2023.01.23 NTTリーグワン2022-23 D1 第5節レポート(花園L 10-51 東京SG)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第5節 カンファレンスB
2023年1月22日(日) 12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ 10-51 東京サントリーサンゴリアス

“持っている”若き俊英に漂うブレイクの予感。初先発の河瀬諒介が“地元・花園”で逆転勝利に導く

前節に続いての活躍、東京サントリーサンゴリアスの河瀬諒介選手

1月22日に東大阪市花園ラグビー場で3連勝中の東京サントリーサンゴリアスを迎え撃った花園近鉄ライナーズ。それまでのホストゲームでは大敗が続いていた花園近鉄ライナーズが先制トライを奪い、課題のディフェンスもこれまでとは違う踏ん張りを見せていた。しかし、リーグワン初先発を飾った若き俊英の逆転トライで流れを引き戻した東京サントリーサンゴリアスが51対10で逆転勝ち。力の差を見せつけた。

この試合に向けて、泊まり込みではないものの「ミニキャンプ」を実施。課題の守備面を整備してきた花園近鉄ライナーズが6分に岡村晃司のトライで先手を取り、これまでならばあっさりとトライを許していた展開でも粘りを見せるなど、明らかに東京サントリーサンゴリアスは試合の序盤、手こずっていた。

「花園近鉄ライナーズさんが素晴らしいファイトをしてきたと思います」と語った田中澄憲監督の言葉は決して社交辞令ではないだろう。そんな展開を一変させたのは河瀬諒介だった。

前節のコベルコ神戸スティーラーズ戦でリーグワン初出場を果たし、最初のボールタッチで初トライを決め、リーグワンで初先発に抜擢された。

元日本代表の父、泰治さんもスタンドで見守る一戦は、大阪生まれの河瀬にとって特別な一戦だ。田中監督は「やっぱり、“持っている”なと」と河瀬の活躍に目を細めたが、若武者が持っているのは運ではなく、「トライを取る力、ラインブレイクする力」(田中監督)である。

前半23分、ラックから出されたボールを受けると河瀬は鋭い切れ込みから2試合連続でのトライに成功。「初先発を“花園”で迎えられたのはすごくうれしかったです」と東海大学付属大阪仰星高校時代、“花園”で日本一に輝いた逸材は、思い入れのあるピッチで躍動する。

日本代表の松島幸太朗が温存されたこの日の東京サントリーサンゴリアスで、最も輝いたのは今季自身最多となる4トライを決めた尾崎晟也だが、尾崎の2トライ目を演出したのも河瀬。「2対1の状況で先にボールを離せば、河瀬が何とかしてくれるという信頼もあったので、自分は本当に“おいしいトライ”をいただきました」(尾崎)。後半9分、左に展開した流れで尾崎からのパスを受けた河瀬は快足を生かして横井隼のタックルを振り切ると、尾崎に絶妙のつなぎを見せてトライをお膳立てした。

自身が奪ったトライよりも「崩して取った場面はコミュニケーションも取れていた」とアシストの場面を喜んだ河瀬。「バックスリー(ウイング、フルバック)はライバルが多いですけど、その中でもちょっとでも試合に出られるように頑張っていきたい」。端正なマスクを引き締めてこう言い切った河瀬に、ブレイクの予感が漂っている。

(下薗昌記)

花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズの水間良武ヘッドコーチ

花園近鉄ライナーズ
水間良武ヘッドコーチ

「前半は攻められて、タックルで取り返して、先制トライを取って、といい試合ができました。ただ後半のキックオフのレシーブで攻める選択をして、ミスが起こって、そこのスクラムからのディフェンスでトライされた。そのあともゲインラインのバトルのところで差し込まれて、速い球を出されてつながれてトライを奪われてしまった。やっぱりラグビーは80分なので、40分だけではダメだと。ただ先週、先々週と大敗した中で、今週はいい準備ができて、40分までは戦えるところは見せられたので、これを41分、42分と延ばしていって最後勝てるようにまたこれからやっていきたいと思います」

