2024.03.29NTTリーグワン2023-24 第11節 中国RR vs 日野RD-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第11節
2024年3月31日(日)14:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs 日野レッドドルフィンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

味わった悔しさを忘れない。自分たちの物語に
“勝利”の4ページを刻む覚悟

中国電力レッドレグリオンズの宮嵜隼人選手。前節の試合を振り返って「江東BS戦の負けは夢に出るかと思うぐらい悔しかったので、それをこれからの試合にぶつけるしかない」

1点差で惜敗した前節から数日後、本来ならばオフの日に岩戸博和ヘッドコーチは選手たちを集めてミーティングを行った。

「試合後に悔しい思いがあったと思うけど、少し時間が空いて頭が冷静になったときに、その悔しさを忘れてほしくなかった。『ラスト4試合はもう一回覚悟を決めて、全部勝ちにいこう』と話しました」

中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は今季8試合を終えて(不戦敗を含む)1勝7敗。成績だけ見ると昨季とほとんど変わらないが、試合内容は接戦や善戦が増えている。第5節のマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)戦は粘り強いディフェンスで1点のリードを試合終了までの約10分間守り切って今季初勝利。その一方で、第7節のSA広島戦と前節の清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)戦はどちらも最後まで逆転の可能性を残したが、主導権を握りながらも得点を奪い切れずに勝利を逃した。

今まで以上に好勝負ができているため、岩戸ヘッドコーチは「昨季と比べたら絶対に強くなっているし、勝つための土台は選手自身も備わっていると自覚しているはず」とチームの成長を実感している。そこからさらに前進するために、これまでに経験した悔しさや学びを、勝利への伏線に変えていく。

「前節の1点差の負けも、(5点差で負けた第7節・)SA広島戦も、僕らのストーリーだったし、そういった経験の積み重ねで、『残りの試合は本気で勝ちにいこう』という話をした。これまでの試合があったからこそ、最後は4連勝できたというストーリーにもっていくのが僕の仕事。そういう思いでミーティングをしました」(岩戸ヘッドコーチ)

前節のラストプレーで誰よりも悔しい思いをしたのはルーキーの宮嵜隼人だった。高精度のキックを武器に今季チームトップの81得点を記録するスタンドオフは、ゴール前のこう着状態で最後にキックパスを選択。だが、ボールは惜しくも味方に届かず、タッチライン外に流れて試合終了となった。

「選択肢がいろいろあった中で、選択が間違いだったとは思わないけど、咄嗟の判断だったので、もっと頭をクリアにして状況を理解して選択できたら良かった」と、宮嵜は反省しつつ、前節の経験を糧に戦い続ける。

「江東BS戦の負けは夢に出るかと思うぐらい悔しかったので、それをこれからの試合にぶつけるしかない。あの試合で経験したことを今後の試合で生かしていかないといけない」

中国RRは今節、すでに昇格を決めた強敵の日野レッドドルフィンズをホームに迎える。選手たちの覚悟は決まっている。シーズン終盤戦で伏線回収へ。自分たちの物語に勝利を刻みにいく。

湊昂大

日野レッドドルフィンズ(D3)

本職での先発へ。新しい攻撃の形を生み出す
ゲームコントロールに期待が懸かる

日野レッドドルフィンズの土肥恵太選手。今節は10番で出場予定で「自分が動く場面もあるとは思いますが、やはりどうやったら味方が気持ちよくプレーできるのかを突き詰めていきたい」

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)は3月31日(日)、Balcom BMW Stadiumでのビジターゲームで中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)と対戦する。その中国RR戦に向けたスターティングメンバーでスタンドオフに土肥恵太の名前が今季初めて記された。

「前節の清水建設江東ブルーシャークス戦が終わった直後に、苑田さん(苑田右二ヘッドコーチ)から『次の試合は準備しておいてほしい』と言われました。そのときはうれしさ半分、緊張半分という感じでしたが、そこからしっかり対応はできていると思います」

土肥は“本職”のスタンドオフで日野RDの“新しい攻撃の形”を見せるべく、冷静かつ熱く闘志を燃やし、「まずはいかにゲームをコントロールするかが一番のカギになると思います。自分が動く場面もあるとは思いますが、やはりどうやったら味方が気持ちよくプレーできるのかを突き詰めていきたい」と試合を見据える。

そんな土肥について苑田ヘッドコーチも「非常にスキルのある選手で、ゲームコントロールもしっかり遂行できる。若い選手ですし、こういった経験が成長につながると思うので、中国RR戦では自分の強みを生かしてチームをどんどんドライブしてほしい」と期待を寄せている。

センターとフルバックのポジションで今季5試合に出場している土肥。今季はさまざまなポジションで起用されたことで、試合の展開を読む判断力がさらに磨かれたと語る。

「フルバックで出場した前回の中国RRとの対戦でも、状況に応じたパスや正確なキックなど自分の強みを最大限に出せたので、ぜひ、スタンドオフのポジションでもそういった最大限のプレーを見せて勝利に貢献したい。その中で(ディビジョン3)優勝の可能性がある試合でのスタメンはとてもうれしいですが、まずは自分たちのラグビーをしっかりやり抜いて勝つだけなので。試合ではやるべきことに集中して勝ちたい。結果として優勝し、ファンのみなさんとともに喜べたら最高です」

土肥が日野RDの“新しい攻撃の形”を見せることができれば、来季以降へ向け戦略のオプションもさらに広がる。広島の地でどんなゲームを創りあげてくれるのか。若き司令塔のプレーに期待が高まる。

(関谷智紀)


ニュースの一覧へ