2023.12.08NTTリーグワン2023-24 第1節 相模原DB vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1
第1節 カンファレンスB (D1-M1)
12.09 Sat 13:00 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 花園近鉄ライナーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスB)

今季のD1で相模原DBのみ。その内容とは……

三菱重工相模原ダイナボアーズの岩村昂太キャプテン「一人ひとりのやることが明確になり、それを遂行すればトライがとれる」

ラグビーワールドカップ2023フランス大会の余韻冷めやらぬ中で迎える今季のジャパンラグビー リーグワン。ディビジョン1の各チームがリーグワン3年目のシーズンに向けて同大会で活躍した選手を獲得する中で、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は同大会に出場した選手がいない唯一のチームだ。

クラブ史上初のD1残留を果たした成長過程のチームが、スーパースターを擁するチームに対してどんな戦いを見せるか、今季の見どころの一つになるだろう。グレン・ディレーニー ヘッドコーチの「いいチャレンジで楽しみです。しっかりと準備をして土台を強くしてきたので、自分たちのやり方でぶつかっていきたい」という言葉に、チーム一丸となって強敵に立ち向かうダイナボアーズらしさを感じる。

ヘッドコーチが「今季一番大きく変わった」と口にするのはアタック。新しいアタックコーチのジョー・マドックの下で、昨季の課題でもあった攻撃力を強化してきた。岩村昂太キャプテンは「相手に脅威になるシェイプを身に着けている。一人ひとりのやることが明確になり、それを遂行すればトライがとれると分かった」と練習試合での手ごたえを明かす。

新戦力には、ニュージーランド代表入りも期待される新鋭フォワードのマリノ・ミカエリトゥウ、重量級センターのトニシオ バイフ、即戦力の吉田杏やジャック・ストラトン、ジェームス・グレイソンが加わった。ポジション争いで選手のパフォーマンスも向上しているという。

「成長途中のチームに加わることで、自分も成長したい」と意欲を見せるのは、トヨタヴェルブリッツから移籍加入した吉田杏。元チームメートで信頼を寄せる岩村のアドバイスもチーム選択の決め手になったと明かす。

「移籍した理由はプレー時間が少なかったからではありません。インターナショナルレベルで戦う中で、国内リーグで日本人バックローとして戦っていかないと上にはいけない。ダイナボアーズには、(ニュージーランド代表5キャップの)ジャクソン・ヘモポのようなクオリティーの高い選手がたくさんいるので、同じようにレベルアップできれば自分にも可能性があるはずです」と付言する。

「チームから日本代表になれる日本人の選手が出てくると思います」と予言するグレン・ディレーニー。吉田には「ボールキャリーをはじめ、強いフィジカルを生かしたプレー」を期待しているという。

「毎試合がセレクション。チーム内のセレクションもあるし、上のレベルのセレクションもある。そこに加わっていけるように、自分の強みをしっかり出して頑張りたい」(吉田)

開幕戦の相手は、一昨季のD2でしのぎを削った同期昇格組の花園近鉄ライナーズ。昨季の序盤に明暗を分けた両チームは、初戦の重要性を痛感していることだろう。相模原ギオンスタジアムで真っ向勝負の熱い戦いが繰り広げられるはずだ。エクスキューズはない。最初から最後までイノシシ軍団は全緑(全力)で駆け抜ける。

(宮本隆介)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

「I love this time.」。今季もウィル・ゲニアが花園Lを引っ張る

花園近鉄ライナーズのウィル・ゲニア選手。オーストラリア代表110キャップを誇る

初挑戦となった昨季のディビジョン1では最下位に終わり、入替戦の末に残留を決めた花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。

日本代表でも指揮を執った経験を持つ向井昭吾ヘッドコーチを新たに招聘し、古豪の再建に向けて調整してきた花園Lが、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)との開幕戦に挑む。

主力にケガ人が相次ぎ、苦戦が続いた昨季と異なり、11月25日のコベルコ神戸スティーラーズとのプレシーズンマッチで負傷交代したクウェイド・クーパーを除けば、ほぼ現状のベストメンバーで「向井ライナーズ」の初戦を戦うことになる。

ラグビーワールドカップにも出場した世界的名手が続々と集う今季のD1について、花園Lを牽引する世界的名手も開幕を心待ちにする。

オーストラリア代表として世界に名を馳せたウィル・ゲニアである。

「日本のラグビー界には世界中のベストプレーヤーが集まってきています。南半球のベストな選手たちが日本にそろっている。それを前面に押し出してもっとリーグワンに注目してもらいたいですね」と花園Lのみならず、リーグワンの成功にも目を配る“ライナーズの賢人”は、クウェイド・クーパー不在の開幕戦でも勝利のカギを握るキーマンになる。

「今季は30点以下に失点は抑えるようにディフェンスは鍛えてきました」と昨季D1ワースト失点を喫した守備陣へのテコ入れを図ってきた向井ヘッドコーチだが、「頭を叩かれて目が覚めた、ではなくて最初から目を覚まして、攻撃も守備も自分たちのペースになるようにしたい」と相模原DB戦をこう展望する。

昨季は苦境の中でも随所で世界的プレーヤーとしてのすごみを見せてきたウィル・ゲニアも、日本代表のサナイラ・ワクァや昨季は負傷で出番が少なかった片岡涼亮、木村朋也らプレシーズンマッチでも好調だった主力とともに挑む開幕戦に自信を口にする。

「クェイドが出られないのは残念ですが、キープレーヤーたちが今季は準備できています」

オーストラリア代表として110キャップを持つウィル・ゲニアは、その技術もさることながら際立つのはその“ライナーズ愛”だ。

「I love this time.」。さらりと口にした言葉は偽りない本音である。

(下薗昌記)



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