──前半はかなり相手がフェーズを重ねてきたところをしっかりと体を当てて止められていましたが、今週フォーカスして取り組んできたことを教えてください。

「東京サントリーサンゴリアスはアタックのチームなので、タックルをすること、それからスローボールにすること。これまでは理想を追いかけて、状況判断でボールを取るジャッカルか、乗り越えてオーバーしていくのかというところをしていたんですけど、今週に関しては『ジャッカルに行っていいのはジェド・ブラウンだけ。あとの選手は全員頭を突っ込んでスローボールにしろ』と伝えてそれをやりました」

──前半、チャンスのところでトライを取り切れていれば、後半は違う展開になっていたと思うのですが、いかがでしょうか?

「おっしゃるとおりですね。前半もそうですし、後半もそうですし、取り切れるところで取り切れない。まだ最後のところでミスがある。それは判断のミスもそうですし、スキルのところもそうですね」

──厳しい言葉になるかもしれませんが、特にその判断のところでは、焦らなくていいところでのミスと記者席から見ていて感じたのですが、そのあたりいかがですか?

「みなさんもラグビーを見られて目が肥えているので、そのとおりですね。選手のハドルの中でも『自分たちのシステムに間違いはないから焦らずにやっていこう』というような話は出ていましたけど、どうしてもやはり個人プレーといいますか、目の前にチャンスがあると思ってそれを選択してしまっている選手がいますね。選手の中でも具体的に、いつも言っているんですけど、ちゃんと名前を呼んで欲しいアクションを言おうと。それができていないから選手もそういった判断をしてしまっているということですかね」

──それを改善するには練習で愚直にやっていくしかないと思うのですが、いま考えている改善策はどのようなものでしょうか?

「今週はいろいろなミーティングをして、いろいろな話が出て、いろいろなぶつかり合いがあって、変わり始めた。本気で変わり始めて、これで40分は戦えた。ここからさっきも伝えましたとおり、今日は後半の最初、42分にトライを取られたのでここから1分ずつ延ばしていけるように日々やっていくだけですね。それしかないですね」

──今年に入ってからのホストゲーム3連戦で今季初勝利を目指していたと思いますが、3連戦が終わったいまの心境はいかがですか?

「応援してくださるみなさんがいる中で、パッセンジャーの方々に、いい思いをお届けできていないのは選手もそうですし、われわれもチーム全体で心苦しく思っています。次回はみなさんに喜んでもらえるような結果をお届けできるようにいい準備をしていきます」

──今日は選手の試合でけがから復帰を果たした吉本匠選手をスタンドオフで起用されましたが、その狙いを教えてください。

「タックルをできる選手を選ぶ。これは昨季から変わっていないです。吉本がようやくけがから帰ってきた。もちろん、東京サントリーサンゴリアスはアタックのチームなのでわれわれはディフェンスからモメンタム(勢い)を作っていく目的で吉本を起用しました。ジャクソン(・ガーデンバショップ)もタックルが良くなかったので、彼にも『タックルが良くないから外す』という話をして、彼も練習に本気で取り組み始めましたね。隣にいるウィル(・ゲニア)もタックル練習に付き合ったり、他の選手、それから手をけがしているパトリック(・タファ)も彼はまだ全体練習に参加していないですけど、彼がタックルを受けたりするとか、そういうこともやって、その選手それぞれのジャクソン(・ガーデンバショップ)の課題の改善にもチーム全体で取り組んでいます」

