2023.01.22NTTリーグワン2022-23 D1 第5節レポート(横浜E 36-12 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第5節 カンファレンスB
2023年1月21日(土) 12:00 ニッパツ三ツ沢球技場 (神奈川県)
横浜キヤノンイーグルス 36-12 NECグリーンロケッツ東葛

横浜E全員でつかんだ勲章。メンバー大幅入れ替えの試合で、今季初の連勝達成

梶村キャプテンに代わり12番で先発、横浜キヤノンイーグルスの南橋直哉選手

開始早々の連続トライで優位に立った横浜キヤノンイーグルスが、NECグリーンロケッツ東葛の反撃を2トライにとどめ、36対12で今季初の連勝を飾った。

両指揮官と両キャプテンの登壇を待つ記者会見場に、ロッカールームから歓喜の歌声が響いてきた。その声の主は、勝利した横浜キヤノンイーグルの選手たち。「勝ったときにだけ歌えるチームソング」(南橋直哉)は、声の張りが違った。

それもそのはず。今節の横浜キヤノンイーグルスは先発メンバーを大幅に入れ替え、キャプテンの梶村祐介や世界的スクラムハーフのファフ・デクラークが先発を回避。これまでなかなか試合に絡めなかった選手も多数出場するメンバー編成だった。まさにチームの総合力が試される局面。大胆な選手起用を敢行した沢木敬介監督は、その意図をこう説明した。

「シーズンは長いし、下からの突き上げがチームの競争につながる」

こうして先発のピッチに送り出された選手たちは、与えられたミッションを遂行した。「試合に出る機会は少なかったが、試合に向けた準備はしてきた」。戦前、そう話していた南橋は梶村に代わって12番を背負い、80分フル出場。持ち味であるタックルで相手の攻撃の芽を摘み取り、後半30分にはトライも奪った。「これでカジ(梶村)にもプレッシャーが掛かった」とは沢木監督の弁だ。

またウイングのポジションで今季初先発を果たした竹澤正祥も随所に持ち味を発揮。後半33分にトライを奪ったかに見えた場面はTMOにより、タッチラインを割っていたためにノートライの判定だったが、後半には何度か相手のアタックを単独で阻止している。「ディフェンスは得意という自信もついてきたし、それを発揮できた」。竹澤はそう言って胸を張った。

梶村キャプテンによると、横浜キヤノンイーグルスではバックアップの選手たちを「ライザーズ」と呼んでいるという。今節は数多くの「ライザーズ」が出場した格好だが、スタンドで見ていたメンバー外の選手たちも、彼らの一挙手一投足を熱く見守っていた。

なお試合前日、全体練習後のハドルでは、欠場する川村慎が「頼んだぞ」と出場メンバーに勝利を託す一幕があった。竹澤が言う。

「前日の練習はとても硬かったけど、慎さんの声掛けによって、リラックスして試合に臨めた」

今季初の連勝は、チーム全員でつかんだ勲章だった。

(郡司聡)

横浜キヤノンイーグルス

横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(左)、梶村祐介キャプテン

横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督

「最終的に5ポイントを取れたことは良かったですが、ポンポンと2トライを決めたあとにレフリングで苦しむ場面がありました。ただそうした状況にも一喜一憂せずに、自分たちのやるべきことを遂行できる強さが必要です。今日は良いレッスンになったと思います。次の試合に向けて、また1週間良い準備をしていきたい」

──先発メンバーを入れ替えて臨んだ中で、選手層に関しての収穫はあったのでしょうか。

「選手層に関してはまだまだ開きがあります。ただ下からの突き上げがチームの競争力につながりますし、良い競争をすればチームが成長するもの。選手同士がもっとハングリーな状況になれば、もっとチーム力も上がっていくでしょう」

