コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)

生き字引が打ち立てる金字塔。
「負けず嫌いな」山下裕史が迎える神戸Sでの200試合目

コベルコ神戸スティーラーズでの通算200試合出場を迎える山下裕史選手。「基本、ギリギリ。『もうええかな』って思うこともあるし、まあまあしんどいのでラグビーって」

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の今季最終節は、4月23日14時に東大阪市花園ラグビー場でキックオフされる横浜キヤノンイーグルス戦。橋本皓キャプテンは「自分たちがやるべきことをしっかりやれれば勝ちが見えてくる。体を張ってリードしたい」とし、チーム一丸の力を見せたいと意気込む。

誰もが勝利でシーズンを締めくくりたいと望む今節、先発メンバーに入った37歳の山下裕史が(トップリーグ時代から合わせて)神戸Sでの公式戦通算200試合出場という偉大な記録を打ち立てる。21日の囲み取材中、本人の口からはチームのために戦い、支えた多くの先輩の名前が飛び出した。

元木由記雄さん、南條賢太さん、大畑大介さん、松原裕司さん、平島久照さん、アンダーソン フレイザーさん、谷口到さん……。

まるで神戸Sの生き字引のような気配を漂わせる貫禄たっぷりのフォワード。2008年に入団以降の「思い出の試合」を尋ねられると、2018-19シーズンのトップリーグ優勝を決めた試合を挙げた。

「ベテラン勢、平島さんもそうですし、谷口到さん、アンダーソン フレイザーとか、苦労した人たちと一緒になって喜べたことがうれしかった。日曜日の試合は僕自身の200試合もそうですけど、今季最後の試合です。自分のプレー、プラスで『誰かのために』というときはすごく思い入れのある試合になりますね」

数多くの試練や歓喜を分かち合ってきた仲間は、自身のこと以上にかけがえのない存在なのだろう。その言葉には山下裕史というプレーヤーの人柄があふれていた。

ポジションはスクラムの最前列に入るプロップ。体をぶつけ続ける過酷な職務を背負う。「200試合」に至るまでに逃げ出したくなることはなかったのか。「基本、ギリギリ。『もうええかな』って思うこともあるし、まあまあしんどいのでラグビーって。狂ったスポーツですよ」と豪快な苦笑い。それでも絶えずフィールドに立ち続けてきた理由をこう語った。

「負けず嫌いなんでしょうね」

37歳はますます元気だ。「頑丈に生んでもらった」と感謝した母親や家族、恩師、社業の関係者、ファンらが見守る中で節目を飾り、大切な仲間とともに今季ラストゲームを熱く盛り上げる。

(小野慶太)


横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)

思いは一つ。
“イーグルススタイル”で勝って決める

横浜キヤノンイーグルスの梶村祐介キャプテン。「やっと自分たちの力でプレーオフ(トーナメント進出)が決まるステージまで立つところまで来ました」

横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にとってのレギュラーシーズン最終節は、コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)とのビジターゲーム。この一戦の2日前に開催される東芝ブレイブルーパス東京対埼玉パナソニックワイルドナイツの結果次第で横浜Eの4位は確定する状況だが、運命のキックオフは4月23日(日)14時。試合会場は日本ラグビーの聖地の一つである東大阪市花園ラグビー場だ。

9対11と接戦に敗れた東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)との前節の激闘から3日後。悲願のトップ4入りを懸けた重要な準備期間が始まった。キヤノンスポーツパークのグラウンドに降り立った選手たちは、適度な緊張感の下、練習を実施。単純なミスに対しては、チームメートから「試合で出るよ!」との指摘が飛び、グラウンド上には引き締まった時間が流れていた。全体練習後のハドル(円陣)では、コリー・ヒル、川村慎、梶村祐介らが声を掛け、チームの士気を高めることに余念がなかった。直近2試合を欠場したキャプテンの梶村は、レギュラーシーズン最後の試合に向けた心境を次のように話す。

「やっと自分たちの力でプレーオフ(トーナメント進出)が決まるステージまで立つところまで来ました。一番大事なのは自分たちのパフォーマンスを発揮し、勝つことでトップ4をつかみ取ること。次の試合で勝ち点5を取れれば、自力で決まるので、そういう状況まで持ってこられたことがうれしいです」

前節の東京SG戦後、沢木敬介監督は「ベストなラグビーをして、“イーグルスのスタイル”で堂々と勝ちにいく」と言葉に力を込めた。果たして指揮官が語った“ベストなイーグルスのスタイル”とは。キャプテンの梶村がこう代弁した。

「どのエリアからでもリスクを冒しながらボールを動かして、スペースにボールキャリーすることが僕たちの形です。80分間それを表現できれば、5ポイントを取れると思っています」

仮に最終節を戦う前に4位以内が確定していたとしても、花園には横浜Eの全メンバーが集結するという。“ライザーズ”(バックアップメンバーの総称)も含め、16試合にも及ぶレギュラーシーズンを戦い抜いてきたメンバーとともに花園で歓喜の瞬間を味わうために、チームを束ねる梶村キャプテンは「必ず勝ちたい」と必勝を誓った。

(郡司聡)

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