2022.06.04NTTリーグワン2022 プレーオフトーナメント決勝戦レポート(東京SG 12-18 埼玉WK)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022 プレーオフトーナメント決勝戦
2022年5月29日(日) 15:00 国立競技場 (東京都)
 東京サントリーサンゴリアス 12-18 埼玉パナソニックワイルドナイツ

東京サントリーサンゴリアスのミルトン・ヘイグ監督(右)、中村亮土キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
ミルトン・ヘイグ監督

「コンニチハ(日本語で)。最初に、今日だけでなく、シーズンを通してファンの方々にサポートしていただいたことに感謝します。またマネージャーを始め、東京サントリーサンゴリアスには運営に関わっている多くのスタッフがいるので、そうした人達にも感謝しています。
こうしたビッグゲームは細かいところのバトルで勝敗が決まってくるものですが、埼玉パナソニックワイルドナイツさんは特にブレイクダウンでターンオーバーするチャンスがあるのか/ないのかの見極めも素晴らしかったと思います。そうした細かいところのトレーニングがよくできているチームだと感じました。本当に埼玉パナソニックワイルドナイツさんの勝利を称えたいと思います。
自分としても非常に悔しい結果となってしまいました。昨年に引き続き2回目のファイナルで、対戦相手も同じという中でよい結果が出せなかったので、最終的にはヘッドコーチ(監督)としての責任を感じます。これから、改善できるのがどこなのかをチームとして見つめて、またしっかり立て直し、来年はチャンピオンシップが取れるように向かっていくことが重要です。選手、スタッフの家族など――自分にも妻と子供2人がいますが――自分達をサポートしてくれた人達に、この場を借りてしっかりと感謝したいと思います」

――ノートライに終わってしまったこと、また(相手の)22mラインの中にあまり入れなかったことは、相手がよかったのか/自分達に何か問題があったのか?

「(埼玉パナソニックワイルドナイツは)リーグの中で一番ディフェンスが強いと認識しているので、なかなか得点圏内、相手陣でプレーする時間も少なく、もう少しでダミアン・マッケンジーがトライを取れるというシーンもありましたが、エクスキューション(遂行する)がこの試合ではちょっと足りなかったと感じています」

東京サントリーサンゴリアス
中村亮土キャプテン(CTB)

「まず埼玉ワイルドナイツの関係者の皆様、おめでとうございます。またリーグワンの運営に携わってきた関係者の皆様、臨機応変にやっていかなければならない難しい状況の中でしたが、こうしてファイナルまで迎えられたことを選手として嬉しく思います。本当にお疲れ様でした。そしてサンゴリアスのチームメイト、スタッフを誇りに思います。僕のことを支えてくれたメンバーのみんなと家族、ファンの方々に本当に感謝したいと思っています。
結果はなかなか悔しかったですが、今シーズン全員で壁を乗り越えながら、本当に生き物であるかのようにチームが成長を遂げて、最後一つになってこのゲームに臨めたことを誇りに思いますし、キャプテンをやってよかったと思いました」

――ノートライに終わったこと、相手陣22m内にあまり入れなかったことについて。

「ラインアウトの状況がなかなか難しかったので、敵陣に入ってからのアタックの機会が少なかったというのが一つ(の要因)だと思います」

――最初の20~25分、キック合戦となり、ボールをキャリーする時間が本当に少なかったと思うが、その時間帯、進め方としてどのように感じていたか?

「ゲームメーカーと話しながら、戦うエリアを考えながらゲームを運ぶということで、あの時間帯はしっかりエリアマネジメントすると意思統一できていました。ただ埼玉パナソニックワイルドナイツさんもなかなかミスしないので、どっちにも勢いが行かない時間帯になったのだと思います」

――ワイルドナイツのディフェンスをどう感じていたか? ブレイクダウンではいつもより絡まれる回数が多かったように感じたが‥‥。

「ワイルドナイツさんはジャッカルできるプレーヤーが多いので、一週間かけてブレイクダウンの精度のところは準備していましたし、ある程度プレッシャーを受けるというのも理解していました。その中でも自分達らしいアタックができた部分あがったので、そこは我慢比べの時間帯だと思ってやっていました」

――後半勢いを取り戻したと思うが、ハーフタイムではどのような前半の総括をして、どのような指示を出したのか?何が一番よくなって、(後半の)ああいうゲーム運びができたのか?

「FWは、特にセットプレーなど戦術的に細かく話していたと思います。全体には、焦らないで我慢し続けることを最後まで言っていました。メンタルのところですね。戦術的には特に変えてはいないです」

「キャプテンが言ったところもありますが、特にラインアウトの修正と、しっかりフェーズを重ねてプレーしようという指示はしました」(ヘイグ監督)

――新リーグということで、運営サイドへの感謝の言葉から始まったが、観客も(新リーグとなって)最多の約3万3千人が集まって、リーグの盛り上がりぶりなど、あらためて選手側として感じたことや課題などは?