花園近鉄ライナーズ
ウィル・ゲニア ゲームキャプテン

花園近鉄ライナーズのウィル・ゲニア ゲームキャプテン

「結果に関しては残念です。特に前半40分はいいプレーができていたぶん、後半はそのままの勢いをもっていきたかったんですけど、そうならずに残念です。その要因はやはり個人的なところ、1対1のタックルに入れない、役割のところでミスが出る。ラインアウトのところもそうですし、バックスとしてもスクラムからラインアウトからのアタックでミスが出ていました。今週はすごくいい練習ができていて、個人にも責任感が出てきて、コーチ(水間ヘッドコーチ)が言っているようにジャクソン(・ガーデンバショップ)のディフェンスに関しても個人の責任感も出てきたし、チームもそれをサポートする意識ができて、いい方向にチームとして向かっていた中なので特に残念です。ここからは今日の試合の映像を見直して反省して、そこから成長していくしかないと思います」

──今週のミーティングでいろいろなぶつかり合いがあったと聞きましたが、具体的にどのような収穫があったのでしょうか?

「先ほど申し上げたように、個人の責任の部分ですね。このレベルで、フィジカルで勝負できない理由には何が足りないのかを討議して、それについてどう取り組むのかをみんなで話し合って、それで実際に取り組めるようになってきたんです。それが今週はできていたからこそ、前半40分はあのような試合ができたと思います。ここからはそれに満足せず、その時間帯を50分、60分、70分、80分と延ばしていけるかがポイントになると思います。結局、個人のところですね。個人の責任感が増して、具体的に何をしないといけないかをみんなが分かり始めて、それにチームとして取り組めるようになってきたということです」

東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの田中澄憲監督(左)、齋藤直人 共同キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督

「今日は本当にありがとうございました。なかなかない関西の試合で本当にたくさんのお客さんに来ていただいて選手たちもいい環境でゲームができたと思います。ゲームのほうは、花園近鉄ライナーズさんが素晴らしいファイトをしてきたと思います。たぶんこの2試合はなかなか思ったような結果が出ていなくて、このゲームに対してすごく、フォーカスを、特にディフェンスの部分をやってきたと思います。われわれもそれは分かっていたことだったんですけども、そこのプレッシャーをなかなか破ることができなかった。前半は苦しんだんですけども、後半はもう一度しっかり、東京サントリーサンゴリアスらしいラグビーということで選手たちがそれを体現してくれてこういう結果につながったと思います。次もタフなゲームになりますのでもう1回いい準備をして試合に向かいたいと思います」

──齋藤直人キャプテンの言葉にもありましたが、多少メンバーを変えたというところで、前節から変えた部分をできる範囲で教えてください。

「シーズンは長いですし、いま5連戦でずっと毎週続くのでけがのリスクとか、あとは先週に練習試合もしまして、そこでいいパフォーマンスをしてくれた選手もいましたので、そういった選手も含めて今日、こういうメンバーで挑んだということです」

──前半は確かに苦しまれましたが、河瀬諒介選手のトライで流れが変わったように思います。初先発でチャンスをつかんだ彼の評価を聞かせてください。

「先週のコベルコ神戸スティーラーズ戦に続いて、やっぱり“持っているな”と。トライを取る力、ラインブレークする力は彼の持ち味だと思いますので、それを存分に今日発揮してくれたと思います」

東京サントリーサンゴリアス
齋藤直人 共同キャプテン

「本日はありがとうございました。田中澄憲監督が言うように前半は特に花園近鉄ライナーズの激しいプレッシャーに何度も苦しんで自分たちのペースがつかめなかったところがあったと思いますが、試合をとおして後半はメンバーが少し変わり、システムも少し変えて最終的にはあのようなスコアで勝つことができました。今週は多少メンバーも替わっていたので、そういった中でも、うまくいかない部分も多かったですけど勝って反省ができると思います」

──前半、なかなかトライを取り切れませんでしたが、そのあと、うまくいくようになったポイントを教えてください。

「自分は前半だけだったんですけど、しっかりと前半は我慢して、強めのアタックをして、その中でも逆のスペースが空いていることはやりながらコミュニケーションが取れていました。後半にそのスペースを生かせるようになったのは、ちょっとうまくいかなかった中でも前半に攻め続けたことが一つかなと思います」

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