NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第4節 カンファレンスA
2024年1月7日(日)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート 13-62 静岡ブルーレヴズ
リーグワン最多得点で快勝。鈴鹿で見せた、“レヴズらしい形”からの10トライ
ジャパンラグビー リーグワンでのチーム最多得点(62得点)を挙げての快勝で2連勝とし、勝敗を五分に戻した静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。主力のケガが重なって三重ホンダヒートが苦しい状況にあったとはいえ、特徴を存分に出した形で計10トライを重ねたことは、非常に大きな収穫だった。
その10トライのうちゴール近くでのラインアウトを起点にしたトライが6回。しかも、そのうち4回はラインアウトをキャッチしてからそのままモールを組んで押し込んだという、まさに静岡BRらしい形。22mライン手前のラインアウトからモールでゴールライン際まで一気に押し込んだシーンもあり、モールの強さは圧倒的だった。
プロップの河田和大は「モールを組んだときに、僕らがしっかり固まっていれば自然と前に出られるイメージがあって、ゴール前でモールを選択してトライという場面が多かったのは良かったです。スクラム、モールというのがかなり強みになってきて、そこを軸に“レヴズらしいアタック”ができてきているので、いい感じだと思います」と手ごたえを口にする。
スクラムに関しては「今日はあまり良くなくて、きれいに押せた場面が少なかったですね」と河田は振り返ったが、スクラムを起点にしたトライも2つあり、80分トータルで見れば上回っていた。今季は上位チームに対してもスクラムでは優位に立てている。
また、スタンドオフからスクラムハーフにコンバートした岡崎航大が初キャップをつかみ、自身のアタック力も生かしながら攻撃に大きく貢献したことも収穫だ。さらにフルバックの山口楓斗がキレの良いステップでたびたびラインブレイクを見せ、後半20分には単独で間をすり抜けて独走し、待望のリーグワン初トライをゲットした。
「ずっとトライを取りたかったので、気持ち良かったです。(チームの攻撃としても)相手のディフェンスを見てアタックしようというところを練習からやっていて、そこもすごく試合で出せて、良いアタックが多かったと思います」と、山口はバックス陣の好感触も口にした。
自分たちらしさが結果につながってきたことは、今後に向けて大きな自信や支えになる。次は今年初のホストゲームに3位の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)を迎える。
「ホームで東京SGに勝って3連勝できたら、また一気に波に乗れると思います」(山口)という感触は、鈴鹿まで観戦に訪れた多くの“レヴニスタ(=静岡BRファンの愛称)”も実感できたはずだ。
(前島芳雄)
三重ホンダヒート
三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ
「とても残念な結果になってしまったと言わざるを得ません。ただポジティブな面として、チームとして練習してきたディフェンスに関しては、より長いフェーズの間ディフェンスをすることができるということが今日の試合の中で見られたと思っています。実際に9フェーズ連続してディフェンスを積み重ねることができた場面がゲームの序盤にありました。われわれがミスやペナルティを犯してしまったところから、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)にキックでタッチに出されて、そこからモールで最終的に4トライ5トライぐらい奪われてしまったんですけど、その部分を的確に相手に突かれてやられてしまったと思います。あとはわれわれの単純なミスであったり、われわれが逃したチャンスからターンオーバーされてチャンスにされてしまったり、本当にチームとしてもコーチとしても残念な1日になったというのが正直な感想です」
──今季、まだ勝利がない状態が続いています。これまでどおりの三重ホンダヒート(以下、三重H)のラグビーを進化させるのか、あるいは軌道修正するのか、今後について何かお考えはありますでしょうか?
「自分たちがいまここで何ができるのかというところを本当に問われていると思います。チームとしては本当にハードワークを積み重ねていくということが求められていると思います。今日、ゲームの中で見せたシステムの部分に関しては、機能していた部分もあったと思っています。ただ冒頭お伝えしたとおり、われわれがミスしたところや、チャンスを逃したところで、相手がわれわれを罰するというか、そこを逃さず相手が突いてきたというところを改善をしていかないといけない。今日に関しては、モールのエリア、ディフェンス、あとフェーズ・ディフェンスというところをまず改善をする必要があるだろうと。本当にそれをしつこく練習して練習して、とにかく練習で改善をして、そういう練習の中でも試合の中でも小さな勝利というものを積み重ねて、最終的には大きな勝利、それはゲームの勝利という形になってくると思うんですけど、それをしっかりとできるように、チームとしてハードワークを積み重ねるしかないと思っています。
チームとしては、チャレンジを続けるというところ。なので、答えとしては新しいことをするということではなく、これはラグビーのゲームですので、本当にそこを改善して、基本に忠実に練習をしていくしかないと思っています」
三重ホンダヒート
古田凌キャプテン
「この試合で負けてしまったことはすごく悔しいところではあるんですけど、前半の序盤はアタックができ、プレッシャーを掛けることができている部分というのはありました。そこで自分たちが(トライを)取り切れない。後半もあったんですが、ゴール前まで行ってもトライを取り切れなかったところは、次にしっかりと修正して、しっかりトライを取って帰ってくることを全員が頭に入れないといけないと思いました。そもそもペナルティをしたらダメなんですけど、静岡BRのモールに対して僕たちがディフェンスでしっかりプレッシャーを掛け切れなかったというのは、そのモールのところでもうちょっとプレッシャーを掛け切って、モールトライを少なくできれば、もっと自分たちのチャンスは訪れたんじゃないかと感じました」
──静岡BRには同じ7番で南アフリカ代表のクワッガ・スミス選手がいましたが、刺激を受けたところはありますか?
