NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)
弱さを克服し、手に入れた新たなマインド。
「目の前の試合にすべてを出し切る」
シーズンも佳境を迎え、リーグ戦も残すところ3試合となった。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は4月9日、柏の葉公園総合競技場で横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)と対戦する。
GR東葛の山本耕生は、第11節の東芝ブレイブルーパス(以下、BL東京)戦でリーグワン初キャップを刻んで以来、継続して試合に出場している。前節の東京サントリーサンゴリアス戦では初めてスタメンに抜擢された。そして今節は、4試合連続の出場となる。
ただ、連続出場を続けているからこそ、山本はかつての経験から自分自身を戒め、気を引き締める。
「自分は調子乗りなところがあって、試合に出続けたり、良いプレーができたりすると気が緩んでしまうところがあるんです。それでずっと浮き沈みがあり、大学でも3、4年のときは、どちらも最初は試合に出ていたんですが、最後のほうは控えに回ることが多くなりました。2年間もそういう経験をすれば自分の弱さを分かってきますし、明治大学ではフォワードコーチの滝澤(佳之)さんがそれを指摘してくださいました。そこが自分の弱いところ。どれだけプレーが良くなっても、その気持ちが変わらなかったら意味がないと思っています」
自分の弱さを克服するという覚悟は、山本に今までとは異なる新たなマインドをもたらした。初キャップの前までは、先の試合のことまでつい考えてしまっていたが、出場を重ねてからは「1試合1試合に集中して、目の前の試合に自分のすべてを出し切る」という考え方へと切り替わった。「結果はそのあとに付いてくるもの。目の前の試合に集中すれば、それがリーグ戦の試合でも、決勝戦でも、常に同じメンタルで試合ができるし、そうすれば同じプレーができる」と山本は言う。
GR東葛は、前節の敗戦によって入替戦に回ることが決定した。ディビジョン1に残留するために、リーグ戦の残り3試合をどう戦い、入替戦をいかに良い状態で迎えられるか。そのプランニングはもちろん必要だが、それも結局は1試合1試合の積み重ねの結果である。
山本と同じくBL東京戦でデビューを飾った吉村紘とは「勝てていないこの状況を変えていこう」と誓い合った。自分自身の弱さを克服し、チームの状況を変える。そのためにも山本は、目の前の横浜E戦に一点集中して試合に臨む。
(鈴木潤)
横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)
誓う古巣相手への100%と勝利に徹するプレー
悲願のトップ4入りを目指す4位の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は今節、敵地でのNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)戦に挑む。キックオフは4月9日(日)14:30。試合会場はGR東葛のホストスタジアムである、柏の葉公園総合競技場だ。
先週はバイウィークによりNTTジャパンラグビー リーグワン ディビジョン1の公式戦が開催されなかったため、横浜Eは“ライザーズ”と呼ばれるバックアップメンバーを中心に豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)との練習試合を戦った。そのS愛知戦は試合内容も伴った形で勝利を収めたため、今節に向けて、チームには追い風が吹いている。
レギュラーシーズンの“ラスト3”初戦は、GR東葛戦。昨季まで同チームに在籍していた川村慎にとっては、「楽しみな古巣戦」である一方、チームにとっては、勝点5奪取がマストとも言える試合だ。“かつての庭”である柏の葉総合公園競技場は、「地域に密着していて、アットホームなスタジアム」と川村。柏の葉への帰還を果たす川村には温かい声援が注がれるかもしれないが、ピッチ上の勝負となれば話は別だ。川村は言う。
「古巣が相手だからと言って、忖度する気もないですし、逆に忖度するのは失礼な話です。僕自身の100%を出すことがGR東葛でお世話になったすべての方々への恩返しになると思っていますし、『横浜Eに移籍して良かったね』と言われるようなパフォーマンスを見せたいです。もちろん僕の現在地を示したい気持ちはありますが、個人どうこうではなく、横浜Eの勝利のためにプレーすることが僕の仕事。チームが勝てるようにベストを尽くします」
GR東葛戦を控えた練習場のキヤノンスポーツパークには、けがで長期離脱しているアマナキ・レレイ・マフィの姿があった。そして懸命にリハビリに取り組むアマナキ・レレイ・マフィの様子を見た川村は、より一層、身の引き締まる思いがしたという。
「グラウンドに出る選手は死ぬ気で戦います。メンバーに入れずけがで出られない選手たちが報われるためにも、勝ち星を積み重ねて、上の順位で終えられるように精一杯頑張ります」
チームメートや古巣に対する熱い気持ちを胸に秘め、川村は勝利のために戦うことを誓った。
(郡司聡)