2023.12.12NTTリーグワン2023-24 D1 第1節レポート(S東京ベイ 26-52 東京SG)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦) 第1節 カンファレンスA
2023年12月10日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 26-52 東京サントリーサンゴリアス

まさかのスタート。敗戦の意味を知るオレンジの勇者たちは、それでも戦い続ける

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの立川理道キャプテンは会見で「試合の序盤から東京SGにペースを握られて、追いかける展開というのは自分たちにとってやりたくなかった」と語った

18,110人もの観客が詰めかけた秩父宮ラグビー場には、季節が冬であることを忘れさせるような暖かな日差しが差し込み、オレンジとイエローで彩られたスタンド席を無数の光の粒子が明るく照らした。この数字は、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)のホストゲーム最多動員レコードなのだという。リーグワンきっての好カード、令和ジャパンラグビーの名勝負数え歌、S東京ベイと東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)の注目の一戦が、大観衆の期待感に満ちた空気の中で行われた。

昨季はS東京ベイが3連勝。しかし、この試合では結論から言えば、東京SGが昨季の憂さを一気に晴らすかのような戦いを見せ、前年王者を圧倒。52対26のダブルスコアでの完勝劇だった。

ラグビーワールドカップ2023フランス大会のざわめきを引き連れて日本にやってきたサム・ケインとチェスリン・コルビ。そして、注目のルーキー・高本幹也。東京SGは序盤から完全にゲームの主導権を握り、それを最後まで手放さなかった。特にチェスリン・コルビは躍動感にあふれたアタックで相手を翻ろう。鋭い弾丸のような動きで観衆からどよめきを誘う圧巻のプレー。そのプレッシャーを受け、昨季の得点王である“アイスマン”バーナード・フォーリーも動きの精度を欠いた。

この日のS東京ベイは、今回の一戦に向けてのプランをよどみなく遂行した東京SGを前に、完全に光を消される戦いを強いられた。どこか、らしくない展開。それはまるで、S東京ベイではない、何かほかのチームの試合を見ているようでもあった。

「次に向けて、やるべきことをやっていく」と立川理道キャプテンは語る。創部45年、S東京ベイが歴史を積み上げながらグラウンドに描いてきた真実。それは、人には敗北や回り道を知らなければたどり着けない場所がある、ということ。敗戦の意味を、オレンジの勇者たちは知っている。戦い続ける限り、人生にバッドエンドは訪れない。

(藤本かずまさ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(右)、立川理道キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「コンニチハ!満員の秩父宮ラグビー場で試合ができたことに感謝しています。今日はそのチャンスを私たちがモノにできず、チャレンジし切れませんでした。逆に東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)さんは、パーフェクトなスタートを切れたと思います。チャンスをしっかりとモノにしていました。一方の私たちは、スコアボード的なところで追いつくしかありませんでした。

レッドゾーンから脱出する、自陣ではあまりプレーしない、そうした試合プランはあったのですが、キックでプレッシャーを掛けていく、カウンターにつなげていくといったことを逆に相手チームにされてしまいました。特に、チェスリン・コルビ選手は素晴らしいパフォーマンスを見せていました。そういったところで、前半は自分たちのラグビーができませんでした。

東京SGさんに『おめでとう』と言いたいです。彼らのほうが上手(うわて)でした。来週は(試合の間隔が短い)ショートウィークなので、 まずはリカバリーをしっかりとして、私たちのDNAの一部である、修正すべきところを修正していくというプロセスをしっかりと追求して、次の試合に向けてやっていきたいと思います。そして、要点は1、2点に絞って、来週以降に向かっていきたいと思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
立川理道キャプテン

「試合の序盤から東京SGにペースを握られて、追いかける展開というのは自分たちにとってやりたくなかったですし、最初の入りからペースを取りたい中で、なかなかペースを取れない状況が最後まで続いてしまったと思います。

ただ、ポジティブな点で言えば、まだリーグワンは始まったばかりですし、ここからしっかりと修正をして、次節に向けて自分たちのやるべきことを明確にしていくことが大事だと思います。この敗戦から得たものを自分たちで消化しながら、次に向けてやっていきたいと思います」

東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの田中澄憲監督(右)、堀越康介キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督

「天気も最高でしたし、18,000人もお客さんが入った環境の中で開幕戦をやれたことをうれしく思います。われわれは昨季、3回負けているクボタスピアーズ船橋・東京ベイさんにやっとリベンジすることができて、やっと始まったというのが一番です。本当に今日は選手たちがプランを信じて、勇気を持ってやり抜いてくれたこと、これに尽きると思います。

ただ、試合は毎週、毎週続いていきますし、このリーグのコンペティションはタフになってきていますので、次の試合に向けてしっかり準備したいと思います」

――公式戦デビューのサム・ケイン選手、チェスリン・コルビ選手への期待と印象を教えてください。
「期待以上のパフォーマンスをしてくれました。特にチェスリン(・コルビ)に関してはプレシーズンの試合に1試合出ていることもあって、チームに早くフィットしたという印象です。ハイボールにも強く、ボールを持てば相手の脅威になります。サム(・ケイン)に関しては、今週から本格的に練習に合流しているのですが、チームにフィットするという意味では、もちろんもっとできると思います。ただ、ホリ(堀越康介)もグラウンドにいて、(彼の存在は)頼りになったのではないかと思います」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「僕たちのプランが明確で、前半の最初からやり続けたことが勝因かなと思います。うまくいかない時間帯もあったのですが、常に自分たちのプランに立ち返り、次に何をするかというネクストジョブの部分で全員がセイムページを見ていたところが、今日の良かった点だと思います。

(試合前は)昨季3回負けているという話は特にしていません。昨季とは戦術が違う部分もありますし、今季は今季のチームでどこを強みにしてクボタスピアーズ船橋・東京ベイに対してプレーしていくかというところをこの1週間話してきました。まずはこの1週間で、それを自分たちの自信にして、勇気を持ってできるようにしようというテーマで臨んでいました。試合が始まる前には、あとはやるだけという自信を持った状態になれていたので、この1週間の過ごし方でもいい準備ができたのかなと思います」

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