NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第6節
2024年2月10日14:30 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知
レッドハリケーンズ大阪(D2)
8番から10番へ。異例のコンバートで期待される、
試合中のコミュニケーション増
2月10日(土)、ヨドコウ桜スタジアムに豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)を迎え、ホストゲームを行うレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。今節の先発メンバーには、負傷から復帰した3選手が名を連ねた。ボークコリン雷神、ベンジャミン・ソーンダース、50キャップ目を迎える茂野洸気。いずれも今季初出場となる。
中でも特筆すべきは、ボークのポジション。昨季RH大阪に加入し、ナンバーエイトとしてディビジョン3優勝とディビジョン2昇格に貢献した。しかし今節の背番号は、8番ではなく、10番。マット・コベイン ヘッドコーチがリコーブラックラムズ(現・リコーブラックラムズ東京)で指揮を執っていた当時、同チームに在籍していたボークがスタンドオフを務めたこともあったが、それ以来だという。
長らく務めていなかったスタンドオフ。彼にとっては「フォワードのほうがイージー。スタンドオフは、いろんなサインプレーがあって、大変」だと笑い、試合に向けてのトレーニングで手首に巻いていたテーピングをちらりと見せた。小さな文字でたくさんのメモ書きが記されている。チームをオーガナイズするために頭をしっかり整理しておきたいからであり、そこに不安があるわけではない。そのテーピングを外しながら、落ち着いた口調で言う。「自信がなければ、このポジションに入らない」。39歳の大ベテランは、「今週は学ぶことがたくさんある」と充実した面持ちで話し、試合を心待ちにしている様子だった。
マット・コベイン ヘッドコーチがボークをスタンドオフに起用し、期待していることの一つは、試合中のコミュニケーション。チームが少し静かになってしまうタイミングがあるため、その改善を望んでいるという。また、彼には豊富な経験もある。負傷中もグラウンドに出て、トレーニング中の選手たちとコミュニケーションをとり、アドバイスしている姿も頻繁に見られた。求められている役割は、十分に果たすことができるだろう。1カ月ほど前からは、グラウンドで走る姿も見られるようになっていた。インテンシティーも上がっている。
「まだ全員が満足できる完璧なパフォーマンスは出せていないと思う」と話したボーク。「S愛知との前回対戦では、たくさん点を取られてしまったが、それをプレッシャーに感じる必要はない。自分たちがやってきたことを発揮するだけ。チームの一人ひとりが自分の務めを果たしていけば、自ずと結果にも結び付く」。
今節では司令塔としてチームを正しい方向へ導き、RH大阪の持つアタッキング・ラグビーを見せたい。
(前田カオリ)
豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)
大卒新人がつかんだ初先発の機会。
「自分なりにチャレンジできたら」
前半戦を4勝1敗の勝ち点20という成績で終えた豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。ディビジョン2に所属するチームとの対戦が一巡し、後半戦の幕開けとなる今節は、前回対戦を71対12で勝利したレッドハリケーンズ大阪とのビジターゲームに臨む。
「全体的に満足いくパフォーマンスだった」と前半戦を総括した徳野洋一ヘッドコーチは、チームの自己採点を「80点以上くらい」と評した。2月のゲームは今節のみ。今節終了後、約3週間のブレイクを挟み、全4試合が予定される3月に向かう。ハードな日程を乗り切るためにも、チームはこの2月を「重要な時期」(徳野ヘッドコーチ)として捉え、「接点」「セットピース」「コネクション」を強化ポイントに据えて日々トレーニングを行っている。
特にアタックやディフェンスのコネクションの部分、チームとしての連動性を高めることはディビジョン1へ昇格するための絶対条件。全員が同じ絵を見て、同じ選択をできるよう練習から意識して取り組んでいる。「サッカーやバスケットボールのような連係」を徳野ヘッドコーチは理想として掲げている。
その連動性を表現する上で注目したい存在として、戸野部謙を挙げたい。大東文化大学から今季S愛知に加入し、開幕戦でデビュー。いきなりトライを奪い印象を残すと、ここまで3試合に途中出場。今節が待望の初先発となる。
「先発メンバー入りを伝えられたときは『マジか』と思いました。緊張します」と率直な心境を語った戸野部。加入直後に肩とひざの手術を行い、プレシーズンの大半をリハビリに費やした。「焦りはありましたけど、チームメートから『焦っても意味がない』と言われて、焦らずできた」。
それも功を奏したか、開幕直前のプレシーズンマッチでアピールに成功すると、その後のメンバー入りをつかんだ。そしてたどり着いた先発という晴れ舞台。「いい機会をいただけたので、自分なりにチャレンジできたら」と、持ち味である度胸満点のプレーや、チームが目指すラグビースタイルを体現する存在として、期待が懸かる。
(齋藤弦)