2023.03.13NTTリーグワン2022-23 D1 第11節レポート(静岡BR 27-40 S東京ベイ)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(交流戦) 第11節
2023年3月11日(土)14:30 エコパスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 27-40 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

ラグビーらしい美しい情景。
二人のレジェンドが100試合目を達成した日

2人同時にリーグ戦通算100試合出場を達成、試合後、両チーム合同でセレモニーが行われた

3月11日(土)に行われた静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)とクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)の一戦は、2019年のラグビーワールドカップで日本がアイルランドに勝利した静岡県袋井市のエコパスタジアムで開催された。

試合は、2位のS東京ベイがパワーや攻撃力を見せつけて立ち上がりから先行し、40対27で勝利。静岡BRにとってはホストゲームで非常に悔しい敗戦だったが、試合後には両チームが入り交じって誇らしい二つのセレモニーが催された。

静岡BRの日野剛志と、S東京ベイの立川理道、二人のリーグ戦通算100試合出場を祝うセレモニーだ。

ともに33歳で、国内では所属チーム一筋のレジェンドであり、日本代表やスーパーラグビーの経験を持つという面でも共通する。さらに日野は同志社大学、立川は天理大学出身で大学時代から対戦経験があり、お互いに意識してきた存在だった。

その二人が同じ試合で100キャップを達成したことは「本当に感慨深いです」と日野は言う。

「彼とは同い年で、大学の関西リーグでやっていた頃からずっとしのぎを削ってきたライバルでもありますし、サンウルブズ(スーパーラグビー)や日本代表では一緒にプレーしたこともあります。(NTTジャパンラグビー)リーグワンで二人同時に100試合というのは今後もなかなかないことだと思うので、彼と一緒に迎えられたのはとても光栄ですし、すごくうれしく思います」(日野)

立川のほうも同じ思いを口にする。

「日野選手とは同級生ですし、(大学の)関西リーグから一緒で、今回一緒に100キャップを取れたことはすごくうれしいです。今日は日野選手のホームだったんですけど、その中でもこうしてセレモニーをしていただいて、本当に感謝をしています」(立川)

中心選手としてチームを引っぱり続けている二人だが、今後もそれは変わらないだろう。若い選手の手本となるスキルやラグビーに取り組む姿勢、そして人格を備えている。チームにとって本当に宝のような存在の彼らが同時に100試合目を迎えたことは、何か運命的なものを感じざるをえない。

試合中は熱く激しくぶつかり合った両チームの選手たちが、試合後はお互いに笑顔で相手を称え合い、二人のレジェンドを分け隔てなく祝う姿も、本当にラグビーらしい美しい情景だった。

(前島芳雄)

静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
堀川隆延ヘッドコーチ

「前半が終わった時点で、かなり手ごたえはありました。自分たちのテンポでボールを出していけば必ずスペースにボールを運べる、スコアもできるという手ごたえがありました。だけど、やはり前半、後半をとおして40失点してしまったら、ゲームに勝てないと思います。まだまだ本当に良くなる部分はたくさんあると思うので、先週あまり良い準備ができなかったこともありますし、来週は今日の反省をしっかりレビューして、より成長できるように選手としっかり会話して進めていきたいと思います」

──40失点。守備に関して気になったところはありますか?

「これまで失点はできるだけ少なくずっとできていましたけど、(今日の失点の原因が)システム的なところなのかフィジカル的な部分なのかというのは、もう一度しっかり映像を見てレビューしたいと思います。ただ、大戸(裕矢)が言ったように、自分たちがスコアしたあとの次のイグジット(アタック側が自陣を脱出すること)の部分は、やはり同じ課題が続いていると思うので、そこで自分たちがどうやってボールをキープして相手陣に入っていくのかというフィールドポジションの取り方などは改善の余地があると思います。そこは改善していきたいと思います」

──途中交代したクワッガ・スミス選手はけがによる交代でしょうか?

「そうですね、はい。前半のけがでプレーできない状態だったので。それは本人の意思も含めてですけど」

──その後、鹿尾貫太選手も負傷して、バックスの控えが2枚だったこともあり、すごく難しい展開になってしまったと思います。どのように調整したのでしょうか?

「想定はしていましたけど、けが人の状態がプランどおりではなかったので、まずゲームコントロールを考えてブリン・ホールはそのまま置いて、スクラムハーフの田上(稔)を外側のウイングに置いた。ただ、やはり70分間スクラムハーフでプレーすると、体もかなりキツくなるので、ラスト10分はテンポを上げるために田上をスクラムハーフに入れて、ブリン・ホールをウイングに置きました。あとサム(・グリーン)は本来フルバックでプレーしてほしかったですけど、こういう事態だったので、ボールを動かすには13番にスピードのある選手をと思い、後半の布陣にしました」

──3トライされ、逆にペナルティゴールを2本決めたあとの6対19の場面で、自陣から時間が掛かりましたけどトライを取って迫った前半でした。自陣から攻めていくのは、オプションとして捨てないで持っていたからこそトライにつながったと思いますか?