「今日に関しては本当に大勢の方に観て頂けて、プレーする側もモチベーションが上がります。こういう中で毎試合やりたいというのが本音ですが、ただ僕達ができることは、毎試合ベストパフォーマンスを出して、一人でも多くのファンを獲得することなので、自分達のやるべきことをやって、リーグワンをまた来シーズン盛り上げていければと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツの」ロビー・ディーンズ監督(右)、坂手淳史キャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ 監督

「非常にタフな試合でした。初めてのリーグワンの決勝にふさわしい試合になったと思います。私たちもこの結果を手にするために非常にたくさんのハードワークを求められました。その中で選手達が試合の中での活路を見い出して最後には勝利に持っていけたことをとても嬉しく思います。
普段通りの私たちのプレーはあまりできませんでした。前半いくつかトライを取りました。また、TMOの結果、トライを取り切れない場面もあり、自分たちのゲームが思うように行かなかったシーンもありましたが、そのような中で活路を見い出せたことを嬉しく思います。勝利を非常に嬉しく思いますし、キャプテンとしての仕事をしっかり果たしてくれた坂手を非常に誇りに思います(右横に座る坂手主将の肩に手をかけながら)」

──試合前の会見で堀江選手が『ワイルドナイツは突出したスターがいるわけではなく、チームの皆がそこそこやるから強い』と表現していましたが、監督から見てチーム力がどうしてここまで出せるのかというところについてコメントをお願いします。

「突出したスターという意味では、それはいませんが、2人のすばらしいリーダーがいます。坂手キャプテン、そして、堀江選手。この2人のすばらしいフッカーがチームを醸成させて、チームの戦い方になっています。試合の準備から試合に至るまでリーダーがチームを引っ張ってくれる。それによって今のチームが醸成されています」

──今日が最後の試合になったジョージ・クルーズ選手については?

「ジョージについては、優勝というかたちで彼のラグビーキャリアを終われたということを嬉しく思います。クルーズ選手は埼玉パナソニックワイルドナイツに来る前に、既にたくさんの成功を収めてきています。彼の長いラグビーキャリアを有終の美で飾れたことは嬉しいです。クルーズ選手はチームの中では、冷静さを持ち合わせていて、回りからも好かれていて、人間的にも素晴らしい選手です。彼の存在はこのチームにとってもすばらしい力になっていましたので、彼がチームを去るのは少しさみしいです。今日はイギリスからジョージの母親も観戦に来ていました。ジョージの最後の試合を母親が観戦に来てくれたことを嬉しく思いますし、母親も息子のことをとても誇りに思っていると思います」

──前半はキック合戦になりました。マッケンジー選手がいいキックを蹴っていましたが、野口、山沢、竹山の3選手がよくフォローして一つもミスなく対応できていました。この3人でキックへの対応をするのは最初から想定していたものですか?

「キックへのカバーについては、この3選手はスペースをよくカバーをしてくれています。ゲームプランの中では特にどう重点的にスペースをカバーするというものはありませんでしたが、相手がキックを蹴ってくる戦術に対しての適応を上手に行う必要はありました。それができたお陰でマッケンジー選手のキックへの対応ができていたと思います。ただその中でピッチの敵陣深いところに蹴っていきたかったのに、自陣で短いキックを蹴ってしまったところもありました。
ゲームの中では苦しい時間帯もありましたが、その中でペナルティーを犯さずにプレーして、かつ、敵陣深いところで相手のペナルティーを誘うということができていたと思います。東京サントリーサンゴリアスの選手はとても洗練されていて、今日はガチンコの試合になりましたが、このような戦術のラグビーをできた選手達を讃えたいと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン

「本日はありがとうございました。ディーンズ監督が言ったとおり、タフなゲームでした。最後の一秒まで、どちらに転ぶかわからないタフなゲームで、それはスコアの上だけではなく、接点だったりセットプレーなど、ラグビーに関する全ての要因がすごくタフでした。その中で、ワイルドナイツとして勝利を手にすることができて、皆、誇りに思いますし、一年間やってきたことが出せたと思います。サンゴリアスさんのプレッシャーはすごかったです。そのプレッシャーを受けるときもありましたし、はね除けるときもありました。80分通して本当にタフな素晴らしいゲームをファンの方にも見てもらえたと思います」

──リーグワンになり、熊谷がチームのホームタウンになり、熊谷に本拠地ができました。これはプロのチームにとってとても大事なものだと思いますが、シーズン中に熊谷が本拠地といったことをどういった意識でやりましたか? また、熊谷の方々にチャンピオンシップを届けることができたことについての気持ちは?

「今年から熊谷にチームの施設が移設されて、熊谷ラグビー場がホームになりました。熊谷ラグビー場の隣に練習場ができました。その点について、『ホーム』というものをとても大事にしています。ホームのファンがたくさん増えてきて僕たちを応援してくれる環境をとても嬉しく思っています。スタジアムで試合をする時にはたくさんの方が来てくれます。それだけでなく、毎日の練習でもファンの方がグラウンドの横で僕たちのプレーを見てくれています。そういったところで、ホームタウンの良さ、熊谷の良さを毎日感じています。そういったところでプレーできていることはチームとしても僕自身としても誇りに思います。その中で、熊谷の方々に優勝カップを持って帰れることは本当に嬉しいことですし、応援してくれている方々に少し恩返しができたかなと思います」

──ラインアウトのディフェンスに関して、特に前半は完璧だったと思います。基本的にどんな考え方でラインアウトでのディフェンスをやっているのか、また、その達成具合について、言える範囲でコメントお願いします。

「はい。完璧でした。本当にそう思います。各ポジション、各プレーにディフェンスリーダーがいるのですが、ディフェンスリーダーが一年間やってきたものを全てこの試合に出してくれたので、とてもよかったと思います。ディフェンスに関しては特にジョージ(・クルーズ)が喋ってくれていますが、ラインアウトディフェンスではしっかりとジャンプしてプレッシャーをかける、その基本のところを大事にしました。少しずれたり、相手がジャンプするときに同じタイミングで跳べないときもありますが、大事なタイミングでしっかりと跳ぶ、そのプレッシャーをどんどん積み重ねていくところを、今週は特に意識しました。それは前半、特によかったと思います。少しずれてもフッカーにはプレッシャーになるのですが、相手から見ると敵にも跳ばれることがプレッシャーになっていたと思います」

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