清水建設江東ブルーシャークス(D2)
図らずも空いた1カ月間。この期間の成果は?
第5節は相手チームが原因で直前に試合中止が決まり、その次の第6節も中止となったため、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)は、1カ月以上の間、試合が空いてしまった。再スタートとなる3月4日(土)開催の第7節は、江東区夢の島競技場に浦安D-Rocksを迎えてのホストゲームとなる。
試合が中止になってしまったことでモチベーションにも変化があったようだが、コンディションを落とさないよう取り組んできた。この期間を“課題修正の時間”とし、アタック面のズレやポジショニングの整理、またディフェンス面では、キック後の切り替えなど前半戦で見つかった課題を修正した。
2月18日(土)には三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)とのトレーニングマッチを実施し、41対29で勝利を果たした。大隈隆明監督は、「相模原DBさんとは、5年ほど前から毎年トレーニングマッチを実施しています。これまで一度も勝つことができなかった相手に今回初めて勝利できたことは、選手たちにとっても大きな自信につながったと思います」と話している。
トレーニングマッチに出場したメンバーの中には、アーリーエントリー制度で加入した選手もいた。大隈監督は「新加入選手のモチベーションが非常に高く、『やってやろう』という気持ちが伝わってくる。新しい風を吹かせてくれていて、試合に出るベテラン選手への刺激にもなり、チームの活力になっている」と話した。その好影響は試合でも現れるだろうか。
チームは、約1カ月試合が空いてしまう中で、ファンの方と少しでもつながっていられるようにと2月25日(土)には「練習見学会」を行った。子どもから大人まで幅広く練習場に来場し、選手たちは感謝を伝えた。
今節は、エスコートキッズではなく“エスコートファミリー”として23組のご家族が選手と入場予定。入場後には、お子さまだけでなく、ご家族一緒に記念撮影も可能となる。さらに、当日はラガマルくんと、チームのマスコットキャラクター鮫太朗との初コラボも実現する。
トレーニングマッチで今季初勝利を収め、その勢いのまま迎える第7節。約1カ月の修正期間が実を結ぶのか注目の一戦となる。青く染まる“夢の島”で、ファンとともに勝利をつかむことができるか、ぜひ会場で見届けていただきたい。
(山村燿)
浦安D-Rocks(D2)
ラグビーでもオフフィールドでも。浦安DRが目指す“強いチームのその先”
またもや圧勝だった。前節、豊田自動織機シャトルズ愛知を59対12で降し、破竹の6連勝を飾った浦安D-Rocks(以下、浦安DR)。何より大きかったのは、後半に失速してしまう課題に改善が見られたことだろう。
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチは「自分たちのスタンダードを守り抜こう」と話していたが「大部分ができていた」と評価。飯沼蓮キャプテンも、「まだ自分たちの追い求めている完璧なところまでは至っていない」としながら、「いつもよりいいスタンダードでできていた」と語った。
その評価については、第4節から先発出場を続ける石井魁も同様だった。「一貫性を持つために次節も、そして、シーズンをとおして波なく出せるようになることで自分たちはさらに成長できるんじゃないかと思っている」と襟元を正した。
「プレシーズンのけがが長引いた」ことで石井魁は第3節まで出場機会はなかったが、復帰3戦目の前節は好プレーを披露。「少しずつよくなってきている」と謙遜しながらも、層の厚い浦安DRで今節もスタートメンバーに名を連ねた。
「僕なんかより、もっと若い選手を取材してくださいよ」などと飄飄としている石井魁だが、グラウンド外では別の顔を持っている。ずっと興味があるジャンルだという『保育』に関連して、子どもたちがスポーツに触れるきっかけ作りの活動を実施しているのだ。
「僕がラグビーを始めたのは高校生からでしたが、僕の周りにはいろんなことを経験できる環境がありました。その中でたまたまラグビーが選択肢にあって、それを選んで選手としてやらせてもらっています。そうしたきっかけを作っていきたい」
『My First Ball~子ども達の未知を知に変える機会を創る~』と銘打たれたプロジェクトが面白いのは「普及活動ではない」(石井魁)点だ。競技の垣根を越え、子どもたちに様々な種類のボールに触れてもらう。指導などは行わず、アスリートたちも一緒になって遊ぶ。
普及よりも一歩手前の環境作り、入り口を作ったその先で、気に入ったスポーツがあれば取り組んでもらいたい。そうした姿は浦安DRの目指すものとも一致する。ただ、そのためにはやはり、競技で魅せることも必要だ。
「まずは1試合1試合、勝っていくことによって、より応援してもらって、ラグビーの試合でもオフフィールドの場でも、いい影響を与えられるチームになっていきたいなと思いますし、そうした存在になれると思います」(石井魁)
ただ強いチームのその先へ。目指す姿のために、浦安DRは今節もスキのない勝利を狙う。
(沖永雄一郎)