NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第1節 カンファレンスB
2022年12月18日(日) 14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 18-31 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
木田晴斗という新たな若き槍。狙うは新人賞、そして‥‥
立ちはだかったオレンジの壁。そして、両翼から突き刺す2本の若き槍‥‥。12月18日、東京・味の素スタジアムで行われたジャパンラグビー リーグワン2022-23開幕節、昨季2位の東京サントリーサンゴリアスと、同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイという好カードは31対18でクボタスピアーズ船橋・東京ベイが勝利。東京サントリーサンゴリアスに勝利したのは、2004年度以来、実に18年ぶりのことだった。
試合序盤から存在感を見せたのは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイが誇る強力フォワード陣。相手のプレッシャーをまさに“オレンジの壁”となってはねのけ、試合を有利に進めていく。
迎えた前半21分、1本目の槍がサンゴリスを襲う。昨季の新人賞にしてベストラインブレイカーの根塚洸雅が右翼を突破。相手タックルを受けながらも右コーナーぎりぎりにトライを決め、リードを広げる。
そして後半、左翼から鋭い攻めを見せたのが2本目の槍、今季の新人選手、木田晴斗だ。後半3分、後半24分にトライを決め、歴史的1勝の立役者となった。
試合後、「1個目も2個目もチームメートのテクニックがあってこそ。僕は最後に押さえただけです」と遠慮がちに語った木田だが、その目線の先には遠慮とは無縁の大きな目標を見据える。根塚に続く新人賞獲得だ。
「昨季、根塚さんが活躍して新人賞をつかんだように、自分も絶対に獲る気持ちでいます。そのためにプレシーズンもしっかり準備を重ねてきました」
そして、新人賞の先にはさらに大きな獲物‥‥2023年のラグビーワールドカップ出場も狙う。
「2023年の代表入りもあきらめていません。そのためにいま、努力をしています。自分がリーグワンで圧倒的なパフォーマンスを出せれば、必然的に代表入りに近づけるはず。でも、まず目指すのはもちろんチームの優勝です。しっかりウイングとして役割を果たし、新人賞に見合う活躍ができれば、スピアーズの優勝にもつながってくると思っています」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイでは根塚だけでなく、ジャパンラグビー トップリーグ最終年度に金秀隆も新人賞を受賞している。3季連続で同チームから新人賞が生まれるのか。優勝争いとともにシーズンを通して追いかけていきたい。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督
「われわれも今シーズンの開幕を楽しみにしていたんですが、クボタスピアーズ船橋・東京ベイさんの非常にいいプレッシャーを受け、自分たちのラグビーができなかった。完敗と言っていいと思います。ただゲームは続きます。これからの相手に対してどう戦うか。次節に向けた練習でしっかり固めていきたいと思います」
──大勢いる日本代表選手がチームに合流したばかり。その点も含め、チームの上積みはあるのか、まだ時間がかかりそうか、手ごたえは?
「『同じ絵を見ているか』という点に課題もあると思います。そこはプレシーズンマッチを戦ってきたメンバーと日本代表で抜けていたメンバー、お互いがコミュニケーションも含め、グラウンドで確認して合わせていく必要があります」
──その「同じ絵を見ていたか」という点で、具体的にどこに物足りなさを感じていますか?
「アタックのシステム、キックカウンターの部分で今日は曖昧なところがありました。確認してきた部分ではありますが、全員がしっかり落とし込めていたかという点は課題と言えます」
──キックのバランスの部分で今日の試合をどう振り返りますか?
「世界的に見てもキックの重要性はスタッツとしても出ている部分ですし、もちろんどの試合でも重要です。ただ、サンゴリアスはアタックすることがチームのDNAにあります。まずはそのアタックの部分でやれることをやって、その上でキックも使っていく。その意味で、今日はとてもいいレッスンを受けたと思います」
東京サントリーサンゴリアス
齋藤直人 共同キャプテン
「望んだ結果ではなかったですが、シーズンはまだ始まったばかり。しっかりと次の試合に意識を向け、この敗戦から学んで来週の試合を迎えたいと思います」
──具体的に修正したいポイント、課題は?
「まず一つは、自分たちのやるべきことが試合中に明確だったのか。全員が同じ絵を見てプレーできていたのかを突き詰めたいと思います。自分たちからアタックしたい東京サントリーサンゴリアスにとって、ブレイクダウンの攻防でいいボールが出なければアタックが始まらない、という認識をチーム全体であらためて共有したいです」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ
「タフな試合でしたが、最後までチャレンジを続けることができました。まずはこの勝利がうれしいですし、今後のシーズンに向けてもいいスタートを切れたと思います」
──今日の試合、チームとして特に満足している点は?
「まずは東京サントリーサンゴリアスさんがやりたいことをさせないようにディフェンスができたこと。そこからターンオーバーでチャンスを作り、いい攻撃に切り替えることができた点は満足しています」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
立川理道キャプテン
「開幕戦で相手が東京サントリーサンゴリアスだからと特別に準備をしてきたわけではなく、プレシーズンの15週間、準備も含めて22週間ほどハードワークしてきたものを出し切ろう、と言い続けてこの試合に臨んだので、勝てたことはすごくハッピーです。でもここがスタート。今日の反省点もしっかりとクリアにして、次の試合に向かっていきたいです」
──今日の試合、チームとして特に満足している点は?
「ディフェンスは準備していたものが出せたと思います。特に前半は前に出るディフェンスがハマったというか……。相手に対してプレッシャーを掛けることができました。ディフェンスは近年自信を持っていますし、今後も一貫性を持って続けていくことが重要になると思います」
──今日の試合ではフィジカルの強さが目立ちました。その中で前半はペナルティゴールを狙っていきましたが、どういう戦略で臨んだのでしょうか?
「ここ数年の東京サントリーサンゴリアス戦は追いかける状況が多かったので、そういうタフな試合でこそ常に優位に立っておきたい思いがありました。そのためにも、敵陣でペナルティーをもらい、キッカーのバーナード(・フォーリー)が狙えると判断できたときには積極的に狙って得点を重ねていく。そこは冷静にチームで判断できた結果だと思います」
──2004年シーズン以来の東京サントリーサンゴリアス戦勝利です。この1勝に対する思いをあらためて教えてください。
「僕自身、入団してからサントリーに勝利したのは初めてのこと。その意味ではもちろんうれしい1勝ですが、長いリーグの中の1試合。最終戦でも戦いますので、浮かれることなくしっかりと気を引き締めていきたいです」