NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第3節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月27日(土)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 79-20 東京サントリーサンゴリアス
限られた時間の中でも見せる“自身の存在理由”。刻み続ける足跡はまだまだ増えていく
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの福田陸人選手限られた時間の中で、“自分がいまここにいる理由”を示す。長いスパンで考えると、もしかしたら人生とはそういうものなのかもしれない。それがスポーツの文脈に置かれたとき、その一瞬に自身の存在を懸ける渾身のプレーが生まれることがある。
世界最高峰のフッカー、マルコム・マークスが先発出場を続ける中、福田陸人は3試合連続で16番のジャージーに袖をとおした。昨季、彼がメンバーに名を連ねたのは、わずか2試合。どちらも控えで、うち1試合はフランカーとしてピッチに入ったため、軸足を置くフッカーのポジションで出場したのは1試合のみにとどまった。
今季の開幕戦、コベルコ神戸スティーラーズ戦でベンチ入りした際も、マークスが最後までピッチに立ち続け、自分に出番は回ってこないのではないかと思っていたという。しかし、後半37分に出場の機会は訪れた。得点は33対28。勝負の行方が確定していない状況でスクラムを制し、フッカーとしての役割を全うしてみせた。
続く第2節のリコーブラックラムズ東京戦では後半30分にマークスと入替。スクラムではペナルティを許すも、直後のブレイクダウンで会心のスティール。「自分のミスは自分で取り返さないといけないと思った」と、福田はそのときの心境を振り返った。
そして秩父宮ラグビー場で行われた第3節、東京サントリーサンゴリアスを相手に勝利の輪郭が明確になった時間帯に、福田は残り18分で芝を踏んだ。
福田がこのオフシーズン、特に力を注いでいたのがラインアウトのスローイング精度の向上である。自分の成長につながるのであればと、後輩の江良颯にもアドバイスを求めたという。
後半27分には自らトライゾーンに走り込み、スコアを重ねた。ラインアウトスローも安定していたものの、4本目はスローが合わず、相手側にボールが渡ってしまった。そして、続く局面で密集に潜り込み、ボールを奪い返したのが福田だった。彼はこの日も、自分のミスを自分で取り返した。
開幕から3試合続けて16番でメンバー入り「いつも出場時間が短いので、出たらすぐにボールに絡むこと、トライに関係するプレーを意識していました。今回は点差に少し余裕があったぶん、気持ちの面でも落ち着いて、積極的にチャレンジできたと思います。自分の強みであるボールキャリーとスティールを出せたのは良かったです」
フッカーに転向する以前、明治大学時代はフランカーで活躍。そのころの経験がタックルやボールキャリー、スティールなどに生かされ、自分の強みになっているという。
「この3試合で少しずつプレータイムも伸びて、自分の良さを見せられる場面が増えたと思います。それは自信にもつながりましたし、いつ呼ばれても準備ができているという部分はアピールできたかなと。これからも引き続き、練習からしっかり見せていきたいと思います」
チームが79対20という大勝を収めた一戦で、自身の存在を証明した男がいた。その物語は、2026年へと続く。
(藤本かずまさ)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、マキシ ファウルア キャプテンクボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ
「まず、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)さんには大きな敬意を払っています。彼らに何ができるかは分かっていました。彼らは素晴らしいスタートを切り、首位に立っていました。彼らのアタッキングなマインドセット、アグレッシブなアタックは有名です。結果を出すためには、今日、自分たちがベストな状態でなければならないと分かっていました。
最初の20分間、彼らは空中戦を支配し、そこから多くのターンオーバーを奪われました。ペナルティもあり、プレッシャーを受けていました。しかし、それを解消してからは、本当にゲームの中で(相手への)プレッシャーを与え始められたと感じました。ハーフタイムには、『相手よりもベーシックな部分をしっかりやることにフォーカスすればチャンスは必ず来る、そのチャンスをつかむ準備をしよう』と話しました。