「そうですね。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)さんの試合を分析すると、キックオフのレシーブから敵陣に入るのに苦労しているチームが多くて、そこからどうやって敵陣に入っていくかに関しては、スペースにボールを動かしながら前進していかないとS東京ベイさんのペースになると。そういう意味では、自陣からも相手のフルバックが3人いる状態であれば回していかなきゃいけないというところは、選手たちが良い判断をしてくれたと思います」

──槇瑛人選手が2トライの活躍でしたが、評価を教えてください。

「今日はやると思っていました、本当に。S東京ベイさんのスペースは外側に見えていたので、彼にいいボールが渡ればとは思っていました。本当にトライだけではなくて、ボールキャリーも含めて、ハイボールも含めて、素晴らしいプレーをしてくれたと思います」

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)の堀川隆延ヘッドコーチ

静岡ブルーレヴズ
大戸裕矢選手

「まず初めに(クボタスピアーズ船橋・東京ベイの)立川理道選手と、(静岡ブルーレヴズの)日野ちゃん(日野剛志選手)に100キャップおめでとうと言いたいです。それと今日エコパ(スタジアム)でホストゲームを開催してくださった関係者の皆様、本当にありがとうございます。

試合内容としては、先ほどヘッドコーチが言ったようなことと、自分たちが苦労してスコアしたのに簡単に取られてしまったこと。いろいろ原因はあると思いますが、また1週間かけて、次のリコーさん(リコーブラックラムズ東京)はアタッキングチームなので、しっかり修正して次節に挑みたいと思います」

──後半はクワッガ・スミス選手がいない中で、どんなところを意識しながら戦っていましたか?

「もちろんクワッガは見てのとおり特別な選手なのですが、いなくなったから何かを変えるということはまったくせず、入ってきた庄司(拓馬)選手はボールキャリーもジャッカルもすごい選手なので、特別ゲームプランを変えるというのはしていません。やはりエリアの攻防であったり、どれだけペナルティを減らして、S東京ベイさんの得意なモールを減らしていくかというところを意識していましたが、前半はイグジットのところであったり、ペナルティをしてしまってからのモールなど、それは40失点になるなというゲームの展開になってしまったので…。防げるペナルティもあると思うので、そこにしっかり目を背けないでやっていきたいです」

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)の大戸裕矢選手


クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「こんにちは。まず今日は特別な1日というところがクボタスピアーズ船橋・東京ベイとしてはあったんですけど、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんもタフな相手でした。その中で立川(理道)選手の100キャップ、マイルストーンがしっかり達成できて、またチームとしてのパフォーマンスをしっかりしていこうと言っていた中でいい結果が出せてうれしいです。

試合をとおして80分間コントロールできていましたし、チャンスを作ってモノにすることができていました。ただ、静岡BRのスクラムに関しては、彼らがすごくチャレンジをしてきたので、非常に大変だった中で学びもありました。ポジティブなこともいっぱいありますし、お祝いできるだけの内容がいっぱいあります。ありがとうございます」

──埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦から迎えた今週のゲームでしたが、敗戦からどんな学びを得て、どういう準備をして臨みましたか?

「埼玉WK戦からの学びのところは、最後のパスをしっかりつなげる、点数に変えるということを掲げてやってきた中で、相手陣内に入ってトライにつなげられたところは、いい反応、いい対応ができていたと思います」

──ディフェンスのプレッシャーがすごく良かったと思いますが、そこはいかがですか?

「おっしゃるとおりで、われわれもディフェンスにプライドを持ってやっている中で、選手がお互いにケアをし合ってしっかりやってくれました。特に22mに入られてからペナルティが続いた中で、しっかり良いディフェンスをしてくれたところも良かったと思いますし、そこが今日勝てた理由だと思います」

──今日100キャップの立川理道選手は、ヘッドコーチに就任されてからずっとキャプテンを任せていますが、その信頼が揺るがないところ、彼の良さというところを教えてください。

「立川を一言で表わすと、“ネバーダイ”、“不死身”のような姿勢の選手だと思います。そういうふうに普段から人生を過ごしていますし、練習も試合もそういう形でやっています。なので、大事な局面でもしっかりトライが取れる選手。そうして一緒に勝ってきましたし、他の選手たちも彼のリーダーシップについてくる。ラグビーの知識もすごいですし、外国人選手も彼についてきます」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)のフラン・ルディケ ヘッドコーチ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
立川理道キャプテン

「お疲れ様です。グラウンドでの挨拶でも言わせていただいたんですけど、本当にこの静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)のホームの中でもすごく歓迎していただき、本当に感謝しています。僕の(ジャパンラグビー)トップリーグのファーストキャップというのがヤマハ戦(当時・ヤマハ発電機ジュビロ)で、100キャップが静岡BR戦で達成できたというのはすごく良い縁だと思っています。静岡BRのスタッフの方に以前、クボタスピアーズ船橋・東京ベイで働いていた人がいて、自分の両親や家族のチケットなどをサポートしていただいて本当に感謝しています。

自分自身の100キャップに関しては、ここからしっかりと積み上げていきながらチームの勝利に貢献していきたいと思っています。今日の試合に関しては、なかなかいいペースを継続することができなかったんですけど、しっかりと勝ち点を取って勝利できたことは、すごくチームにとってもポジティブなことだと思います。ここからまたタフな戦いが始まっていくので、しっかりと修正ポイントを明確にしていきながら、チームとして成長を続けていきたいと思います。ありがとうございました」

──今日は静岡BRの日野剛志選手も100試合目でしたが、何か感じるところはありますか?

「日野選手とは(彼が)同志社(大学)のときに関西リーグで(試合をした経験もありますし)、年代も一緒で同級生なので、一緒に100キャップを取れたということはすごくうれしいことです。事前に日野選手も100キャップだということを知って、日野選手のホームだったんですけど、その中でもこうやってセレモニーをしていただいたというのもあり、すごく感謝をしています」

──静岡BRも試合の入りはすごく大事にしていたと思うのですが、立ち上がりで優位に立てた要因というのはどう考えていますか?

「ゲームの入りのところはすごく大事にしているところで、今日の入りで言うとフィジカルを前面に出して、ペナルティも最初はショットを狙わずにモールでトライというのができた。先制できたのは大きかったと思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)の立川理道キャプテン


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