2023.12.25NTTリーグワン2023-24 D1 第3節レポート(三重H 16-34 東京SG)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第3節 カンファレンスA
2023年12月24日(日)12:10 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート 16-34 東京サントリーサンゴリアス

過去2戦とは違う敗戦の中で見えた光明。
“志願のSH”で得た手ごたえ

途中出場から活躍、三重ホンダヒートの竹中太一選手

前半2分、12分、18分と、三重ホンダヒート(以下、三重H)は東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)に立て続けにトライを決められ、序盤から0対17と圧倒された。大敗で敗れた過去2試合の“悪夢”が頭をよぎるが、この日の三重Hはここから違いを見せた。

前半29分に新加入のミッチェル・ハントがペナルティゴールに成功してディビション1でのホストゲーム初得点を挙げると、3,221人の観客の声援を受けて一気に勢いづいた。

6対17で迎えた後半の立ち上がり、再び東京SGに二つのトライを許すが、途中出場した竹中太一と平野叶翔が流れを変える。

後半19分、竹中が自陣中央のラックサイドを突破してゴールに迫り、地元・三重県出身の平野がインゴールに潜り込んでトライを奪った。

「東京SGはあそこのスペースが広いという分析が挙がっていました。交替で入る瞬間にも言われましたし、常にチェックしているポイントでした。ボールを持って走ることは自分の持ち味でもあり、空いていると思ったので行きました」。竹中は冷静な判断で反撃の足がかりを作った。

その3分後にはフランコ・モスタートが同じ南アフリカ代表のチェスリン・コルビのタックルを振り切ってフィニッシュ。これはTMOでノートライとなったが、後半31分にもラインアウトからモールを押し込んでキャプテンの古田凌がトライを決め、16対34でノーサイド。敗れたものの、随所に三重Hの成長を感じられる試合となった。

「今日が自分たちのスタンダード。過去2戦もいつもどおりできれば、今日のような試合ができたと思うのですが、ほんのちょっとした歯車の狂いで、D1のレベルではああいう大差の結果になってしまう。でも普段どおりのことをやれば十分戦えるし、勝てるゲームもあると自信がつきました」(竹中)

今季、竹中は自ら志願してウイングからスクラムハーフへとポジションを変えた。開幕戦のコベルコ神戸スティーラーズ戦はけが人の影響でウイングとしてプレーしたため、今節が初めてスクラムハーフとしての出場となった。「D1はフィジカルのレベルが高く、すごい勢いでくるので、球出しのところで少し手こずった部分はありました。でも特に緊張もなくいつもどおりできたと思います」と手ごたえを感じている様子だった。

開幕前のメディアカンファレンスでトム・バンクスに今季のキーマンの一人として挙げられた竹中。「ポジションが変わったことと、あとは日ごろから仲がいいからですかね」と謙遜するが、チームメートの期待に早速応えてみせた。

(山田智子)

三重ホンダヒート

三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、古田 凌キャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「勝ち点が1点も取れず、非常に残念だというのが正直な感想です。ただ前半の早い段階で東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)さんにトライを奪われながらも、試合の流れを引き寄せることができたことに関しては非常にポジティブな内容だったと考えています。後半も選手は最後までファイトし続けてくれましたが、タックルミス、ラックでのミス、ボール保持のところで3つ4つ簡単なエラーを重ねてしまった。東京SGさんのようなトップレベルのチームはそこを見逃してはくれません。そういう部分でわれわれはいま、痛い目に遭っているという印象を持っています」

──過去2試合の大差での敗戦を受けて、今日の試合に向けて取り組んできた点は?

