2024.03.08NTTリーグワン2023-24 第9節 WG昭島 vs 日野RD-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第9節
2024年3月9日(土)13:00 AGFフィールド (東京都)
クリタウォーターガッシュ昭島 vs 日野レッドドルフィンズ

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

二人の偉大なフランカーを目標に。
中尾泰星のタックルで連勝街道を伸ばせるか

クリタウォーターガッシュ昭島の中尾泰星選手。「僕の仕事は、チームに勢いをつけること」

クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、今季6戦全勝でディビジョン3の首位を走る日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)をAGFフィールドに迎える。WG昭島が、ジャパンラグビー リーグワン初年度から続くAGFフィールドでの連勝記録を伸ばすか、それとも日野RDが今季の連勝を継続するか。両チームのファンにとっては見どころの多い一戦だ。

その大事な試合で活躍が期待されるのは、WG昭島の中尾泰星。太田市運動公園陸上競技場で行われた第2節の前回対戦を振り返って、「スワーブ(外側に回り込むような動き)で相手を抜くことができたのは良かったのですが、その後の1対1で、(相手に)当たることしかできませんでした。それで、いまはチップキックの練習もしています」と中尾。控えからの出場機会も増える中で、「与えられた時間で、自分に何ができるかを考えてプレーするようになりました」と、新たなチャレンジに意欲を燃やす。

中尾には、「尊敬している」という同じポジションの選手が二人いる。一人は、東京サントリーサンゴリアスのサム・ケイン。言わずと知れた、ニュージーランド代表“オールブラックス”のキャプテンを務める世界的なプレーヤーだ。そしてもう一人は、同志社大学ラグビー部の総監督を務める中尾晃。何も隠すことはない、中尾泰星の“親父”だ。「実家には同志社大学の6番のジャージーが飾ってあって。(体が大きくないために)フッカーをやらないかという誘いもありましたが、絶対にフランカーしかやらない、と(笑)」。父親の背中を見て育った中尾らしい、誇りとこだわりであり、ラグビーの花形ポジションとも言われる「フランカー」には、それだけの魅力がある。

「厳しい試合が続いていますが、WG昭島は勢いに乗ったら強い。僕の仕事は、チームに勢いをつけることだと思っています」。強敵を前にして、それでもなお同スタジアムでの連勝街道を突き進むことができるか。AGFフィールドのジンクスも思わず味方するような、気持ちのこもった中尾のタックルが見たい。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

日野レッドドルフィンズ(D3)

躍進を支える“背番号1”が、
ヘッドコーチと毎日続ける居残り練習

日野レッドドルフィンズの徳田悠人選手。苑田ヘッドコーチとのハンドリング練習は日課のようになっているという

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)は3月9日(土)、AGFフィールドでクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)と対戦する。WG昭島とは第2節で対戦して以来、今季二度目の対戦。第2節では37対24で日野RDが勝利している。

苑田右二ヘッドコーチは「WG昭島はどのエリアからもボールを継続してアタックしてくるチーム。そのためトランジション(攻守の切り替え)の部分がとても重要になるので、相手よりもハードワークで動き続けること」をポイントに挙げた。「外国人選手を中心にフォワードも強いし、とても良いチーム。対してわれわれはペナルティを最小限に抑え、自分たちの力を最大限発揮できるようにしたい。(日野RDがホストゲームを行う)AGFフィールドでの試合でもありますし、多くのファンにエキサイティングなラグビーを見せたい」と苑田ヘッドコーチは週末の試合を見据えている。

日野RDは中1週間での試合を今季初めて経験することになる。それでも、徳田悠人は準備万端だ。「試合への準備期間が短いので、コンディショニングも含めて、自分の体と戦術をしっかりと作り上げていくことを一番に意識して練習しています」。徳田はここまで全5試合で先発している。

「自分の中で一番に心掛けているのは、けがをしないということ。そのためにもコンディショニングにはしっかり気を向けて取り組んでいます」。普段からの努力もあり、チームを土台からしっかり支える存在となっている。

そんな徳田には今季、“日課”としていることがある。全体練習後に必ず「ボール受け渡しの個人練習」を行っているのだ。

ラグビーボールだけではなく、サッカーボール、野球のボール、テニスボール……。さまざまな大きさのボールでひたすらパスをつなぐ練習。苑田ヘッドコーチとともに徳田がボール回しをする姿が見られなかった日はない。「もうルーティンみたいな感じです。地味かもしれませんが一番大事な部分なので、欠かさず取り組んでいます。ラグビーボールだけでなく小さなボールを扱うことで、手の感覚なども違っているのでいろいろな効果がある」と徳田。毎回最後まで練習に付き合ってくれる苑田ヘッドコーチには「何でも話せますし、とても親身にコミュニケーションを取っていただける方なので感謝しています」。徳田は、ヘッドコーチと選手との距離の近さは「今季の良さでもある」と話した。

苑田ヘッドコーチも「前節の試合でも、とても良いパスを送っていました。日々の積み重ねが試合で表現されていましたね」と徳田の成長ぶりをうれしそうに語っていた。

「WG昭島は外国人選手も多く、強いランナーが縦に走ってくる。自分たちもコンタクトプレーは強みとしていますので、受け身になることなく前へ出て体をぶつけていくことを意識します。その上で、自分の強みであるスクラムを生かしてしっかり相手を圧倒したい。スクラムの部分で優位に立ってチームを勢いづけられるように頑張ります」

WG昭島戦に向けて、そう抱負を語った徳田。今季の躍進を支える背番号「1」にこれからも注目だ。

(関谷智紀)

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