2023.01.23NTTリーグワン2022-23 D1 第5節レポート(BL東京 63-25 トヨタV)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第5節 カンファレンスA
2023年1月22日(日)14:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 63-25 トヨタヴェルブリッツ

個性×充実が生み出す相乗効果。セタ・タマニバルとともにチームは輝きを増す

身長189cm・体重104kgのサイズとスピードをあわせもつセンター、東芝ブレイブルーパス東京のセタ・タマニバル選手


東芝ブレイブルーパス東京は22日、秩父宮ラグビー場でトヨタヴェルブリッツを63対25と圧倒し、通算成績を3勝2敗とした。

ジャパンラグビー トップリーグ時代から国内屈指のフィジカルバトルを繰り広げてきた両チームの一戦は、意外な大差となった。東芝ブレイブルーパス東京のリーチ マイケルは「予想外の点差でした」と驚き、小川高廣共同キャプテンは「点差がここまで広がるとは思っていませんでした」と振り返った。

敗れたトヨタヴェルブリッツのベン・へリング ヘッドコーチは「とても残念」と何度も繰り返し、ピーターステフ・デュトイ ゲームキャプテンは「向こうのほうがハングリー精神、情熱、プライドがあったように感じました」と肩を落とした。

東芝ブレイブルーパス東京を快勝に導いた選手の一人が、前半に2トライを挙げたセタ・タマニバル。フィジー出身で、ニュージーランド代表3キャップを持つセタ・タマニバルは、強烈なハンドオフと巧みなオフロードパス、フォワードに当たり勝つほどのパワーで何度もディフェンスを攻略した。

「すごく楽しめました。自分の内側の選手がやるべきことをやってくれるので、自分がやりやすくなっています」

トッド・ブラックアダー ヘッドコーチはセタ・タマニバルについて「ボールキャリーでは世界最高峰の選手と言っても良いと思っています。肉体的に強く、体のサイズ(身長189cm、体重104kg)もありますし、スピードも素晴らしい」と絶賛。「彼に対応するには二人のディフェンダーを置かないといけないほどの選手です」と、その価値を説明した。

長い腕を生かしたハンドオフとオフロードパスについて質問すると、セタ・タマニバルは照れたように笑ってからこう答えた。

「自分の強みだと思っています。毎試合、できるだけ自分の強みを生かしていきたいです」

セタ・タマニバルの個性がチームに勢いを与え、チームの充実がセタ・タマニバルの個性を際立たせる。魅力抜群の相乗効果が、東芝ブレイブルーパス東京をさらに輝かせる。

(安実剛士)

東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、小川高廣 共同キャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「隣にいる小川高廣をはじめとした選手のことを誇りに思います。練習でハードワークをして、しっかり準備をして臨むことができました。今回は基本的な部分を実行することができたと思っています。選手たちが自信を持って、自然な形でプレーする姿を見られて良かったです。

スクラム、ラインアウトがうまくいって、バックスに質の良いボールを提供できました。トム・テイラー、小川がチームを引っ張ってくれました。80分間、素晴らしかったと思います」

──プレーを実行する上で良かった点は?

「迷わずにダイレクトにプレーできたのが良かったと思います。基本的な、シンプルな部分をしっかりできました。シンプルな部分ができれば判断もより正確にできますし、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でのテンポ、スピードも出せたと思っています」

──セタ・タマニバルが良いコンディションを保っていると思いますが、アドバイスなどしていますか?

「ボールキャリーでは世界最高峰の選手と言ってもいいと思っています。肉体的に強く、体のサイズもありますし、スピードも素晴らしい。彼に対応するには二人のディフェンダーを置かないといけないほどの選手です。自分たちのチームに推進力を与えてくれます。彼が良いプレーをしてくれるときはチームが順調だということ。彼がステップアップして、役割をこなしてくれたことをうれしく思います」

──後半31分にキックチャージから独走されても、ジョネ・ナイカブラが戻って止めたシーンについては?

「緊急性を持ってディフェンスに戻るのは自分たちのDNAです。簡単にトライをさせない、大事な瞬間で気持ちを切らさない、というのは大事だと思っています。ジョネがあのプレーをしてくれたことを誇りに思います」

――ペナルティが少なかったですが、チームの規律については?

「すごく良かったと思います。どうやって相手にプレッシャーを掛けるかを意識していて、レフリーの声を聞くこともできました。マット・トッドがレフリーの声を聞いてボールから手を離したシーンもあり、我慢強く、声を聞いて反応できました。レフリーが求めている画に一貫性があったのでやりやすかったです」

――先週の試合でイエローカードをもらったリーチ マイケルについては?

「個人的には少し不公平なイエローカードだったかなと感じています。リーチはみなさんがご存じのとおり、公平でクリーンな選手です。今日も肋骨が痛い中でチームのためにプレーしたことに彼の人間性が出ていると思います。彼自身は規律を守る選手です」

――外国人レフリーがリーグワンの試合を担当することについては?