──ミッチェル・ブラウン選手がゲームキャプテンを務めた理由と、梶村祐介選手をベンチスタートで起用した意図を聞かせてください。

「シーズンは長いですし、カジ(梶村)はバイウィークの際に日本代表の活動もあります。また(南橋)直哉にもしっかりとチャンスを与えること。そういった意図です。またミッチ(ミッチェル・ブラウン)がキャプテンを務めた理由は、とてもタフな選手であるということで、今日もプレー面でそういった部分は出たと思います。これでカジにもプレッシャーが掛かったと思いますよ。こういった競争は大事ですし、カジも後半から出場して、良いプレーをたくさんしていました。そういう競争をどんどん増やしていきたいです」

──3トライを奪ったアマナキ・レレイ・マフィ選手のプレーについて。

「力を発揮すればあれぐらいのパフォーマンスは出せるということです。全試合やってもらいたいと思います」

──次節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦に向けて、少々気が早いですが、意気込みをお願いいたします。

「僕たちはチャレンジャーです。自分たちが持っている力を試すチャンスです。持っている力を100%出せるような1週間の準備期間になれば良いなと思っていますし、ぜひそうしたいです」

横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン

「チームとして、もう1トライ、2トライ取れれば相手を仕留められる場面で、前半に相手の流れに合わせてしまう時間帯があったことは反省点です。80分をとおして、5ポイントを取れる点差まで広げることができましたし、新しい選手も入った中で、チームとしての力がもう一段階、上がったような気がしています。次の試合は昨季のチャンピオンチームと対戦する大きなチャレンジが待っているので、また良い準備をしていきたい」

──前半は我慢の時間帯があったことについて。

「確かに前半は我慢の時間帯がありましたが、しっかりと先発メンバーが難しい展開でも我慢をし続けた結果、後半にインパクトメンバーが出てきた時間帯に押し込める形を作れました。規律の部分など、ピッチに立っている選手たちで修正すべきことはありますが、しっかりと我慢できた結果が、後半の点差につながったと思います」

──チーム内の競争が激しくなってきたことは感じていますか。

「なかなか出られていない選手たちのことを『ライザーズ』とチーム内では呼んでいるのですが、実際に練習の強度もここ2、3週間は上がっています。ゲームメンバーが『ライザーズ』から強烈なプレッシャーを受けていることがこういった結果につながっていると思います。こういった状況が続けばイーグルスはもっと良いチームになると思うので、もっと続けば良いなと思っています」

──次節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦に向けて、少々気が早いですが、意気込みをお願いいたします。

「昨季も埼玉パナソニックワイルドナイツに対しては、勝てるところまで持っていきながら、最後に突き放される展開となりました。もちろんチームとして勝つための準備をして試合に臨みたいです。前々節の東京サントリーサンゴリアス戦のように、トップフォームのチームに対してどう戦うか。自分たちからパニックになってしまうとゲームを落とすことは、その試合からレッスンとして学んだので、同じ失敗を繰り返さないように、勝ち切ることをしっかりと体現したいと思います」

横浜キヤノンイーグルス
アマナキ ・レレイ・マフィ選手

──2試合連続のプレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞しました。

「チームメートみんなのおかげです」

──前半に3トライを取れただけに、欲を言えば、後半にももっとトライを取りたかったのでは?

「相手も良いチームですし、後半はトライにつなげるようなチャンスをなかなか作れなかったです。でもたとえ自分がトライを取れなかったとしても、ほかのチームメートが取れれば、こんなにうれしいことはないです」

──要所でディフェンスも光っていました。

「今季はアタックだけではなく、ディフェンスにもフォーカスしています。アタック、ディフェンス、ジャッカル、そしてキックも頑張ります(笑)」

横浜キヤノンイーグルス
ファフ・デクラーク選手

──リーグワンでの初トライを決めました。

「エスピー・マレー選手からボールを呼び込む声が聞こえたのですが、自分で行けると思ったので、チャレンジしました。これからもトライを取れるようにしていきたいです」

──途中出場で意識していたことは?