「クワッガ・スミス選手は代表のときでもすごく目立ったプレーをしていたので、リスペクトはもちろんありました。実際にやってみて、本当に思ったとおりで、ジャッカルもすごく速いですし、下のボールに対してすごく速い印象があったので、そこは見習わないといけないなと思いました。本当にやり合えて、とても良い刺激を受けたので、自分にもしっかり生かせるところは生かしていきたいなと思いました」
──静岡BRはスクラムも強みですが、逆にペナルティを取った場面もありましたね。
「そうですね。スクラムで押してペナルティを取ったところもあったので、そこはフォワードとして良い収穫だったので、次につなげていきたいと思います」
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「前節で1勝できて、今回次のチャプターに入るということで、本当に最初からしっかりドミネートできるように(目指していました)。相手も1週間休みがあって、その中でしっかりリセットしてくるだろうということで、それを受けずにディフェンスも前に出られましたし、アタックでも多少のミスはあったんですけれども、プランどおり点数も取れて、選手も全員使えたので今日は良かったんじゃないかなと思います」
──惜しい形で開幕から連敗したあと、そこから2連勝となりましたが、連勝がチームにもたらしたものは?
「最初の2試合は、しっかりと相手を恐れずに戦おうということで、負けたんですけれども、自分たちにとって必要な負けだったんじゃないかなと思います。この2勝も、しっかりそれをリカバリーして、成長した中で勝てた2試合だったので、まだまだ優勝争いに絡んでいきたいと思います」
──この4試合の中で良くなってきたところと、逆にもっと伸ばしたいところはどんな部分ですか。
「ゲームの中で自分たちでしっかり直さないといけないところや、相手が弱いところをしっかり発見できるようになったということと、ディフェンスが大崩れしなくなったというのは、いいところだと思います。あとは、もう少しボールを継続してトライが取れるようにしていかなければならないと思っています」
──フルバックの山口楓斗選手が初トライを挙げましたが、彼のプレーはいかがでしたか?
「体は小さい選手なんですけど、性格も攻撃的ですし、体が小さいわりには外国人にも当たり負けしないですし、日本人特有のショートステップも踏めるので、ウチには欠かせない選手じゃないかと思っています」
──今日、岡崎航大選手が初キャップで、ほかにも何人か新しい選手を起用されましたが、彼らのプレーはいかがでしたか?
「岡崎に関してはスタンドオフからスクラムハーフにコンバートして、今日は十分合格点だと思いますし、フィジカルも強いです。自分たちのチームの厚みを持たせるということで、今日は3人(岡崎、舟橋諒将、奥村翔)新しい選手を出したんですけれども、それぞれの選手が自分の持ち味を出して、チームに競争と厚みを与えてくれたんじゃないかと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「今年の初戦で勝てたということはすごく良かったと思っています。自分たちもしっかりと休みがあってからの試合ということで、選手たちの頑張りは素晴らしかったと思いますし、三重Hはチャンスのところでもしっかりフィジカルで来ると思っていたので、自分たちとしてもチャンスをしっかりつぶせたところは良かったと思っています。しっかりこの試合をレビューして、次の試合につなげていければと思っています。
最初の2試合はすごく難しい試合でもあって、本当に何をしてくるか分からないような状態でプレーをして、そこから自分たちとしても毎試合毎試合しっかりと成長していくということを意識して、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で勝てて、この試合でまた勝てたことはすごく良かったと思います。しっかりと自分たちにフォーカスを向けていくことはすごく大事なので、今後もこの試合をしっかりレビューして自分たちが良いピーキングを迎えられるように毎試合成長していきたいと思います」