「リーグワンが若いレフリーを育成するために、時には外国のレフリーを招待して、育成を手伝ってもらうのはすごく良いと思います。自分たちとしてはジャパンラグビー リーグワンが世界一のリーグになってほしいと思っていますので、若いレフリーの成長を手助けする場があるのは素晴らしいことです。自分たちも外部のコーチを受け入れて学ぶことをしていますし、レフリーも同じようにできると良いですね。

試合後にニック・ベリー レフリーと話しましたが、選手の質に驚いたと言っていました。競い合った中でのプレーも良かったと言っていて、好印象だったことを聞けたのは良かったです。選手も今日の試合を楽しめましたし、良いラグビーの日でした。ファンのみなさんもオープンなラグビーを楽しんでくれたのではと思います」

東芝ブレイブルーパス東京
小川高廣キャプテン

「試合前には、シンプルにブレイクダウンだけしっかりやっていこうと話しました。80分をとおして良かったと思います。ブレイクダウンがしっかりできれば、自分たちのグラウンドを広く使うラグビーができると思っていました。毎試合続けてできるようにやっていきたいです」

──今週はブレイクダウンの練習を集中的に行ったのでしょうか?

「練習で普段と変わったことはやっていません。マインドセットの部分でサポートの速さなどを意識付けできたのが良かったと思います」

──トヨタヴェルブリッツを相手にこれだけの点差をつけた。手ごたえは?

「先週のゲームからの反省で、ブレイクダウンをしっかりするのがすべての始まりなので、そこができれば自分たちのラグビーができると伝えて、やり切ろうと話していました。

(点差については)ここまで広がるとは思っていませんでしたし、先にトライを取られて難しいゲームになりそうだと感じていました。自分たちのやるべきことをやり切ればこういう結果につながる、というのは自信になります」

──ペナルティが少なかったですが、その要因は?

「自分たちがブレイクダウンを意識したこともあると思います。今日のニック・ベリー レフリーは一貫性があって、わかりやすかったこともプラスになりました。アドバンテージも流してくれてゲームが止まらなかったですし、見ていてもやっていても楽しい展開になったのかなと思います」

トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツのベン・へリング ヘッドコーチ(右)、ピーターステフ・デュトイ ゲームキャプテン

トヨタヴェルブリッツ
ベン・へリング ヘッドコーチ

「(ため息をついてから)とても残念な気持ちです。今まで練習でやってきたことを体現できませんでした。タックルミスが非常に多く、ロッカールームも非常にがっかりした雰囲気でした。素晴らしいメンバーがいるチームですが、今日はうまくいかず、とても残念です」

──東芝ブレイブルーパス東京戦に向けてどのような対策をしてきましたか?

「フィジカリティで相手に向かっていって、トライを取る準備をしてきました。エキサイティングなラグビーをするつもりでいたのですが、相手が容赦なくフィジカルにやってきて、われわれがメンタル面でついていけませんでした。東芝ブレイブルーパス東京さんは最初から勢いがあって、自信もあって、それがスコアに反映されたと思います」

トヨタヴェルブリッツ
ピーターステフ・デュトイ ゲームキャプテン

「ベン・へリング ヘッドコーチと同じく、残念な気持ちです。フィジカルの部分でやられてしまいました。相手はプレーの実行力が非常に高かったと思います。トヨタヴェルブリッツがトライをするときは何度も攻めてハードワークの末に奪った形でしたが、トライをされたときは簡単に許してしまいました。自分たちの良さが出せず、タックルミスもすごく多かったです」

──パスがつながらない場面が目立ちましたが、その理由は?

「パスがつながらなかったことについてですが、フィジカリティで相手に上回られたことが大きいと思います。東芝ブレイブルーパス東京さんはディフェンスでもアタックでも強かったです。その相手のフィジカリティによって、自分たちがつなぎたいところでうまくつなげないという状況に陥ったと思います」

──トヨタヴェルブリッツには良い選手が多くいますが、今日のような結果になったことについては?

「メンタルの部分が影響していると思います。向こうのほうがハングリー精神、情熱、プライドがあったように感じました」

──試合が終わった後に、ニック・ベリー レフリーとどんな話をしていたのですか?

「まず、彼はとても良いレフリーだと思います。試合中からグラウンドで話していたのですが、前半27分にモールで取られたトライについて質問しました。自分たちもレフリングに合わせた戦い方をしなければいけなかったと思います」

――前節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦ではフィジカル面で戦えましたが、今日は違いました。波がある原因は?

「良い質問です。自分たちも波についてはわからないことがあります。ラグビーはもともとフィジカルのスポーツでメンタル面も試合結果に反映されます。メンタル面の調子が良いチームは試合でもうまくいきますし、そこに波があると良くない結果もやってきます。トヨタヴェルブリッツとしては自分たちの思うようにいかなかったときに適応力が必要になってくるので、そこを改善していかないといけません」

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