「試合を見ていてテンポを上げたいと思っていました。それ以外は良いゲーム運びができていたと思います。あとはチームメートとコミュニケーションを取りながら、規律を守ることを徹底するようにしていました」

横浜キヤノンイーグルス
南橋直哉選手

──ご自身の価値を示すプレーができたのでは?

「タックルなど、持ち味である部分を自分の自信にしていきたいですし、僕にできる最善のことに取り組み、こういうチャンスがあった時に力を発揮できる準備をこれからもしていきたいです」

──他のメンバーにもプレッシャーを掛けることができたのでは?

「メンバー外になっている選手たちが練習に真摯に取り組む姿勢を見せることによって、試合でも活躍できるんだという良いメッセージになったと思います。先発で出ている選手にも良いプレッシャーを掛けることができました。チーム全員で良い競争をして、もっとチーム力を上げていきたいです」

──チームとしては、今季初の連勝です。

「今週のゲームはトップ4のスタンダードでプレーし続けるということがテーマでした。特にブレる場面はなかったですし、しっかりと我慢をして、ボーナスポイントを取れる勝点差にできて良かったと思います」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のロバート・テイラー ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ロバート テイラー ヘッドコーチ

「まずはキヤノンの勝利おめでとうございます。最近の試合では先に失点をして追いかける展開が続いています。そうなってしまうと、われわれとしても勝利につなげるのは難しくなります。できれば、先に点を取って先行する形に持ち込めれば良いのですが、それができずに苦しんでいます。また今日に関してはシンプルなエラーが多かったですし、今後はそういったエラーを減らし、もっと点につながる形を模索しなければなりません」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「先行される展開が続いていますし、先に取られてからみんなの気持ちが入る形になっています。強いチーム相手にそういった展開になると試合が難しくなります。また横浜キヤノンイーグルスがチャンスを作ったときは大半がトライにつながっていました。その一方でわれわれはなかなかトライまで持ち込めませんでした。いつかこの流れを変えていかないと、この流れが続くと余計に疲労感につながりますし、われわれにとっては今季がハードなシーズンになると思います」

──相手が先発メンバーを入れ替えてきました。そのことが発奮材料になるようなことはありましたか?

「自分たちは相手がどんなメンバーで来ようとも、勝ちに行くスタンスで試合に臨んでいますし、相手がメンバーを替えてきても、プレースタイルは変わらなかったです。キヤノンはやはり強いチームでした。でも前半に12対14まで持ち込んで追いつけるチャンスもありましたが、追いつけずに、最終的に屈する形になりました。彼らは今季ベスト4に入るぐらいの力を持っていると思います」

──先に2トライを取られて苦しい試合の入りにはなりましたが、追いつけそうな展開まで持ち込めたことはポジティブな材料では?

「繰り返しになりますが、やはり強いチームに対して、早い時間帯に点差がつくと難しくなってしまいます。良い入りをしないと、なかなか勝つ展開に持ち込むのは難しいです。ただもっと自分たちのラグビーをできれば、トライの数も増やしていけると思います」

NECグリーンロケッツ東葛
金井大雪選手

「立て続けに2トライを取られたことが最後まで響きました。また後半の風上の戦い方も修正が必要だと感じました」

──先に2トライを取られて、難しいメンタルだったと想像できますが、流れを手繰り寄せる雰囲気まで持っていけたことはポジティブな材料では?

「昨季であればそこから崩れてしまったと思いますが、2トライを取られた後に、しっかりとチームとしてゲームの中で修正しながら盛り返せたことは良かったです」

──相手は多くのメンバーを入れ替えてきたため、それが発奮材料になった部分はありましたか。

「自分たちのことに集中していたので、相手のメンバーが替わったことによる心境的な変化は特にありませんでした」

──次の試合につながるという意味での収穫は?

「FWのセットピースに対してしっかりとプレッシャーを掛けることはできましたし、アタックを継続して、相手を崩し、そこからトライを取ることもできました。自分たちがボールを保持して攻める時間をもっと作ることができれば、結果はついてくると思います」

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