NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第6節
2024年2月17日(土)14:30 大和なでしこスタジアム (神奈川県)
浦安D-Rocks vs 日本製鉄釜石シーウェイブス
浦安D-Rocks(D2)
5試合ぶんため込んだエネルギーを
「冷静に」爆発させるとき
ディビジョン2も折り返しとなる第6節で浦安D-Rocksは日本製鉄釜石シーウェイブスを大和なでしこスタジアムに迎える。連勝を『5』に伸ばし、チームの勢いをさらに加速させたい。
今季6試合目にして、フランコ・マレーがピッチに帰ってくる。昨季最後の公式戦となったD1/D2入替戦第2戦・花園近鉄ライナーズ戦の後半にハイタックルのペナルティを取られ退場となった。後日、発表された追加的処分は公式戦5試合の出場停止。その5試合はシーズンをまたいで今季に持ち越され、前半戦の5試合に適用された。
少し厳しく思える処分に対してもフランコ・マレーは真摯に受け止め、試合から遠ざかる時間で新たな気付きや学びを得た。ノンメンバーとしての役割を全うし、ゲームメンバーを支えながら、自分自身と向き合うことを忘れなかった。
「その(5試合出場停止の)決断を下されてすぐに『チームのために何ができるか』に専念していました。当然、普段であればメンバーに選ばれるためにセレクションに入りたいと思いますけど、出場停止と分かっているのである意味、気持ち的にはラクでしたね。プロとして、ゲームメンバーをサポートするというマインドセットに切り替えられていたと思います」
客観的な立場でゲームを見る機会を得たことで、1週間をとおして準備してきたことがしっかりと実行できているか、用意してきたプランやテクニックが発揮できているか、俯瞰してチームを見る視点を得た一方、個人として学んだのはメンタル面の部分だった。
「この期間で一番学んだのは感情的になり過ぎないことですね。もちろん、感情を露わにしていいときもあるけど、準備してきたフォーカスポイントを一つひとつつぶして丁寧にやっていけば違う楽しみ方も生まれると思うし、冷静さを保って自分たちが成し遂げようとしていることをしっかりとやっていけば、一瞬、一瞬を楽しめると思いました」
ようやく頼れるフッカーが戻ってくる。この試合に向けたキーワードは「冷静に、冷静に」。心は熱く、頭はクールなフランコ・マレーが5試合ぶんため込んだエネルギーを爆発させる。
(須賀大輔)
日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)
手術が転機となった30歳の「楽しむ」決意。
初勝利へ、中心選手としての貢献を誓う
前半戦を終えてディビジョン2最下位の日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は2月17日(土)にビジターで2位の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)と対戦。今季、まだ勝ち星がない中、前半戦で得た手ごたえを、勝利という結果で示すための後半戦がスタートする。
「個人的にも今までで一番悔しいシーズンになっている」。そう話したのは、在籍8年目の南篤志だ。前半戦は開幕から5試合すべてで先発起用され、チームのアタックにいいリズムを与えるテンポのいいパスや正確なキックなど、安定感あるプレーでチームを支えてきた。前回の浦安DRとの対戦でも南のパスが起点となってボールがつながり、最後は再びボールを受けた南が自らトライを決めた。それでも今季、ここまでのパフォーマンスに満足していないのは、チームの結果が出ていないことに加えて、円熟期の30歳という年齢が大きいようだ。「昔は間違えても気にしないという感じでやっていたが、年齢も30歳になり、プレー中もよりいい選択をしてあげないと後輩や周りにいい影響を与えられない。僕が間違えれば悪い流れを連鎖させてしまう立場になりかねない。トライに限らず、キーになるパスやプレーを毎試合したいと思って試合に飛び込んでいます」と、当たり前を当たり前にこなすことが前提として求められる立場となり、これまで以上の自覚を胸にピッチに立っている。
人生で初めての大きなけがと手術も選手としての転機となった。4試合の出場にとどまった、リーグワン1年目。終了後のオフシーズンにすねの疲労骨折の治療のため、ひざから棒状の金属を入れて固定する「髄内釘手術」を受けた。術後の昨季は試合に出場しながらも、ひざの痛みや肉離れなどの違和感を抱えて過ごした。ラグビー選手として万全な状態でプレーできない経験を経た南。「30歳で挑むシーズンのテーマは?」の質問の答えはシンプルだった。「純粋にラグビーを楽しむこと。これまではけがとは無縁で、ずっと変わらずプレーできるものだと思ってやっていた。でもそうではない。今季は体の調子もいいので全試合出場して思い切り楽しみたい」。ラグビーを楽しむ気持ちは若手にも負けない。
今節はリザーブでのスタートとなるが、仲間を鼓舞しながら大事な場面での起用に備える。「まず一つ勝利できるようにみんな頑張っている。そこに自分も中心になって貢献できるように頑張りたい」。今季強い責任感の中にもフレッシュさを兼ね備えている30歳の言葉に力がこもる。
(佐々木成美)