埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)

屋台骨を支える黒子役の日本代表。ジャック・コーネルセンの献身

好きな日本食は「寿司」。埼玉パナソニックワイルドナイツのジャック・コーネルセン選手

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が4月8日のNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第14節のホストゲームでリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)と対戦する。リーグ戦全勝を目指す首位の埼玉WKが、2連敗中ながらも力強いファイトを見せる6位のBR東京を迎え撃つ。

埼玉WKは前節のトヨタヴェルブリッツ戦で南アフリカ代表のルード・デヤハーのトライ、日本代表・松田力也のペナルティゴールなどで堅実に得点を重ねて19対10で勝利を収めた。13連勝を達成し勝点を『58』へ伸ばしたことによって、リーグ戦上位4チームに与えられるプレーオフトーナメント進出の権利が確定した。

進撃を続けるチームを支えているのは、ジャック・コーネルセンだ。オーストラリア出身の日本代表プレーヤー。2017年から埼玉WKでプレーし、チームに欠かせない存在となっている。
ナンバーエイトとして攻守のトランジション役を担い、黙々と役割をこなす職人肌の漢だ。陽気なスター選手がそろうチーム中では黒子役だが、献身的なプレーで屋台骨を支えている。

彼の仕事を象徴するデータがある。今季のラインアウトのスティール数8(第12節時点)はディビジョン1トップ。ゲームのポイントとなるセットピースで、抜群の状況判断と俊敏な動きでボールをカット。ルード・デヤハーらのサポートを受けながら、チームの窮地を次々と救っている。

第12節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では、ゲームを決定づけるトライを決めた。ジャック・コーネルセンは「チームの一員として役割を果たすだけ」とタスクを自覚している。ちなみに好きな日本食は「寿司」。オフなどには、日本食とともに日本文化を楽しんでいるという。今節でもナンバーエイトとして先発出場。攻守両面で目の前のボールに向かっていく。

連覇への挑戦権を手中にしたものの、目指すはリーグ戦首位通過。ジャック・コーネルセンら埼玉WKの野武士たちは、飽くなき闘志で今ゲームへ向かっていく。

(伊藤寿学)

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)

家族のため、チームのため。「100%で戦う」決意を胸に一心不乱な姿を見せる

リザーブから今季初出場をうかがう、リコーブラックラムズ東京の山本秀選手

今節が今季初めてのメンバー入りとなったのは、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)のフランカー・山本秀だ。

山本秀がラグビーを始めたのは、小学3年生のとき。それまでは空手に興じていたが、引っ越しを機にほかのスポーツを模索した。そのときに母が探してきてくれたのがラグビー。タックルが楽しい、体を当てることが楽しい。いつの間にか、ラグビーにのめり込んだ。

小学5年生で京都の名門・アウル洛南Jrに加わると、めきめきと頭角を現す。高校は京都成章高校に進学。高校3年生の夏まで、バックスでプレーした。「この身長でバックスができる強みが面白かった」(山本秀)のだという。

転機が訪れたのは、高校3年の夏合宿。長崎南山高校との練習試合中、チームのロックが負傷した。

「ロック、できるか」

監督から問われた山本秀は、とにかく試合に出たい一心で「はい」と答えた。

ロックはおろか、フォワードすら経験したことがない。だからその試合では「とにかく体を当てる。とにかくブレイクダウンでファイトする」(山本秀)ことだけに集中した。

京都成章高校の監督からは、以前より「フォワードになったら代表を狙える」と言われていたそうだ。だがバックスの面白さを知っていた山本秀は、決断するに至らず。そんな中で、突如舞い降りたセレンディピティ(偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること)だった。「それからは、(イングランド代表のロック)マロ・イトジェが憧れになりました」(山本秀)。

座右の銘は、一心不乱。高校時代に憧れていた先輩が福岡遠征に行った際、お土産として買ってきてくれたインスタントラーメンのパッケージに「一心不乱」と書かれていたそうだ。

宝物は家族。「女手一つで育ててくれたお母さん。ずっと背中を追い続けたお兄ちゃん。いまの僕がいるのは、家族のおかげです」(山本秀)。だからこそ、第二のファミリーと呼べるこのBR東京で「僕は、このチームで一番DNAを体現できる選手になりたい」と目を輝かせる。

今季初めてつかんだ、真黒のジャージー。後半に強い埼玉パナソニックワイルドナイツには、控えにも大きな期待が寄せられる。「100%でプレーします」と山本秀は一心不乱に、飛躍を誓う。

(原田友莉子)

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