釜石シーウェイブスRFC(D2)

「次、頑張ります」はもう言わない。
想像する景色を実現するために勝利あるのみ

釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)は3月19日、ホストゲーム3連戦最後の試合に臨む。相手は清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)。今季いまだホストゲームで勝利がない釜石SW。レギュラーシーズンを4位で終えるためには勝ちが必要な試合だ。

3月のホストゲーム1戦目はわずか6点差の惜敗。2戦目は90点以上を奪われる大敗と、今季のNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2のレベルは非常に高いという前評判以上に、選手たちはその厳しい現状を突き付けられている。

そういった中でも、フラットにここまでを振り返るのは村上陽平だ。「チームとしては良くなっている。自分も安定して精度の高いプレーがコンスタントにできるようになっていると思います」。

持ち味はチームに勢いをもたらすテンポの良いパスで、今季ほとんどの試合で先発起用されている。須田康夫ヘッドコーチも「ウチのハイテンポラグビーを体現するにも重要な人材」と社会人2年目の24歳ながら今季はバックスリーダーも任せている。

須田ヘッドコーチやチームメートに村上について聞くと「いつでも強気」という言葉が返ってくる。練習中、先輩後輩も関係なく厳しい言葉を掛け、周りの選手たちを動かす。そいった姿勢はフォワードやバックス陣をコントロールするスクラムハーフにとっては欠かせない。村上自身も「常に思い切りよく、ボールを動かして強気な選択をしていきたい」と意気込む。1年目の昨季、プレシーズンマッチで出場時間がなかなか得られない中でも「常にできるという自信は持っていた」と、ルーキーらしからぬ発言で、実際に公式戦に出場すれば3トライを奪う活躍だった。物怖じする様子は感じられず、静かに淡々と話す口ぶりの中に常に「強気」がうかがえる。

村上は、釜石に近い沿岸の宮城県気仙沼市出身。そして、普段は日本製鉄で働く社会人ラガーマンだ。スタジアムに実際に足を運んで応援してくれる知人も多い。「試合後、『残念だったね』と言われて、『次、頑張ります』って答えるのが何回目だって感じです。次こそは必ず勝利します」(村上)。

釜石の空に映える「富来旗」。そして、あのスタジアムにふさわしい、たくさんの笑顔あふれる景色を想像しながら、選手たちは勝利を目指して突き進む。

(佐々木成美)

スクラムハーフとして「常に思い切りよく、ボールを動かして強気な選択をしていきたい」と言う、釜石シーウェイブスRFCの村上陽平選手


清水建設江東ブルーシャークス(D2)

“初勝利”へのカギはターンオーバー。
冷静に熱く。求められる自己コントロール

今季公式戦での勝利がない(2勝はいずれも不戦勝)清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)は、前節アウェイの地で世界トップクラスの選手たちを擁する三重ホンダヒートとの一戦を迎えた。昨年4月に加入したルーキー4名を先発で起用しチャレンジする姿勢を見せるが、相手のプレッシャーも強く、17対46での敗戦。80分間のうち20分間、14人で戦う状況になるなど規律の部分で課題が見つかっている。その課題を持ち帰り、修正して臨む今節は3月19日(日)に釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)とのビジターゲームとなる。

前節、今季初先発となったのが櫻井大志。「出ると決まったとき、『やってやろう』という気持ちでいっぱいでした。」と振り返る。限られた時間の中で、チームをどのように変えていけるかを考え、チームを動かすことを意識してプレーしたそうだ。ただ、その中で、「コントロールができずに失点につながってしまった。もう少しチームを落ち着かせる声掛けが必要だった」と述べている。

チームとしては、この1週間、あらためて“現状把握”を行った。6試合中5試合でシンビンが出ている現状を受けて、規律の部分を見直している。映像を見ながら、プレーの振り返りを行い、さらに練習でもシンビンが出たシチュエーションを想定したメニューも実施。規律の部分で課題修正が必要ないま、大隈隆明監督は「ファイトする気持ちはそのままに、“冷静になること”も場面によっては必要になる」と一人ひとりが自身をコントロールする重要性を選手たちに伝えた。

今週は選手のみのミーティングを行い、「勝利がないいまこそ、チーム一丸となって取り組もう」と意識統一している。また、練習中には、常に試合をイメージし、細かいところについても密にコミュニケーションをとり、共通認識をチームに浸透させている。

今季、ビジターゲームは有明ガーデンにてパブリックビューイングを開催し、遠方での試合もファンの方々に楽しんでいただけるようクラブとして取り組んでいる。そのパブリックビューイングも次節が今季最後となる。当日は選手やスタッフによる生解説もあり、初心者も楽しめる仕様になっている。

今節の相手である釜石SWについて大隈監督は「攻撃力、得点力があり、勢いのあるチームなので、80分間スキを作らないことが重要になる」と話している。今季ディビジョン2で唯一、1試合平均被ターンオーバー数が10回未満の江東BS。一方で1試合平均ターンオーバー数がディビジョン2ワーストの4.4回である釜石SW。ターンオーバーがどう勝敗を分けるのか、そして、江東BSが今季初勝利を収められるのか。注目の一戦となる。

(山村燿)

清水建設江東ブルーシャークスのスクラムハーフ、櫻井大志選手


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