2024.02.01NTTリーグワン2023-24 第5節 浦安DR vs RH大阪-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第5節
2024年2月3日(土)13:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
浦安D-Rocks vs レッドハリケーンズ大阪

浦安D-Rocks(D2)

プライドと未来を懸けた初のNTTダービー。
赤き宿敵を相手に、勝利だけが求められる80分

リーグワンではこれが初の“NTTダービー”。対戦を前に浦安D-Rocksの安田卓平選手は「良いライバルというか、ほかのチームに対してとは違う感情が湧く」と語る

リーグ戦の折り返しとなる第5節で浦安D-Rocks(以下、浦安DR)はレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)と駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で対戦する。ホストゲームできっちりと勝利を積み上げ、勝負の後半戦へとつなげたい。

絶対に勝たなければならない一戦だ。浦安DRとRH大阪は、同じNTTを母体とする言わば“兄弟チーム”。その相手に負けていい理由を探すほうが難しい。普段以上、120%の力の発揮が求められるゲームとなる。

RH大阪とは『NTTラグビー全国大会』では毎年のように顔を合わせ、今季も昨年の10月に対戦している。そのくらい身近な存在であり、普段から交流も深い、常に意識するチームだ。だからこそ、公式戦での初めての対戦となればこれまで以上に勝負師の血が騒ぐ。それが浦安DRのジャージーを身にまとい、エンブレムを背負う男たちの性である。

リーグワンの舞台での初対決までにいろいろなことがあった。チームの改編、消滅、誕生、選手やスタッフの移籍──。それでも、“ライバルにだけは負けたくない”という、その一途な気持ちは、唯一にして絶対に変わらない思いである。両チームの歴史を知るチームスタッフは「内容でも圧倒して叩きつぶしてほしい」と選手たちへ思いを託す。

“過去”を知る選手の一人である安田卓平は「知っている選手も多いぶん、面白い相手であり、やりにくい相手でもある。良いライバルというか、ほかのチームに対してとは違う感情が湧くチーム」と“赤き宿敵”を表現。そのまま穏やかな口調ながらも熱く言葉を吐き出した。

「相手が “ドコモ”ということで思いのある選手も多いと思うし、周りからのプレッシャーはあります。『絶対にドコモには負けられない』とは、選手だけでなく、社員の方々やD-Rocksを応援してくださる方も思っているので、勝つことはそうですけど、しっかりと内容にもこだわって全員で戦いたい」

浦安D-Rocksが誕生して初めて実現する“NTTダービー”。今後も長く続いていくであろうその歴史の初戦を勝つか、そうでないかはプライドやこれからの行く末に大きく関わってくる。勝利だけが求められる80分。ノーサイドのホイッスルが鳴り響いたとき、歓喜に酔いしれるネイビーのユニフォーム姿の選手たちとスタンドが、いまから目に浮かぶ。

(須賀大輔)

レッドハリケーンズ大阪(D2)

どれだけしてもし尽くせないほどの恩返し。
オリンピアンを目指す男の覚悟は揺るがない

レッドハリケーンズ大阪の選手としてセブンズ日本代表でオリンピックを目指すのも恩返し。吉澤太一選手の今年のパフォーマンスに注目したい

2月3日(土)、ディビジョン2第5節のビジターゲームに臨むレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。今節は、昨季のD3トライランク首位でMVPも獲得した吉澤太一が、今季のリーグ戦に初出場する。昨季を終えてからこれまでは、7人制日本代表に参加していた。

7人制日本代表がヨドコウ桜スタジアムで夏季オリンピック競技大会 パリ2024への切符を手にした昨年の11月19日、決勝戦前の国歌斉唱で涙ぐむ姿を見せていた吉澤。実は、その日の試合をもって、7人制日本代表での活動を「区切りにしようと考えていた」。愛するラグビーを長く質を保って続けたい吉澤にとって、「セブンズとチームの両方でプレーするのは年齢的に難しいかもしれない」と思っていた。これが最後だと思うと、これまでの7人制日本代表での活動はもちろん、15人制チームでのことも走馬灯のように想起していた。

RH大阪の仲間たちが応援に駆けつけてくれたのも、RH大阪ファンが名前入りのタオルを掲げてくれていたのも、見えていた。準決勝でグラウンドに立ったときやトライを決めたときの声援も聞こえていた。コカ・コーラレッドスパークスが事実上の廃部になったときには引退も考えたが、「ラグビーしかやってこなかった」自分を必要とし、迎えてくれたのがRH大阪だった。それがなければ、グラウンドで国歌斉唱することもなかっただろう。試合後、大粒の涙をいくつもこぼしたあと、ひと呼吸おいて絞り出した言葉は、「感謝しかない」だった。

そしていまは、「昨季とても活躍してくれていたので彼がいないのは寂しいが、彼の目標を応援したい」(マット・コベイン ヘッドコーチ)という思いを持つ人が少なくないことも理解している。だからこそ、「7人制か15人制か、少し考えて選択したい」としていたが、リーグ開幕前にどちらも取ることを選んだ。「レッドハリケーンズを代表してオリンピックに出場し、チーム名を知ってもらうことに貢献したい。また、いい若手選手がたくさんいるので、D2やD3からでも日の丸を背負えると見せられたら」という吉澤の目標は、「恩を返したい」。ただ、それだけだ。けれど、「何歳になってもその目標は実現できないかもしれない」と感じるほど、感謝の思いは強い。

今季初めてRH大阪の15番を背負って立つ会場は、1964年の東京オリンピックのために整備された駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場。これも何かの縁なのかもしれない。悩み抜いた末に今夏オリンピアンになることを目指す決断をした吉澤の「恩を返したい」覚悟は、決して揺るがない。

(前田カオリ)


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