2025.04.20NTTリーグワン2024-25 D3 第13節レポート(WG昭島 26-37 LR福岡)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第13節
2025年4月19日(土)12:00 厚木市荻野運動公園競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 26-37 ルリーロ福岡

響いた二度目の「勝利の歌」。全員が一つになったことでつかんだ歓喜の瞬間

ひとりで22得点でプレーヤー・オブ・ザ・マッチ。両手を挙げて勝利を噛みしめるルリーロ福岡の松尾将太郎選手

グラウンドにルリーロ福岡(以下、LR福岡)の『勝利の歌』が響き渡った。この歌は、LR福岡が勝利したときにのみチーム全員で歌う、オリジナルのチームソングだという。

「2回目なので、みんなが『どうする?』って感じでした(笑)」
三股久典キャプテンの満面の笑みが試合のすべてを物語っていた。

リーダーとしてチームを鼓舞し続けた三股久典キャプテン

前半は、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)のペースだった。濱副慧悟が2トライを挙げるなど、攻守において主導権を握り、19対3とリードして前半を折り返す。しかし、流れが変わったのは後半だった。ブレイクダウンでの攻防でLR福岡が優位に立ち始めると、WG昭島のペナルティを誘い、LR福岡はショットを選択。松尾将太郎が冷静にペナルティゴールを決めると、試合の流れは徐々にLR福岡へと傾いていった。さらに、後半26分に三股が逆転トライを決めると、LR福岡のボルテージは一気に最高潮に達する。終盤には追加トライでWG昭島を突き放し、勝負を決定付けた。

この逆転の立役者は、ペナルティゴールを確実に沈め、試合の流れを引き寄せた松尾、そしてチームを鼓舞し続けた三股だろう。松尾は昨季まで浦安D-Rocksでプレーしていたが、LR福岡に加入してからは環境の違いを強く実感しつつも、このチームの魅力を肌で感じているという。

「ラグビーが好きというのが、僕たちの共通点です。どんなに大変でもみんな練習に来て、砂のグラウンドでコンタクトしています。僕も砂のグラウンドで練習するのは中学生以来かもしれません(笑)。地域のみなさんやボランティアの支えを感じ、以前在籍したチームでは当たり前だったことが、いまではそれがどれだけありがたいことかを実感しています。LR福岡では、多くの人の協力があってこそラグビーができている。だからこそ、一試合一試合を大切にし、僕たちは全力で臨んでいます。それが、このチームの良さだと思います」

選手たちのひたむきな努力、スタッフの支え、そして地域やファンからの温かな応援が一つになり、『勝利の歌』がグラウンドに響き渡った。そして、その歌声とともに、LR福岡の新たな物語が、またここからスタートする。

(匂坂俊之)

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(右)、中尾泰星キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「非常にタフなコンディションの中での試合でした。前半は3トライを奪うことができましたが、ブレイクダウンの局面でターンオーバーされる場面が続きました。特に自陣でのターンオーバーが多く、相手にプレッシャーを掛けることができませんでした。後半に入ってもその流れを変えることができず、フィジカルバトルでも劣勢となってしまいました。そこから悪循環に入り、セットピースでも苦戦し、ペナルティを重ねてしまい、結果として相手に主導権を握られる展開となりました。非常に悔しい結果ですが、セットピースとブレイクダウンの戦いで敗れたことが敗戦した大きな要因だと考えています」

──残り2試合、どういった試合をしたいですか。

「今日の結果に関わらず、最後までやり切るということを選手たちには伝えてきました。今回の試合で改善すべき点も見えたと思いますので、まずはしっかりと振り返り、レビューを重ねて、来週の試合では良いパフォーマンスを見せられるように準備していきたいと思います」

クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン

「前半に3トライを取ることができ、リードを得ることができましたが、攻め込んだ場面でのハンドリングエラーが何度かありました。もっと(トライを)取り切ることができた場面も多かったと感じています。後半は相手が勢いに乗る中で、私たちは我慢することができませんでした。自分たちがやるべきハードキャリーやブレイクダウンでの戦いを疎かにしてしまい、後手に回ってしまいました。そこが今回の結果につながったと痛感しています」

