NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)
若手の台頭がカギ。急先鋒はフォワード第1列の24歳トリオ
2シーズン目を迎えたNTT ジャパンラグビー リーグワン。NECグリーンロケッツ東葛は12月18日、柏の葉公園総合競技場で花園近鉄ライナーズを迎え撃つ。
昨季のNECグリーンロケッツ東葛は、入替戦の末に辛くもディビジョン1残留を果たした。ジャパンラグビー トップリーグ時代を含めれば、直近3シーズンは下位に低迷する苦しい戦いを強いられているため、今季は下位からの脱却はもちろん、上位進出への足がかりをつかむことが焦点となる。キャプテンのレメキ ロマノラヴァをはじめ、田中史朗、ジェイク・ボール、新加入のニック・フィップスなど、各国の代表キャップを持つ実力派はそろっている。ただ、飛躍的なチーム力の向上を期するのであれば、注目すべきは若手選手の存在だろう。
「若手は昨季よりプロ意識が高くなった。このままいけば将来は日本代表の選手が出てくる」。レメキがそう言って若手の台頭を期待するとおり、開幕戦でスクラムの最前線、フロントローを担うのは石田楽人、新井望友、菊田圭佑の若き24歳の3選手だ。
石田は昨季、初めてフルシーズンを戦い、「スクラムは通用する」と自らのプレーに自信をつかんだ。今季は佐藤耀とともにスクラムリーダーの一人にもなり、最前線でチームを引っ張る。アキレス腱断裂という大けがを克服した新井は「メンタルでのレベルアップを感じています」と精神的な強さが増した。負傷でチームの力になれなかった悔しさと、支えてくれた仲間・スタッフへの感謝の気持ちを胸に、必勝を期してグラウンドに立つ。菊田は昨季、1試合の出場に終わったものの真摯に課題の改善に努めてきた。「フミさん(田中)から『練習から自分を出していこう』と言われ、それをチームに還元できるようになった。成長した姿を見せて、勝ちたい」と自らの状況打破へ向けて意気込みが強い。
若い選手は、ときに想像を超える爆発的な成長曲線を示すことがある。そして若手が伸びれば伸びたぶんだけ、それはチーム力の向上へ直結する。緊張感高まる開幕戦を前にしても、彼らは物怖じする様子を一切見せていない。
「怖いもの知らずの気持ちでガツガツ行けると思います。僕たちフロントローとしては、相手がベテランの選手であろうとまず勝たないと勝負にならないので、その気持ちを出してガンガンいきたい」(新井)
フロントローのほか、センターにはクリスチャン ラウイという今年加入した若手もいる。経験豊富なベテラン・中堅選手と、新進気鋭の若手が融合を果たす“新生グリーンロケッツ”。昨季とは違うという姿を示すためにも、開幕戦の勝利が欲しい。
(鈴木潤)
花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)
古豪復活へ。「真っ向勝負で負けない」
ジャパンラグビー リーグワン初年度にはディビジョン2で優勝。圧巻の攻撃スタイルでディビジョン1昇格を手にした花園近鉄ライナーズは、18日に柏の葉公園総合競技場でNECグリーンロケッツ東葛との開幕戦に臨む。
12月初旬まで行われたプレシーズンマッチは負傷者が相次いだこともあって、最後は3連敗で終了。とりわけ12月4日の静岡ブルーレヴズ戦はラインアウトからのモールで後手に回り、同じ形で4連続失点。21対71で敗れた。
それでも、チームはすでに開幕戦に向けて前を向いている。
14日に行われた練習は、今季一番の冷え込みを見せた中でも熱のこもった空気感を漂わせていた。2シーズン連続でキャプテンを務める野中翔平は「日曜日のキックオフと同時にピークに持っていけるようにやってきました」と引き締まった表情で意気込みを口にした。
昨季はディビジョン2で最多の77トライを記録し、ボールを素早く展開する攻撃的なスタイルを信条とする花園近鉄ライナーズだが、昇格組として挑む新シーズンの課題はやはりディフェンスだ。ただ、「いい守備がいい攻撃につながります」と野中が話すように、プレシーズンマッチで出た課題の克服には自信を見せている。
昨季のディビジョン2でプレーヤーが選ぶ、ベストタックラーに贈られる『ゴールデンショルダー』に輝いた野中は言う。「モールはラグビーでは本当にメンタルが出る局面の一つ。真っ向勝負のところで負けないことが必要。NECグリーンロケッツ東葛さんもゴール前とモール、フォワードのところにこだわってくると思うので、同じことが起きないようにしたい」。
5シーズンぶりとなるトップカテゴリーでの開幕戦だが、意外にも野中に過度に入れ込んだ雰囲気はない。キャプテンの真意はこうだ。
「重要な試合も、重要でない試合も存在しないんです。毎試合100%を出す。僕らはその準備をするだけ。目の前の試合に100%を出すことでしかチーム力は積み上がっていきません」
目指すのは一戦必勝――。ディビジョン2を席巻したスタイルを貫くのみだ。
日本選手権で3度の優勝経験を誇る名門が、待ちわびたディビジョン1の舞台で新シーズンの開幕を迎える。
(下薗昌記)