。やっぱり僕たちは受ける部分があるので、受けずにしっかり戦えば、D2に上がれると思うので、まずはそこの部分をしっかり準備して挑みたいと思います」

──ダニエル・ウェイト選手が3カ月ぶりに復帰しましたが、グラウンドでの存在感やチームへの影響をどう感じましたか。

「すごく信頼が厚い選手ですし、ディフェンスでもアタックでも前に出てくれるので、ゲームコントロールもすごくうまいです。いてくれることですごく安心できる存在だと思います」

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