今日、本当に良かったと感じたのは、スコアボード(得点を奪うこと)でプレッシャーを掛けたあとも、自分たちのプロセスを崩さなかったことです。それがテスト(試練)でした。自分たちのタスクを維持し、ベーシックなことをやり続けられるか。それができたからこそ、自分たちのゲームをプレーし続けることができ、その結果、素晴らしいトライをいくつか奪うことができたのだと思います」
──立ち上がりの主導権争いやディフェンス面で、アタックが得意な東京SGに自由に攻めさせなかった印象があります。ディフェンスに関しては、準備してきたとおりにしっかり守れたという感触でしょうか。
「前半はポゼッションができず、ペナルティも与えてしまいましたが、今日のディフェンスの努力は本当に素晴らしかった。彼らがボールに対してアグレッシブなアタックを仕掛けてくることは分かっていましたから。われわれはハードワークし、コリジョン(衝突)で勝ちました。80分間コリジョンで勝ち続けたことが、本当に土台となり、チャンスを生み出したのだと思います」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
マキシ ファウルア キャプテン
「勝つことができて非常にうれしいです。今年最後の試合でしたし、今週チームとしてはすごく良い準備をしてきました。相手が強いのは分かっていたので、そのために準備してきたものを今日出せたのは、すごくポジティブなことだと思います。
相手は簡単に勝たせてくれないというメッセージを伝えて、自分たちから仕掛けて、最初の入りを意識しました。良いスタートが切れて、そのまま良い流れで自分たちのプレーにつながったので、そこは良かったなと思います」
──前半は攻める時間がそれほど長くなく、ポゼッションも40%対60%ほどでした。数字の上では厳しい状況でしたが、そのあたりをどのようにコントロールしたのでしょうか。
「今週は『入り』のところを意識しようというチームのプランがあって、練習から全員でしっかり試合の入りを意識して取り組んできました。過去の2試合、入りがあまり良くなかったところがあったので、その修正を今週ずっと意識してやってきました。それも含め、本当に一つひとつのプレー、目の前のことに全員が集中して取り組んだことが、結果につながったのかなと思います」
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ(右)、サム・ケイン キャプテン東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「両チームの関係者、ファンのみなさん、今日はありがとうございました。サンゴリアスとしては、本当に情けない試合になりました。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)さんのアグレッシブなプレーに対し、一つひとつの接点でも負けてしまい、それが80分間続いた試合だったと思っています。そこをしっかり見直して、次のコベルコ神戸スティーラーズ戦に向けて、今季のテーマである『PROUD TO BE SUNGOLIATH』としての誇りと責任をもって、プレーを切り替えていきたいと思います」
──この1週間、今日のゲームまでの準備や取り組みを振り返って、改善したいと感じる部分はありますか。
「まず、ベクトルを自分に向けることが大切だと思っています。自分が責任をもたなければならないのは、メンバーのセレクション、戦術、そしてその戦術をどう練習に落とし込めたか、という3点です。これらをしっかり見直し、来週に向けて同じことを繰り返さないことが大切だと思っています。いまはまだ答えはありませんが、同じことを繰り返す結果になった事実は受け止め、しっかり変えていきたいと考えています」
東京サントリーサンゴリアス
サム・ケイン キャプテン
「私たちにとって非常に厳しい1日でした。S東京ベイはすべての面で私たちを上回っていたと思います。彼らは非常にフィジカルで、正確で、すべてのチャンスを確実にものにする冷徹さがありました。彼らは私たちに付け入るスキを与えず、残念ながら私たちは試合を立て直すことができませんでした。いまは非常に厳しい状況ですが、これを糧にしてポジティブな面を見出し、前進し、改善していくしかありません」
──前半からブレイクダウンで相手のプレッシャーを受けているように見えましたが、後手に回ってしまった要因はどこにあったと考えていますか。
「私たちのキャリーが十分に鋭くなく、サポートプレーヤーの寄りも遅かったです。後半は少し改善された時間帯もありましたが、特にフィールドの中央部分でブレイクダウンを激しく乱されてしまいました。それについては(試合中も)話し合い、課題として認識していましたが、必要な修正を行うことができませんでした」



























