九州電力キューデンヴォルテクス(D3)
歴史深き、“電力ダービー”。「そっくりな」チームを倒し、九州の意地を示す
前節、ホストゲーム開幕戦でクリタウォーターガッシュ昭島を43対34で下し、今季初勝利を挙げた九州電力キューデンヴォルテクスは今節も引き続き、ホストゲームでの戦いだ。新年初勝利と今季初の連勝を懸けて1月7日15時から中国電力レッドレグリオンズを迎えての“電力ダービー”に臨む。
「昔からずっと試合をしているので、ライバル意識というか負けられないという気持ちはありますよね」
中国電力レッドレグリオンズとの一戦を前に、赤間勝監督は対抗意識を燃やした。
“電力ダービー”には古くからの歴史がある。電力親善ラグビーフットボール大会、1952年に始まったこの大会は全国の電力会社ラグビー部が電力会社ナンバーワンをかけて戦うもので、九州電力と中国電力は長きに渡ってしのぎを削ってきた。日中はグラウンドで激しくぶつかり合うが、試合が終われば、「夜には懇親会があったりして楽しかった」と赤間監督が振り返るように、ラグビー仲間として親交を深めた。
両者には電力会社を母体とするからこその浅からぬ歴史がある。赤間監督は中国電力レッドレグリオンズを「ひたむきに各自の仕事を徹底的にやり抜くチーム。そういう意味ではウチにそっくりじゃないかな。どれだけロースコアに持ち込んで接戦で勝つかというところを彼らも求めてくるでしょう。ただ、良いチームを作っているなという印象はある」と評する。
突出した個はいないが各選手がそれぞれ、コツコツとやるべきことを遂行する。電力会社に由来するチームカラーが似通ったスタイルを生み出しているのかもしれない。だからこそ、赤間監督も最大限のリスペクトを寄せる。
「“電力ダービー”ということもあって、職場をあげて応援していただけると聞いている。選手たちのモチベーションは上がっている」(中靏憲章)
「ホームなのでしっかり勝ちたい」(山田有樹)
バチバチと火花散る“電力ダービー”。勝つのは九州だ。
(杉山文宣)
中国電力レッドレグリオンズ(D3)
“電力ダービー”でぶつける地元チームへの悔しさ。「絶対に勝ってやろう」と平山真也は意気込む
中国電力レッドレグリオンズの新年初戦は“電力ダービー”。1月7日にNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23ディビジョン3第3節で九州電力キューデンヴォルテクスとのビジターゲームに臨む。
福岡県出身の平山真也は地元での勝利に燃えている。今節の対戦相手はもともと地元の憧れのチームだった。「あわよくば九州電力キューデンヴォルテクスでプレーしたい気持ちもあった。そんなチームと同じ舞台で真剣勝負ができるのは光栄だし、すごく楽しみです」。
福岡工業大学在学中には九州電力キューデンヴォルテクスと合同練習を行い、トップとの実力差を痛感。リーグワンでのデビュー戦となった昨季のディビジョン3 4位~6位順位決定戦第1節でも対戦し、10対43で敗北を喫した。「苦い思い出がいっぱいある相手なので、その悔しかった気持ちをしっかりプレーに出したい。(自分を)獲ってもらえなかったので、絶対に勝ってやろうと思っています」と力を込める。
昨年4月の加入ながら今季は開幕から2試合続けてスタメン入り。開幕直前に負傷離脱した鳥飼誠共同キャプテンの代わりに急きょ出場したが、持ち味である攻守での思い切りの良さを発揮し、代役を見事に果たしている。今節もスタートから強敵相手に果敢に挑む。
「相手は穴が少ないチームだけど、完璧なチームは絶対ないと思っている。いかに自分たちが狙っている作戦を遂行できるかが大事になってくる」(平山)
チームとしては、前節も課題だったセットピースでの攻防がカギになる。有藤孔次朗は、「僕らフォワードが責任を持って闘わないといけない」と奮起。2m超えのトム・ロウを筆頭に屈強な選手がそろう相手とは体格差があるが、自分たちのラグビーで戦い抜く。
「チームとして背が小さいのは短所でもあるけれど、そこを武器にもできる。スクラムは上からくる相手に対して下からめくりあげるようなイメージで、ラインアウトは正面からやり合うのではなくてスピードやタイミングで勝負したい」(有藤)
新年早々に朗報も届いた。中野将宏がケガから復帰してメンバー入り。離脱中に「ラグビーをしたい欲が強くなった」というスピードスターは、出場すれば「自分の走りでチームを勢いづけたい」と大きな推進力になる。
新年の戦いの幕開けを告げる“電力ダービー”。強い気持ちがこもったシビれる戦いで白星をつかみたい。
(湊昂大)