2024.01.26NTTリーグワン2023-24 第6節 静岡BR vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第6節
2024年1月27日(土)13:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs 花園近鉄ライナーズ

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

狭い隙間をスルリと抜ける。
山口楓斗のラインブレイクを堪能せよ

1対1の突破にはラグビーを始めたころから強いこだわりを持っているという、静岡ブルーレヴズの山口楓斗選手

今季はこれまで2回のホストゲームでどちらも悔しい逆転負けを喫している静岡ブルーレヴズ。今節こそホストゲーム初勝利を、という強い気持ちは、レヴニスタもチームの全員も共有している。

そんな大事な試合に向けてチームに勢いを与えてくれそうなのが、加入3シーズン目の山口楓斗だ。

14日で24歳になったばかりの山口は、167cm/76kgとラグビー選手としてはかなり小柄だが、スピードとステップのキレが抜群で、今季は5節まで全試合で先発出場(フルバックとして4試合、右ウイングとして1試合)。第4節・三重ホンダヒート戦で自身のリーグワン初トライを挙げると、続く第5節・東京サントリーサンゴリアス戦でも1トライと2戦連続トライ中。リーグの個人スタッツでも、ディフェンス突破数1位タイ、ゲインメーター6位、ラインブレイク数6位タイと見事な数字を残している。

そんな山口の特徴について、藤井雄一郎監督は次のように語る。

「タックルされる直前にステップを切るので、すごく止めにくい選手だと思います。スピードもありますし、たぶん分かっていて止められない。小さいけれど体も強いし、タックルもいい。ハイボールを取るのも上手ですし、ウチには欠かせない選手です」

山口自身も、1対1の突破にはラグビーを始めたころから強いこだわりを持っている。

「昔からウイングかフルバックしかやってなかったし、1対1の勝負が大好きなので、練習でもずっとこだわってやっていました。スペースや相手の目を見ながら駆け引きをしていますが、ほとんど感覚でやっていますね。ちっちゃいから止めにくいだけかもしれないですが(笑)」

そうした駆け引きによって相手を抜き去ると「本当に気持ちいい」という快感があり、それが練習の原動力にもなっていると言う。

昨季は第5節・三菱重工相模原ダイナボアーズ戦でリーグワン初キャップをつかみ、そこから4試合連続で出場した。しかし、その後は右腕を骨折して長期離脱となり、悔しさのほうが大きいシーズンとなった。その思いを胸に、いまも公式戦を重ねながら成長を見せている。

「昨季はちょっと気持ちが前に出過ぎたり、熱くなり過ぎていた面もありました。いまはもっと冷静に、試合の雰囲気や流れなど周りの状況も見ながらプレーできていると思います。だから、スペースも前より見えているというのはあると思います」

今節はチーム事情によってウイングとしての出場になる予定だが、「トライチャンスはフルバックより広がると思うので、もちろん3試合連続のトライを狙っていきます。ウイングだからといってずっと外にいるだけでなく、どんどん移動していろんなスペースに走り込みたいです」と強い意気込みを口にする。

山口が狭い隙間をスルリと突破してラインブレイクすると、ヤマハスタジアムが一気に盛り上がり、レヴニスタのテンションも“爆上がり”する。そんな瞬間が増えれば増えるほど、ホストゲーム初勝利は自ずと近づいてくるはずだ。

(前島芳雄)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

小柄な日本人選手が世界で活躍するカギ。
「僕も局面では大きな選手を……」

花園近鉄ライナーズの野中翔平キャプテン。今節は本来のポジションであるフランカーではなくナンバーエイトで出場する

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、1月27日のNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第6節で静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦に挑む。

開幕から5連敗を喫し、いまだ勝利を手にしていない花園Lだが、強豪相手にもがっぷり四つで組み合う時間は増えている。向井昭吾ヘッドコーチも「自分たちのミスを減らしていけば対等に戦える」とチームの足取りに一定の手ごたえを感じている。

課題となっている“自滅”をなくすことがポイントになるが、キャプテンを務める野中翔平に課せられる役割は大きい。

「次の相手はスクラムとセットピースが安定しているので、ミスをなくしたい」と静岡BRの強みについて話す野中は、チームを引っ張るキャプテンとしてだけでなく、日本で生まれたラガーマンとしてこの試合には特別な思いを抱いている。

「昔から『すごいな』と思っていた選手たちと対戦できますからね」。開幕から各会場で盛り上がりを見せ、観客動員でも好調な今季のディビジョン1において、野中はラグビーワールドカップ2023フランス大会でも存在感を見せた静岡BRのクワッガ・スミスについて、特に感じるものがあるという。

「僕もそうですけど、クワッガ(・スミス)はあのサイズ(180cm)でしょう。僕もそうですが、このサイズ感の選手が活躍することに日本ラグビーの未来につながるカギがあると思っています」

フランカーが本職の野中は、今節はナンバーエイトで出場する。前節のトヨタヴェルブリッツ戦ではエッジ(サイドライン際)でボールを受けるなど、攻撃面でも重要な役割を託されていた。

推進力のあるサナイラ・ワクァの負傷離脱によって、本職とは異なるミッションも託されている格好だが、フランカーとしては小柄な183cmのキャプテンはキッパリと言う。

「クワッガ(・スミス)も大きい選手に当たり勝っていますし、僕も局面では自分より大きな選手を仰向けに倒すことができる。世界のスーパースターと同じ空間に立っている試合で、同じ番号の選手には負けたくないんです」

今節、クワッガ・スミスとの対戦は実現しないが、野中の意気込みに、一切の変わりはない。

(下薗昌記)


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