東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)
共有したのは「ハードワークの重要性」エディー・ジョーンズ氏が指摘したこととは?
開幕節は手痛い黒星スタートとなった東京サントリーサンゴリアス。巻き返しを期すNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1 第2節の相手は、開幕戦で劇的勝利を収めて勢いに乗るNECグリーンロケッツ東葛だ。前節同様、味の素スタジアムでのホストゲームで迎え撃つ。
そもそも、日本代表メンバーがズラリと並び、「優勝候補」と目された東京サントリーサンゴリアスが初戦を落とした要因は何か?
試合後の会見で田中澄憲監督、齋藤直人キャプテンが口をそろえたのは「全員が同じ絵を見てプレーできていたのか」という点だった。
フランス1部リーグから3シーズンぶりに日本復帰を果たした松島幸太朗も、「日本代表組は開幕直前にチームに合流したばかり。カウンターなのか。キックでいくのか。キックは何の種類を蹴るのか。そういった細かい選択の部分で曖昧さがあった。でも、これは改善していける反省点です」と振り返る。
また、チームの司令塔・流大は、「いいアタックもたくさんあった。自分たちのやってきたことに疑いを持たずにもっと突き詰めてやれば、よくなってくると思います」と、しっかり前を向く。
その「自分たちのやってきたこと」を徹底すべく、今週の練習に取り組んでいる。チームのアドバイザーを務めるエディー・ジョーンズ元イングランド代表監督も合流。全体練習では何度も笛を吹いてプレーを止め、基本的な部分の確認をうながす様子があったという。
その中で、試合に出る選手だけでなく、チーム全体に向けて指摘していたのは「ハードワークの重要性」だ。第2節はメンバー外となったが、靭帯断裂の大ケガから復帰し、開幕節で1年7カ月ぶりに公式戦出場を果たした江見翔太も、エディー・ジョーンズから指摘された「ハードワーク」について、メンバーと共有したことを明かす。
「各チームの戦力が拮抗している中で、差を分けるのはハードワークの部分。相手が1歩前に出るなら、こっちは3歩前に出る。代表選手に注目が集まりがちですが、チーム全員、誰が出ても“サンゴリアスのラグビー”を体現できます。チーム力で勝利をつかみたいですね」
チーム全員でハードワークを徹底し、同じ絵を見る──。それができれば、味スタに集まるファンに勝利のクリスマスプレゼントを届けることができるはずだ。
(オグマナオト)
NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)
「速いプレッシャーに出ていくこと」。磨いてきた守備で手ごたえを確信に変える
開幕戦での勝利は、NECグリーンロケッツ東葛にとってNTTジャパンラグビー リーグワン初勝利であると同時に、トップリーグ時代を含めて1527日ぶりの勝利となった。ただ、その喜びに浸ることもなく開幕戦終了直後には視界を切り替えた。12月25日、NECグリーンロケッツ東葛は、味の素スタジアムで東京サントリーサンゴリアスと対峙する。
強烈なアタッキング・ラグビーを志向する東京サントリーサンゴリアスとの対戦では、「とにかく速いテンポでアグレッシブにプレーをしてくる。そこに自分たちが引きずり込まれないこと」(金井大雪)、「フォワードが強いので、そこでクイックボールで出させないように良いタックルを決めてスローボールにするというのがカギになってくる」(杉本悠馬)、「最初のフェーズからしっかりノミネートして、相手の出足をどんどん下げるようなディフェンスをしていきたい」(石田楽人)と、選手たちが勝負のポイントとして挙げたのはディフェンス面だった。振り返れば開幕の花園近鉄ライナーズ戦、最終局面における攻防にて勝利を手繰り寄せた要因は、プレシーズンに特化してきたディフェンス練習の成果が発揮されたからである。
金井は、開幕戦で東京サントリーサンゴリアスを撃破したクボタスピアーズ船橋・東京ベイの戦い方を例に挙げ、今節に向けてイメージを膨らませている。
「クボタスピアーズ船橋・東京ベイはブレイクダウンのところのコンタクトエリアのプレッシャーや、キックのチェイスへのプレッシャーをすごく意識しているという印象を受けました。それで東京サントリーサンゴリアスの速いテンポを封じていたので、自分たちもあのような速いプレッシャーに出ていくことが求められると思います」(金井)
NECグリーンロケッツ東葛にとっては、ディフェンスを強いられる試合展開が予想されるが、そこで耐え抜き、少ないチャンスをモノにして得点へとつなげることができるか。1527日ぶりに手にした開幕戦の勝利によって今季への手ごたえはつかんだ。今度は優勝候補を下すことで、つかんだ手ごたえを確信に変える。
(鈴木潤)