NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第12節 カンファレンスA
2024年4月6日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs 三重ホンダヒート
静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)
レジェンドの偉業に“初の3連勝”で華を。
鉄人・矢富勇毅は節目の試合を目一杯楽しむ
「(150キャップは)本当に自分の力だけでは成し遂げられないことだと思いますし、家族はもちろん、ヤマハ発動機時代から本当にたくさんの仲間とコーチ、ファン、サポーターの方々と関わってきて、その人たちのパワーや勇気など、いろいろな形で後押ししてもらった結果だと思います。だから本当に今まで自分をサポートしてくれた人たちへの感謝の気持ちでいっぱいです」
チーム最年長39歳のスクラムハーフ・矢富勇毅。今節の三重ホンダヒート戦でピッチに立てば、(トップリーグ時代から合わせて)クラブキャップ数が通算150キャップとなる。クラブとしては山村亮氏(204試合)、太田尾竜彦氏(193試合)といったレジェンド選手に続く3人目の偉業だ。
「山村さんや太田尾さんにはまだ全然届かないですが、僕はここまでたくさんけがもしましたし、ラグビーをやめようかなと思ったときもたくさんありました。そういう中でここまでキャリアを重ねることができて、偉大な先輩たちに少し近づけたことは、素直にうれしいですし、自分自身に対しては『ちょっと頑張ったな』と言いたいですね」
2007年に早稲田大学を卒業してヤマハ発動機に入社し、このクラブ一筋17年。誰も予想できないプレーや、陽気で気さくな人柄で多くのファンに愛されてきた。けが等もあって順風満帆な選手生活だったとは言えないが、苦難の時期にもあきらめることなくラグビーを愛し続けてきた。
「ラグビーという競技自体にすごく魅力があるということは、この歳になっても常に感じています。あとは、本当にたくさんの人たちの支えですよね。スポーツなので試合に出られる選手、出られない選手がいますが、出られない選手たちが本当に僕らを支えてくれていると思うので、特にそこには感謝しています。本当に良いチームメートに恵まれたと感じています」
昔のビデオで自分のプレーを見ると「キレが違うな」と感じることもあるそうだが、現在のプレーもまだまだ元気いっぱい。今季も11試合中8試合に出場し、チームの流れを生み出している。若い選手と遜色なく動ける理由の一つに、苦労や経験を重ねて自分の体との対話が得意になってきたこともあると言う。
「けがはいつどこで起こるか分からないですし、いまの体の状態を見極めて、どれだけ追い込めるか、どういうケアが必要なのか、その辺のオプションは、年齢を重ねてきた中でたくさん持っているので、その中から選んでいます。それにプラスして、新しいことがあれば1回取り入れて試していますし、自分自身が実験台みたいな感じですね(笑)。こういう知識を若い選手が必要としてくれれば惜しみなく伝えますし、それで僕より長くやれる選手が出てきてくれたらうれしいですね」
今節で勝てば、静岡ブルーレヴズとしてはジャパンラグビー リーグワンで初めての3連勝となる。そこにインパクトメンバーとして矢富が出場して勝利に貢献すれば、新たに二つの歴史が刻まれる。本拠地ヤマハスタジアムでのホストゲーム。レヴニスタに恩返しする意味でも絶好の舞台が整っている。
「本当に良い機会をいただいているので、この試合を目一杯楽しみながら全力でやりたいと思っています」
もちろん彼だけでなく、メンバー外の選手を含めたチームの全員も、レジェンドの大記録に華を添える勝利のために全力を出し尽くす。
(前島芳雄)
三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)
大敗から3カ月。いまこそ披露したい
ハードワークを積み重ねてきた成果と成長
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24ディビジョン1は同一カンファレンスの2巡目の戦いに突入する。三重ホンダヒート(以下、三重H)は、前節・トヨタヴェルブリッツ戦に快勝して勢いに乗る静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)とのビジターゲームに臨む。
1月の前回対戦では計10トライを重ねられて、13対62で完敗を喫した。10トライのうち、ゴール近くでのラインアウトからそのままモールで押し込まれた形が4つ、スクラムを起点にしたトライが2つと、フォワード陣の強さを見せつけられた。
この試合をスタンドで見守っていた服部航介は「静岡BR戦でモールやスクラムでトライを取られたことがきっかけで、モールディフェンスを強化してきました。以前は方向に少しバラつきがあったのですが、全体的にまとまって押せていると手ごたえを感じています」と明かす。
服部は直近4試合に先発出場中。タックルで相手の攻撃を止めるなど、高い運動量と仕事量でキャプテンの古田凌の欠場という痛手を埋める活躍を見せている。
「最初は途中で足がつって、交代になってしまったのですが、徐々に出場時間が伸びて、ここ2試合はフルで出られているので成長を感じています。僕は目の前のことに集中して、全力を出し切ることを一番大事にしています。気合いと根性タイプの人間なので、疲れてきても、気合いで乗り切っています」
フォワードとバックスをつなぐ“足回り”としてチームを支えるフランカーは、派手ではないが、トライの起点になるプレーが多く、ピンチの際には一番にタックルに行くなど重要な役割を担う。服部が今季初めてフル出場した前々節・花園近鉄ライナーズ戦で三重Hはディビジョン1初勝利。前節・三菱重工相模原ダイナボアーズで接戦を演じたことは、服部のハードワークの証左とも言えるだろう。
「僕の持ち味はブレイクダウンのバトル。しっかりとタックルに行くことやジャッカルでのターンオーバーを狙って、取れなかった場合でもボールに絡んで、相手の球出しを遅くさせてディフェンスラインが整える時間を作れるように意識してプレーしています。フランカーはフォワードでありながらも、バックスに近い。スクラムのあとのフィールドプレーも重要になってくる。そこに面白さを感じています」
大敗から3カ月。チームはどれだけ成長したか。服部を筆頭にチーム全員でハードワークしてきた成果を、いまこそ披露したい。
(山田智子)