三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

集中力の維持が実力発揮のカギ。勝利のために全員で「同じ絵を見る」

「同じ絵を見られなかった」。三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)の岩村昂太キャプテンは前節の敗因をこう口にする。

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1初参戦の相模原DBは強敵に対して、粘り強い守備を遂行。きん差で勝利をつかみ、開幕3連勝を果たした。しかし、そのあとは引き分けを挟んで4つの黒星。ここ数試合、前半はこれまでどおりの戦い方ができているが、後半での連続失点で引き離される展開が続いている。

「15人中一人でも違う動きをすると、相手にとっては脅威にならないことがあるので、全員がチームで決められたこと、それぞれの役割をしっかりと果たすことが大切です」。この共通認識を岩村キャプテンは「同じ絵を見る」と表現する。

前節はイエローカードを受けて一人少ない状況でチームは連動性を失い、失点を重ねた。「集中力の維持」、課題は明確だと岩村キャプテン。「東芝ブレイブルーパス東京戦のように自分たちには14人でも戦えるフィットネスとディフェンス力があります。集中力が切れることを改善できれば、これからも問題なく戦えます」と言い切る。

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)も連敗中。シーズン後半最初の試合、勝利でいいスタートを切りたいという思いは同じ。し烈な戦いになるだろう。

「強みのディフェンスでボールを奪って流れをつかむ。前に出るディフェンスは一人ひとりが低く入る(タックルする)ことを継続してペナルティを避ける。いまは結果が出ていない、難しい状況ですが、次のGR東葛戦に集中し、自分たちの役割を遂行すればいい結果がついてくるはずです」(岩村)

シーズン前半の8試合を終え、チームはフィットネスやディフェンス力がディビジョン1の戦いで通用することを確認した。そして、毎試合からの学びで一歩一歩成長しているという手応えもある。連敗中であっても、“挑戦者の輝き”を失うことはない。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズの岩村昂太キャプテン。「集中力が切れることを改善できれば、これからも問題なく戦えます」


NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)

立場は変わり、いまは自分が示すとき。フッカーでありリーダーの29歳が先頭に立つ

前節、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)はトヨタヴェルブリッツに18対21で敗れた。惜しくも開幕戦以来の勝利とはならなかったが、試合内容に関しては悲観するものではなかった。今節、秩父宮ラグビー場で行われる三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)とのビジターゲームで、上向きにあるチーム状態を結果につなげたい。

「とにかくセットピースを安定させて、相手にプレッシャーを掛ける。その中で僕が意識しているのはフォワードパックとして、相模原DBに『GR東葛のフォワードは強いな』とか『アグレッシブだな』と思わせるような勢いをもたらしたい」

そう意気込みを語るのは、フッカーとしてスタメン出場する佐藤耀だ。

フッカーはスクラムの最前列であるフロントローの中央を担い、スクラムの舵取りを行うほか、スクラムハーフから入るボールを後方に送る、いわば“スクラムの要”とも言われるポジションである。今季、佐藤は石田楽人とともにチームのスクラムリーダーに任命された。「もともと、僕はスクラムで頑張りたいと思っていた選手」と言う佐藤。スクラムリーダーの役職を与えられたとはいえ、あらためて何かが大きく変わったわけではない。それでも頻繁にコーチ陣とコミュニケーションを取り、スクラムを細かく調整するなど率先してチームをけん引している。

いまはリーダーの一人として、チームを引っ張る立場にあるが、その礎を築き上げてくれたのは、彼の良きお手本となった先輩選手たちだった。

「タキさん(瀧澤直)、土井(貴弘)さん、いまは横浜キヤノンイーグルスにいる(川村)慎さんからは多くのことを学ばせていただきました。波も大きかったので、自分がどういうときに良くなって、どういうときに悪くなるのかを理解して、それを一つひとつのスクラムで修正することや、良いところに持っていくということを学びました」

1月27日で29歳になり、年下の選手も増えた。いまのGR東葛は若いチームである。かつて自分が年上の選手から学び、成長の糧にしてきたように、いまでは佐藤が気づいたことを若手選手に伝え、彼らの成長を促している。

「若い選手が多く、どういうときに良いスクラムを組めて、どういうときに悪いスクラムを組んでしまうか、まだよくわかっていない選手もいます。そういうときにその選手が良い姿勢で良い形に持っていけるように、2番としてコントロールしています」

冒頭でも述べたとおり、前節は黒星を喫するも勝利まであと一歩だった。内容面では収穫も多く見られた。

今度こそ勝利をつかむ──。

その強い思いを携えて、佐藤はGR東葛を力強く引っ張る。チームリーダーの一人として。

(鈴木潤)

フッカーとしてチームをリードするNECグリーンロケッツ東葛の佐藤耀選手。「とにかくセットピースを安定させて、相手にプレッシャーを掛ける」


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