2022.12.16第1節 三重H vs 浦安DR-見どころ

三重ホンダヒート(D2)

縦に速い『エキサイティングラグビー』。
例えるならば…

今季、悲願であるディビジョン1昇格を目指す三重ホンダヒート。12月17日の開幕戦はホームである三重交通G スポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場で、浦安D-Rocksを迎え撃つ。相手となる浦安D-Rocksもディビジョン2優勝を狙う強豪。開幕から最重要ゲームとなることは必至である。

開幕戦に向け上田泰平ヘッドコーチは「(浦安D-Rocksの)ヨハン・アッカーマンヘッドコーチはベテランで、チームをうまく仕上げてきますし、われわれを分析して弱点を突いてくるでしょう。それに対して受けに回るのではなく、しっかりわれわれらしいラグビーで戦いたい」と話す。昨季に続きキャプテンを務める古田凌も「相手は強いチームでリスペクトはしていますが、自分たちがやってきたことにチャレンジしていきたい。昨季から、より進化した『エキサイティングラグビー』をファンのみなさんに見せたい」と言う。

チームが掲げる『エキサイティングラグビー』の真髄をサッカーに例えて解き明かすのは上田ヘッドコーチ「われわれが目指すラグビーは、(サッカーの)バルセロナではなくリヴァプールなんです」。高いポゼッション(ボール保持)より、激しいプレッシングからの縦に速い攻撃。「トランジション(攻守移行)を速くして、奪ってからダイレクトに前へボールを運ぶラグビーが理想」と語る。

その“トランジションラグビー”にはボールへの速い反応速度、高い運動量が必要であり、パブロ・マテーラ、トム・バンクスらワールドクラスの選手を招へいした理由もそこにあると説明。加えて「攻守がどんどん入れ替わるトランジションの多いラグビーの面白さも見せていきたい」と続けた。昨季終盤には理想とするラグビーの形が見えながらも、結果には結びつかなかった。だからこそ今季はディビジョン2を圧倒し、自らのラグビースタイルに自信を持って昇格を目指したい。

開幕からディビジョン2の優勝を占う大一番を戦う。勝敗もそうだが、“ユルゲン・クロップ監督率いるリヴァプールのようなラグビー”が見られるか。その点にも注目である。

(小崎仁久)

上田泰平ヘッドコーチ
古田凌キャプテン

浦安D-Rocks(D2)

準備は万端。新たな歴史を築き上げていく

“新チーム”が船出を迎える。チームは12月16日午前にキャプテンズラン(キャプテン主導による前日練習)を終え、仕上がりは上々。午後から三重へ向けて出発した。浦安D-Rocksは、17日12時キックオフの三重ホンダヒート戦に臨む。

新チームの発足から始動に至るまでさまざまなことがあった。弱冠22歳でキャプテンを務める飯沼蓮は、自らも望んだポストながら「悩むこともあった」という。ただそれは乗り越えた。二つのチームから選手が合流したことによる難しさも懸念されたが、2回の合宿を経て「家族のように、ずっと一緒にいたような感覚」(飯沼)が醸成されている。

開幕に向けて順調に準備が進み、11月から12月にかけてのトレーニングマッチを全勝で終えたものの、開幕前週に行われるはずだった試合が中止に。最後のプレシーズンマッチとなったNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦にも勝利しながら、ヨハン・アッカーマンヘッドコーチは「ブレイクダウンのところがまだ十分ではない」と課題を指摘。飯沼も「後半につれて悪くなってしまった。開幕前に課題が見つかった」と反省の弁を口にした。

ただ、そうしたこともすべて糧となっている。「全部がうまくいきすぎてシーズンに臨むのも怖かった。NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦のような苦戦を強いられることによって課題も見えたので、しっかり準備してきました」と飯沼は語る。準備は万端だ。

三重ホンダヒートとの開幕戦は、ディビジョン2優勝候補同士がいきなりぶつかる好カードだという見方もある。飯沼は「ディフェンスがすごくいいチームですし、ワールドクラスの選手もいる」と警戒。ただ、「コンタクトの部分が大事になる。そこで負けずに前に出られれば、自分たちのペースになると思う」と自信ものぞかせる。

「昨季で苦しい思い、悔しい思いをした選手たちがこのチームで一つにまとまっています。もちろん自信はありますけど、常にチャレンジャーという気持ちで、慢心することなくやっていきたい」(飯沼)

優勝候補筆頭と見られているだろうが、チームが浮つくことはない。なによりも、新たなチームの力を証明したいという思いが強い。

「新たな歴史のスタートになるので、自分たちの文化や、積み上げてきたものが試合に表れてくると思う。そういうものを(ファンの方々に)感じていただけたらなと思います」と飯沼。いよいよである。

(沖永雄一郎)

飯沼蓮キャプテン



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