選手のスキルを「見える化」し、強いスクラムへ
~ICTを活用した取り組み~
この度、トップパートナーである日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下 NTT)と共に、ICTやデータを活用したチーム強化の取り組みに着手し、4月1日より本格的な技術実証を開始しました。
NTTが研究開発を進めるスクラム可視化技術を日々のトレーニングの中で活用し、選手やコーチの意見を取り入れてチーム強化に役立てるとともに、基盤となる技術の検証・改善を進め、アスリート向けソリューションの開発を共にめざします。
【取り組みの概要】
これまで、スポーツにおける選手のスキル、特に集団競技のパフォーマンスについてはもっぱら現場の指導者の経験や主観に頼った評価がなされており、定量的な分析は充分になされていません。近年では、選手の強化や怪我の防止などを目的とした IoTの導入が急速に増えていますが、ラグビースクラムのようなチームパフォーマンスの向上を見すえたICT活用事例は未だ多くありません。
こうした背景を踏まえNTTと共同で、ウェアラブルセンサを用いて選手の状態を推定する独自技術の開発に取り組み、これまで客観的な計測が困難であったスクラムパフォーマンスの可視化を実現しました。
本技術を用いて、昨年度より、トレーニングにてトライアルを開始し、チーム強化での活用を図ってきました。
今後も引き続き、技術の改良や有用性の検証をすすめ、日ごろのトレーニングや戦術立案に活かせるチームスポーツソリューションとして一般向けに広く提供することを共にめざします。
【技術のポイント】
本取り組みでは、ラグビーの勝敗を左右する重要な要素であるスクラムの状態を客観的に計測・評価し、直感的にわかりやすく可視化するシステムの開発を行っています。
選手が身に着けたIMU (慣性センサ) と呼ばれる小型・軽量なウェアラブルセンサにより、スクラムで押し合った際の状態(押し方や姿勢)を計測し、無線通信を介してデータを収集します。
得られたデータから、個々の選手、およびスクラム全体のパフォーマンスを即時に分析し、タブレット端末によってその場で可視化できるシステムを開発しました。選手やコーチは、フィードバックされた情報をトレーニングや戦術立案に取り入れることで、客観データに基づいたスクラムのアップデートを図ることが可能になります。
今後、計測結果をデータベースとして蓄積する機能を追加し、映像やバイタル等の種々のデータと統合することで、各選手の特性や日々の状態の推移の定量化、選手同士の組み合わせの良し悪しの分析など、多角的なチーム強化に利用できるシステムの実現をめざしていきます。
【今後の展開】
NTTでは「データドリブンによる新たな価値創造」を経営戦略の柱の一つとして掲げており(※1)、スポーツの分野においてもDXやデータの活用による新しい価値の創出を社会に提案していきます。一例として、NTTグループと浦安D-Rocksは、遺伝子情報等の科学的なデータを活用し、エビデンスに基づいたチーム強化や、選手の怪我の予防を支援する取り組みを行っています (※2)。
今後もスポーツに関わる先端技術の研究開発をチームを基盤として進めるとともに、様々なデータを複合的に活用してもらうことで、プロ、アマチュアを問わず、スポーツを取り巻くすべての人にとって価値のあるサービスの提供をめざした取り組みを共に進めていきます。
※1 NTTグループ中期経営戦略『New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN』
( https://group.ntt/jp/ir/mgt/managementstrategy/ )
※2 遺伝情報などを用いたスポーツ支援サービスの開発に関する共同研究を開始( https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/08/02/230802a.html )