──大事な場面でのペナルティが多かったが、その要因はなんだと思いますか。

「自陣でプレーする時間が長くなり、ディフェンスの場面でペナルティを多く与えてしまいました。個人の意識やタックル後の起き上がりなど、細かい部分の意識の問題が大きいと思います」

──キャプテンが交替したあとに失点が増えましたが、外から見ていて何がうまくいっていなかったと思いますか。

「後半は風下でのプレーとなり、強風の影響も感じました。その中で、自陣の危険なエリアでのプレーが続いてしまいました。本来であればラインアウトを使い、エリアを刻んで前進し、敵陣で優位に試合を進める必要があったと思います」

──残り2試合、どういった試合をしたいですか。

「本日も多くの方が応援に来てくださいました。支えてくださる方々のおかげで私たちはラグビーができています。今日のような試合をしてしまうと、本当に申し訳ない気持ちになります。結果は残念でしたが、私たちのラグビーを楽しみにしてくださっている方も多くいらっしゃると思いますので、最後まで自分たちのラグビーをしっかりと体現していきたいです」

ルリーロ福岡

ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(中央)、三股久典キャプテン(左)、松尾将太郎選手

ルリーロ福岡

豊田将万ヘッドコーチ

「これまでどおり、自分たちがやることは変えず、役割や細かい部分をしっかり詰めて準備してきました。その成果が今日の試合につながったと思います。上位のクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)に勝利できたことは自信にもなりましたし、残り2試合に向けてもしっかり準備を進めていきたいです」

──残り2試合、どういった試合をしたいですか。

「順位に変動はないかもしれませんが、最下位の自分たちが上位チームと真っ向から戦うことで、次につながる何かを得られるはずです。相手のモチベーションに関係なく、一戦一戦を大事にし、次のホーム戦では応援してくださるみなさんに喜んでいただけるような試合をしたいです」

ルリーロ福岡
三股久典キャプテン

「前節から自分たちがやるべきことは変えておらず、それぞれが自分の役割や細かい部分をしっかりと見つめて取り組んできました。今日の勝利は、いつも応援してくださっている地域の方々、そしてベンチ外でも強度高く練習してくれた仲間たち全員の勝利だと思っています。残り2試合も良い準備をして、しっかりと臨みたいです」

──途中からキックを選択するようになって流れが良くなりましたが、どういった判断でしたか。

「グラウンドレベルでは風が強く吹いており、前半は風下の中で我慢強くプレーする必要がありました。後半は風上となったので、ショットを狙える場面があれば狙い、ポイントを重ねていくことを意識しました。敵陣でプレーすることを意識し、それがうまく流れにつながったと思います」

──勝利できた一番の要因はなんだと思いますか。

「前半は自分のイエローカードでチームに迷惑を掛けてしまいましたが、仲間が体を張って守ってくれました。その粘り強さが後半の流れを作り、勝利につながったと感じています」

ルリーロ福岡
松尾将太郎選手

「この1勝は非常に大きいと思っています。シーズンをとおして負けが続く中、中国電力レッドレグリオンズに勝ったタイミングから流れを作りたかったのですが、その後もなかなか結果が出ませんでした。私たちは大所帯で、選手たちはそれぞれの仕事を終えたあと、夜に集まって練習するという環境の中でやっています。そのような環境でも誰一人として言い訳をせず、チームのためにやるべきことを徹底してきた結果が、ようやく見えてきたと感じています」

──勝利できた一番の要因はなんだと思いますか。

「狙えるところでは積極的にキックでスコアを狙っていくという姿勢を貫きました。仮に外しても22mドロップアウトから再び自分たちのボールにできる可能性があるため、リスクを恐れずに攻めていきました。それが良い形につながったと思います」

試合詳細

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