NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)
敗戦の中で得た収穫。すべては成長のために
1月8日、NECグリーンロケッツ東葛は、2023年最初の試合をホストスタジアムである柏の葉公園総合競技場で戦う。相手は前節、関西ダービーを制して勢いに乗るコベルコ神戸スティーラーズだ。
19対50。前節の東京サントリーサンゴリアス戦は最終的には点差が開いた。ロバート・テイラー ヘッドコーチも「ペナルティーを取られることが多かった。そこを改善しないことには良いゲームはできない。練習からブレイクダウン周りを改善していきたい」と敗戦を受けて改善すべき点を述べている。ただ、同時に「ペナルティーのほかは良い部分も多かった」と付け加えた。
「アタックの中でどこにスペースがあるのかをしっかり見て、バックスのラインブレイクからそのままトライを取るというのが何本かありました。フォワードとバックスが一体となってパスをつないでアタックするというところは昨季と比べて良くなったと思います」と、金井大雪が攻撃面における収穫を口にすれば、後半に見事なトライを決めた松浦康一は「最後は点差が開きましたけど、あまりやられている感覚はなく、ディフェンスに関しては良かったと思います。あのディフェンスをベースに、これからどんどん積み上げていかなければいけない」と守備面の収穫を挙げた。
試合を通じて浮かび上がった課題と収穫。もちろん、課題に関しては正面から受け止め、真摯に改善へと取り組む必要がある。それでも、後半の途中まで拮抗した展開に持ち込んだ試合において、選手たちが感じたものはむしろ収穫のほうが多かった。
今後へ向けて、ベテランの瀧澤直はこれまでチームが取り組んできたことの継続こそが重要だと説く。
「東京サントリーサンゴリアス戦は負けてしまいましたけど、自分たちの力を出し切れば試合に勝てるというものを身に付けた。これまでやってきたように継続してトレーニングをして、今まで以上に積み上げて、形にして戦っていく。特別、変えることはありません」(瀧澤)。
NECグリーンロケッツ東葛は若い選手も多く、現在は成長過程にあるチームだ。“継続は力なり”という言葉があるが、それを23年のグラウンドで体現する。彼らが見据えているものは、ここからの飛躍である。
(鈴木潤)
コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)
50キャップ目で迎える、実家近くでの古巣戦。中島イシレリ、いざ今季初先発へ
花園近鉄ライナーズとの“関西ダービー”を制し、今季初勝利を飾った前節のコベルコ神戸スティーラーズ。1月8日、柏の葉公園総合競技場に乗り込んでNECグリーンロケッツ東葛と対戦する今節は、リーグ戦にはずみをつけるためにも連勝を遂げたい一戦となる。
「毎回が大事な試合。花園近鉄ライナーズに勝った良い流れをもっていきたい。勝ち続けていきたい」
勝利への欲求をストレートに語ったのは、コベルコ神戸スティーラーズの中島イシレリ。ラグビーファンに限らず、広く存在を知られる国内屈指のラガーマンだろう。熱狂を生んだ日本開催の2019年のラグビーワールドカップ。オン・ザ・フィールドで強敵相手に身を粉にして戦い、オフ・ザ・フィールドでは明るいキャラクターでお茶の間に笑顔を呼んだ。その姿は多くの人の記憶に鮮明だ。
中島の開幕2試合はいずれも後半からの途中出場だったが、今節で今季初となる先発メンバーに名前を連ねた。「いつもどおり、僕らしいプレーをする。チームのために」と落ち着いた様子で語る中島は、出場すればリーグ戦通算50キャップに到達する。それを尋ねられ、発した言葉には、キャプテンの橋本皓、もう一人のバイスキャプテン・李承信とリーダーズを構成する自らに課した強い使命感があった。
「バイスキャプテンとしてチームを引っ張りたい」
その50キャップという節目で対戦するNECグリーンロケッツ東葛は、流通経済大学を卒業したあとに加入した大切な古巣チーム。在籍した2012年からの3年は長くけがに苦しめられ、思うような出場は叶わなかったが、「すごく良い流れだな、と思います」と節目での対戦に深い縁を感じ取る。今節はビジターゲームだが、決して、ただのビジターではない。
「柏の葉公園総合競技場の近くに実家があるんです。奥さんの家族、友達、大学のOBも来てくれる。みんなが来てくれるのですごくうれしいですね」
多くの人やシチュエーションに導かれるように50キャップ目のフィールドに立つ33歳の元気印。新たな年を迎えた中で貫禄たっぷりのヒゲを金色に一新し、「暇だったから…」ととぼけつつも「新しい中島を!」と気合は十分。コベルコ神戸スティーラーズの2023年初戦を最前線から力強く引っ張っていく。
(小野慶太)