三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

今季最後の相模原ギオンスタジアム。勝って成長を示し、入替戦へとつなげる

3試合ぶりに出場となる、三菱重工相模原ダイナボアーズのジャクソン・ヘモポ選手

三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は地元・相模原で今季最終戦をリコーブラックラムズ東京と戦う。

前節を終えて、10位が確定し、ディビジョン2の3位との入替戦が決まっている相模原DBは、地元のファンにチームの成長とひさしぶりの勝利を見せつつ、入替戦をいい状況で迎えたいところだ。

ジャクソン・ヘモポは3試合ぶりにナンバーエイトで出場。マオリ族の血を引くニュージーランド代表5キャップの持ち主は、攻守に渡って頼れる存在だ。シーズン中盤にけがでチームを離れ、さらに、復帰戦となった第13節では、前半にレッドカードでまさかの退場。チームにとっても大きな痛手となった。

「復帰に時間は掛かりましたが、再び出場機会を得られたことはありがたいです。普段からサポートしてくれているファンの目の前でプレーできることを光栄に思います」とジャクソン・ヘモポは、続けて、規律面での学びを、自戒を込めて口にする。「入替戦が決まったあとの試合だからといって、油断してはいけません。いいパフォーマンスを出せるように準備したいです」。

昨季はキャプテンとしてディビジョン1昇格に貢献した、ヘイデン・ベッドウェル=カーティスは8試合ぶりのメンバー入り。「やや変則的だった」(ヘイデン・ベッドウェル=カーティス)今季は少ない出場機会ながら複数のポジションをこなすだけでなく、練習ではディラン・ネルとともに若手日本人選手のレベルアップにも貢献してきた。

「相模原DBで5シーズンを過ごし、チームメートとは兄弟みたいな関係で最終節で一緒にプレーすることが楽しみ。入替戦は気にせずに、全力を尽くしてゲームプランをしっかり遂行したいと思います」(ヘイデン・ベッドウェル=カーティス)

試合当日は、ヘイデン・ベッドウェル=カーティスとリンディ 真ダニエルが共同経営するニュージーランドスタイルのコーヒーショップも出店。「おいしいビールやコーヒーを飲みながらラグビーを楽しんで、最高の1日を過ごしてください」とヘイデン・ベッドウェル=カーティスは笑顔を見せた。

今季のメンバーで戦う時間はわずか。ディビジョン1初挑戦のシーズン、相模原ギオンスタジアムでの最後の戦いを目に焼き付けよう。

(宮本隆介)


リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)

10,000人超えを当たり前に。「応援しがいのあるチームになる」ために選手たちの挑戦は続く

リコーブラックラムズ東京の山本昌太選手。22日の相模原DB戦は「今季一番のビッグゲームだと思っています」

雷雨の影響を受け、当初のキックオフ時間から3時間半後にようやくノーサイドを迎えた前節のトヨタヴェルブリッツ戦。ゲームキャプテンを務めたリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)の山本昌太は、「正直、本当に難しかったです」と率直に話した。

だが、いや、だからこそ、BR東京がこれまで培ってきた『ファミリー』は発揮される。

雷雨中断を挟んだ後半、試合再開前にグラウンド上で行われたウォーミングアップで、コーチ陣を中心にまとまった姿を見せたのはBR東京だった。これまで多くの選手が何度も口にした「僕たちはファミリー」を今季もっとも体現した時間であっただろう。

なぜBR東京は団結力を失わなかったのか。それは、一年をかけて『不測の事態』に備え、続けていた準備に由来する。

プレシーズン期間中、コーチ陣はあえて選手たちにストレスを与えた。当初、選手たちに伝えていた練習メニューを、突然グラウンド上で変更することは日常茶飯事。合宿では、翌日のタイムスケジュールすらギリギリまで伝えなかった。

「レジリエンス(困難を乗り越え、適応する力)、と僕たちは呼んでいるのですが、不測の事態への対応力が今年は上がったと思っています」

試合当日、決まっているのは対戦相手とキックオフ時間だけ。どれだけゲームプランを用意しようとも、100%そのとおりにいくことはない。だからこそ、自分たちがやるべきことだけに集中する習性を一年かけて身に着けた。

ただ、それでも前節は勝ち星をつかみ取れなかった。山本は言う。「前節、試合が終わったあとにネイサン(・ヒューズ)が言っていました。『僕たちはすごく良いチームだ。相手を上回る力がある。あとはそれを、自分たちが信じるか、信じないか』。そのとおりだと思います」。信じることで、越えられるものがあると知った。

最後のホストゲームとなった前節、秩父宮ラグビー場には11,000人を超える観客が集まった。だが、この11,000人は、自然と集まった11,000人ではないことを山本は理解する。

「西辻(勤)GMを始めとするチームスタッフや会社の方々が、僕たちにはそういう価値があると本気で信じてくれて、用意してくれた舞台でした」

だからこそ、これからは「BR東京の試合を見たい」と自然に10,000人が集まるようなチームになっていきたい。

「僕たち選手にできることは、やっぱり結果を出すこと。応援しがいのあるチームになることです」

そのための布石にしたい、今季最終節。相手は、開幕戦で苦汁をなめた三菱重工相模原ダイナボアーズだ。

「今季一番のビッグゲームだと思っています」

泥臭く、最後まであきらめずに、タフな戦いを。「僕たちはもう、中途半端な試合をするようなチームではなくなっています」山本は力強い言葉を残した。

(原田友莉子)

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