「やはり過去2試合、あれだけ点を取られているので、ディフェンスの修正が一番の課題でした。またディビジョン1のフィジカルレベルに、どれだけ自分たちがアジャストできるかもカギでした。その点については今日の試合をご覧になっていただければ分かるとおり、チームとして大きな向上を遂げることができたのではないかと考えています。また、われわれがボールを保持する機会を増やすことができれば、相手にプレッシャーを与えるということも今日の試合で証明できたので、多くの収穫を得られた試合になりました。また2週間後にホストゲームがあるので、今日得た前進力を止めないように練習を続けていきたいと思います」

──途中から出場した選手が良い流れを作ったと感じたが、彼らの評価について。

「(後半にトライを奪った)平野叶翔だけではなく、植村陽彦、肥田晃季にしろ、(先発の)星野克之にしろ、才能を持った若い選手がたくさんいるので、彼らの成長を非常に楽しみにしています。今日の試合でのプレーが今後の成長につながればいいなと思っています」

三重ホンダヒート
古田凌キャプテン

「結果としては負けてしまったので、すごく悔しい気持ちです。入りの部分、前半20分くらいで3トライを取られたところをもう少し修正して、自分たちからファーストパンチを与えて、どれだけ自分たちに勢いを持ってこられるかというところがすごく大事だと痛感しました。ただ、アタックでもディフェンスでも悪い場面だけではなくいい部分もあったので、少しずつチームとして成長しているとポジティブに捉えて、次へ進んでいきたいと思います」

──過去2試合の大差での敗戦を受けて、今日の試合に向けて取り組んできた点は?

「ディフェンスの修正と、我慢強くアタックを続けて、相手にプレッシャーを掛け続けること。この二つをポイントとして取り組んできました。結果として、過去2試合より点を取られず、ディフェンスでも良い面が見られたと思います。アタックのところもより我慢強くアタックすればゲインを取れるところもありますし、今日の良かった点を次の試合にもつなげていきたいと思います」

東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの田中澄憲監督(左)、堀越康介キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督

「ボーナスポイントを取って勝利できたことは、非常にポジティブなことです。先週、東芝ブレイブルーパス東京さんに負けたあとの大事なゲーム。この試合で何を積み上げるかということをテーマにこの1週間はいい準備ができたと思っていたのですが、実際にはそれほど簡単ではないと今日の試合で身をもって感じました。ラインアウトのミスだったり、どちらに転がるか分からないルーズボールを相手に取られたりというような細かい要因で、最後までもつれるゲームになってしまったので、非常に学びの多いゲームでした。われわれはまだ成長段階にあるチームなので、1日1日チャレンジして、もっとチームとして成長していきたいと思います」

──前半の途中くらいから相手に流れを渡す場面があったが、ハーフタイムでどのような話をしたのか。

「最初はフィジカルの部分でドミネートできた部分があったのですが、前半20分過ぎからそれを徹底することができていなかったので、ハーフタイムでは、後半の最初からそこに立ち返るという話をしました」

──三重ホンダヒート(以下、三重H)の印象をお聞かせください。

「今季、ディビジョン1に上がって、おそらくフィジカルレベルでディジョン2とのギャップに苦労したのかと思うのですが、そのフィジカルの部分については、今日はすごくファイトされたと思いますし、その結果、われわれも受ける時間があり、このような試合になったのかなと思います。元々力を持っているチームだと思いますし、これからどんどん良くなっていくのではないかという印象を持ちました」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「試合の入りは良かったのですが、自分たちのミスやペナルティのところなどで自滅してしまい、三重Hさんがエナジーを上げてくる時間が増えてしまって、自分たちでゲームを難しくしてしまいました。この反省を、次の試合に生かしていきたいと思います」

──前半途中からミスが増えてきた場面では、フィールドでどのような話をしたのか。

「ミドルエリアでのペナルティでどんどん自陣に攻め込まれていましたし、そこからのディフェンスでもオフサイドなどペナルティが重なって、自分たちでどんどん追い込まれている雰囲気があったので、まずは『ノーペナルティ』というコールをしました。あとは、自分たちのラグビーのサイクルがあるので、もう1回そこに立ち返ろうという話をしました」

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