2023.12.11NTTリーグワン2023-24 D3 第1節レポート(江東BS 16-30 日野RD)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3(リーグ戦) 第1節
2023年12月9日(土)13:00 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス 16-30 日野レッドドルフィンズ

好スタートを切った日野RD。勝利のキーマンとなった朝長駿の「再挑戦」

ポジションをセンターから学生時代のフランカー戻し、高いパフォーマンスを示した日野レッドドルフィンズの朝長駿選手

清水建設江東ブルーシャークスは、江東区夢の島競技場でのホーム「海幕戦」に日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)を迎えた。試合前にはチームソング「ブルーシャークスの応援歌」を歌う新羅慎二さん(湘南乃風/若旦那)のライブパフォーマンスなども実施し、新シーズンの開幕に華を添えた。ディビジョン2への再昇格を至上命題とする両チームが激突した試合は、後半に4トライを重ねた日野RDが16-30で勝利を収め、好スタートを切った。

この試合のキーマンは、フル出場して勝利に貢献した日野RDの朝長駿だろう。今季、「社会人になってから挑戦した」というセンターから、大学時代までのフランカーへポジションを戻した。「バックスとして伸ばしてきたハンドリングと、もともとフォワードとして持っていた力強さを、いまの日野RDのシステムで出してほしいと言われている」と、「再挑戦」に意欲的だ。「(アタックでは)外側に立って強いキャリーを、ディフェンスのところもフォワードとバックスのつなぎ役としてうまくコミュニケーションもとれたと思う」(朝長)。苑田右二ヘッドコーチも、「ラインアウトでもいいプレッシャーを掛けてくれたし、走力を持っている。今日もチームの勢いを増し、相手の勢いを止めるパフォーマンスをしてくれた」と評価した。

日野RDは昨季の途中でチームの活動停止となっていた。活動再開後は、あらゆる面で結果を残すことによって地域やファンとの良好な関係を取り戻そうとしている。「強くなって、日野を代表するスポーツチームであることを証明し、みんなから愛され、街の誇りになるような選手、チームになっていきたい」(苑田ヘッドコーチ)。朝長がこの日、勝利のためにチームの「つなぎ役」を果たしたように、40人の選手とスタッフが一丸となってプレーし、勝ちを重ねていけるか。日野RDの本気度が試されるシーズンが始まった。

(尾田健太郎/Rugby Cafe)

清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、白子雄太郎キャプテン

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督

「率直に悔しい、の一言かなと思います。まだ開幕して1試合目ですので前を向くしかないですが、簡単にはいかないなというのが感想です」

──開幕戦での収穫は何か?

「新しいメンバーが試合に出たというところかなと思っています。あとは、試合を通じてできるところ、できないところ、通用することと通用しないことが出たかなと思います。特にスクラムの部分はかなりこだわって用意してきましたが、(日野レッドドルフィンズに)圧倒されてしまった。収穫という意味では、ここをスタンダードにしないといけないということが分かったことでしょうか」

──シーズンを通じてチームで表現したいラグビーはどういうものか?

「グラウンドの部分に関しては、新しいディフェンスのシステム。いわゆる『待つところ』で、ちゃんと網を張ってやっていこうということ。アタックに関してはしっかり崩してやっていくということ」

──どの部分を次の課題として取り組んでいくのか。

「取り切れるところで取り切る。そこに関してはわれわれも練習中に言わなきゃいけない。ライブ感、試合勘は練習で想定してやるのは容易ではないと思いますが、練習の雰囲気も含めて改善していかないといけないと思います」

清水建設江東ブルーシャークス
白子雄太郎キャプテン

「相手のプレッシャーのなかで、準備してきた自分たちのプレーが出せなかったのが大きい。特にセットピースのところでリズムを作れなかった。あとは前半の最後ですか。何回か相手陣深くに入ったときに点数を重ねられなかった。そのあたりが敗因かなと思っています」

──シーズンを通じてチームで表現したいラグビーはどういうものか。

「アタックの部分では65%以上、クイックでボールを出すことを目指そうと数値として掲げています。ディフェンスに関しては、網を張って、『ダブルパンチ』と呼んでいるダブルタックルでスローボールにさせるラグビーを目指しています」

──次に向けて、どの部分を修正していくのか。

「自分たちが積み上げてきたものを今から大きくは変えられないし、変えるつもりもないですが、自分たちのやろうとしていることに立ち返って、相手は関係なく、自分たちにベクトルを向けてがんばっていきたい」

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズ、右から苑田右二ヘッドコーチ、橋本法史ゲームキャプテン、大内空選手、朝長駿選手

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「はじめに、リーグワンの開幕を迎えるにあたって、たくさんの方々にサポートいただいて、今日という日を迎えられたことに感謝いたします。ありがとうございます。昨季の出場辞退から約10カ月ぶりの公式戦でしたが、3週間前に清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)とプレシーズンゲームをして、そこから本当にいい準備ができました。まだシーズンは続いていくので、D3で全勝してD2に上がるというところを、一つひとつ積み重ねてやっていきたいと思います」

──今日の試合はただの1試合ではなかったと思う。どう受け止めていたか。

「昨季の出場辞退によって、チームの存在意義を問われたが、それでも40人がチームに残ってくれた。その選手たちと、本当にクオリティーの高いラグビーをして、1年でD2に上がりたいという目標がある。笠原キャプテンやリーダーたちがチームをドライブしてくれて、結束力も高まっている。みんながこのチームを応援する、愛してくれる、というようなチームになっていければ。いいスタートが切れたので、これを継続しながら、さらに成長していきたい」

日野レッドドルフィンズ
橋本法史ゲームキャプテン

「前半は苦しい時間帯もありましたが、アグレッシブにアタックするという部分では外でもトライを取れましたし、モールでもスクラムでもプレッシャーをかけることができたのがよかった。ディフェンスもしっかりみんなで走るということで、我慢して我慢してディフェンスできたのがよかったと思います」

日野レッドドルフィンズ
大内空選手

「まずは今日の勝利を率直にうれしく思っています。7月から活動を再開して、積み上げたことがこの試合で生かせたのではないかと思います。まだまだシーズンは続くので、ステップアップしていきたいです」

日野レッドドルフィンズ
朝長駿選手

「今日の試合に勝つことができて、いいスタートが切れたのかなと思います。後半から入ってきたフィニッシャー、リザーブもいい活躍をしてくれて、最初に出ていたスタメンもいい力になったと思います。このままいまの状況を継続していくのではなく、シーズンが深まるごとに成長していくチームが強いチーム。いまに満足することなく、継続して成長していけたらと思います」


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