東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)

「どんなときもアタックを」。“最強”に立ち向かう主将の決意

もう、準優勝はいらない──。東京サントリーサンゴリアス、頂点をつかむための開幕ダッシュへ。ジャパンラグビー リーグワン2年目の初陣は12月18日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイを味の素スタジアムに迎えて幕を開ける。

ジャパンラグビー トップリーグ時代も含め、2季連続で埼玉パナソニックワイルドナイツにプレーオフトーナメント決勝で敗れ、準優勝。捲土重来を期すために自分たちの「課題」を見据えるのは、今季から齋藤直人とともに新キャプテンに就任した日本代表の堀越康介だ。

「チーム全員が同じ絵を見て迷いなく80分間できたのか。その部分で足りないものがあったんだと思います。うまくいかないときこそ、自分たちの原点は何か、自分たちのラグビーを徹底することが重要になるはずです」

自分たちの原点……それこそ、チームが受け継いできた『アグレッシブ・アタッキング・ラグビー』だ。

「僕たちはアタッキングチーム。特に今季は、リスクを冒してでもアタックして、自分たちの強みをとにかく出し続ける。そのために何が必要なのか。ディテールの部分まで皆で確認しながら真剣に取り組んでいます。いまでは、『俺たちはどうやって勝つのか』という点で、チーム全員で同じ絵を見てやれていると思います」

帝京大学時代にもキャプテンを務め、大学選手権9連覇を実現。生粋のリーダーとも言える堀越は、自らの目指すキャプテン像を「姿で見せる」と語る。

「いいパフォーマンスをすることで、言葉に説得力を持たせる。先頭に立って誰よりも体を張ろう、ということは意識しています」

迫るクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの開幕戦、「体を張る」という意味で堀越は、これ以上ない相手と対峙する。“世界最強フッカー”と称される南アフリカ代表、マルコム・マークスだ。

「非常に体が大きいですし、スクラムも強い。フィジカルも含めて、驚異的な選手です。後手になったら負けてしまうので、こちらから仕掛けていきたいです」

自ら仕掛ける「アタッキング・ラグビー」の徹底。それこそが開幕戦でもカギを握る。リザーブからの登場となる中でも、「姿」で見せたい。

「大事なことは、自分たちのテンポでどんなときもアタックしていくこと。強力フォワードが多い相手なので、まずはフォワード勝負でどう勝っていくかが開幕戦の見どころの一つだと思います」

(オグマナオト)

堀越康介・新キャプテン


クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

乗り越えるべき壁。その相手との開幕戦

絶対に越えなければならない壁がある。ついに開幕する2年目のNTT ジャパンラグビー リーグワン。12月18日、場所は味の素スタジアム。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの第1節の相手は、昨季2位の東京サントリーサンゴリアスだ。公式戦では2004年以来勝ち星のない、まさに「天敵」と言えるチーム。ジャパンラグビー トップリーグラストイヤーとなった2020-2021年は練習試合を含めて3戦全敗。そのシーズンはプレーオフトーナメント準決勝に進んだものの、決勝までの行く手を東京サントリーサンゴリアスに阻まれた。

光明が差したのは昨季の第9節。ここでは交流戦で対峙した。その試合前までに負傷者が続出し、傷だらけの状態で迎えたこの一戦。新世代の選手たちがアグレッシブに攻める、まさにチームとしての底力を見せるかのような戦いで天敵をあと一歩のところまで追いつめた。乗り越えるべき壁に、指先が触れた。

「接近戦がうまくいかなかった試合もあれば、ブレイクダウンが課題となった試合もありました。この2年間、私たちは東京サントリーサンゴリアスとの戦いからいろんなことを学びました」

フラン・ルディケヘッドコーチは過去の対戦をそう振り返る。すべての経験は、必ず成長の糧となる。東京サントリーサンゴリアス戦に始まり、同じ相手との試合で終わる今季のリーグ戦。ドラマを起こす舞台は整った。

「2シーズン前からプレーオフトーナメントに進んではいますが、まだ優勝には到達していません。今季、優勝するためには毎週の試合が重要だと思っています。この16週間、一貫性を持ってやってきました。いいプロセス、いいパフォーマンス、いい準備をしていくことで、その目的は達成できると思います。その戦いが、18日から始まります」(フラン・ルディケヘッドコーチ)

この一戦に向けては、「私たちがやりたいラグビーをやる。まずはそこのことにフォーカスしたい」と指揮官は言う。いわば平常心、不動心。チームを率いるキャプテンの立川理道も「相手がサンゴリアスだから、というところは意識せずに、自分たちのことにフォーカスしていきたい」と語った。

ジャパンラグビー4強時代に風穴を空け、新風を吹き込んだクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。悲願の初優勝に向け、いざ大一番に臨む。

「今週の試合から、新しい歴史を作っていきたいと思っています」(フラン・ルディケヘッドコーチ)

瞬(とき)は、きた。もう善戦では終わらない。

(藤本かずまさ)

フラン・ルディケ ヘッドコーチ
立川理道キャプテン

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