2025.01.19NTTリーグワン2024-25 D1 第5節レポート(横浜E 47-21 相模原DB)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第5節(リーグ戦) カンファレンスA
2025年1月18日(土)14:10 ニッパツ三ツ沢球技場 (神奈川県)
横浜キヤノンイーグルス 47-21 三菱重工相模原ダイナボアーズ

開幕から走り続けてきた新鋭ウイングは、束の間の休息を経て、もっと高く飛ぶ

パリオリンピックではセブンズ日本代表キャプテンも務めた横浜キヤノンイーグルスの石田吉平選手

前半は相手にスコアを許さず、後半の立ち上がりに突き放した横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)が終始主導権を掌握。地力の差を見せつけた横浜Eが、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)との“神奈川ダービー”を47対21で制した。

昨年度王者・東芝ブレイブルーパス東京との開幕戦で初キャップを刻んだ“新鋭ウインガー”にようやく訪れるバイウィークという名の休息のとき。セブンズ(7人制ラグビー)日本代表のキャプテンとして、パリ五輪にも出場した石田吉平は、オープニングマッチからずっと走り続けてきた。

開幕からの連続先発出場を「5」に伸ばした石田は、今節もフレッシュなエネルギーをチームに注入する。前半33分には相手の左サイドからのアタックを単騎のナイスタックルで食い止めた。7対0の状況で仮にスコアへとつなげられていれば、試合展開が劇的に変わっていてもおかしくはなかった場面。石田の“ビッグプレー”直後、ジェシー・クリエルは体の小さな背番号14を優しく包み込み、ディフェンスのファインプレーを称えるかのように、石田の頭に口づけをした。

石田吉平選手のプレーを労うジェシー・クリエル選手

「ジェシーはすごいチームマン。ああいった仕草は自分の気持ちも上がるので、とてもありがたいですよね」(石田)

チームを救った石田に“ラグビーの神様”が微笑んだのか。直後の前半35分、横浜Eは右サイドのラインアウトから連続アタックを繰り出すと、最後は石田が相手を突き放すトライにつなげた。

「前半32分ぐらいまでは0対7で粘り強く戦っていた」(グレン・ディレーニー ヘッドコーチ)相模原DBに精神的ダメージを負わせた前半終了間際の加点。石田は後半開始直後のプレーでひざを痛め、大事を取った選手交代でグラウンドを退いたが、勝利を託された横浜Eフィフティーンは、3試合連続ボーナスポイント獲得での3連勝を達成した。今季初のバイウィークを前に石田は言った。

「体はけっこうキツくなってきたので、バイウィークはリフレッシュと体のケアにあてたいです」

一度羽を休めて、これまで以上に高く飛ぶ――。バイウィーク明けの石田から目が離せない。

(郡司聡)

横浜キヤノンイーグルス

横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(右)、梶村祐介キャプテン

横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督

「結果として5ポイントを取れましたし、自分たちの良い形もたくさん出た試合になりました。選手もコーチングスタッフもチームが1試合1試合成長しないといけないという危機感をもちながら準備をしています。ほかの会場では東芝ブレイブルーパス東京も負けていましたし、簡単な試合は一つもありません。バイウィークで良いリフレッシュをして、今後もチームが成長できるような試合をしていきたいです」

──開幕から5試合連続で先発出場している石田吉平選手のプレーはどう見えていますか。また後半の立ち上がりに交代しましたが、現状、分かる範囲での状態はいかがでしょうか。

「ウイングにはたとえば竹澤(正祥)、ビリー(ヴィリアメ・タカヤワ)、松井(千士)、ほかにもたくさんのウイングの選手がいますが、その中でプレシーズンのときから良いパフォーマンスを発揮していたことでずっと試合に出ている権利を勝ち取りました。サイズは小さいですが、ジャンプ力はありますし、世界を見ても、(チェスリン・)コルビや相手の(カートリー・)アレンゼなど、何か一つ飛び抜けているような才能があることはとても魅力的だと思います。今日のけがでの交代に関してですが、ロッカールームでは『全然大丈夫です』という話をしていました。『だったら痛がるなよ』と言いましたけどね(笑)」

──開幕2連敗からすべてボーナスポイントを取った上での3連勝と巻き返してきました。今後の交流戦に向けて、次に対戦するトヨタヴェルブリッツを含めて、カンファレンスBのチームに対しては、どんな印象をお持ちですか。

「カンファレンスに関係なく、どのチームも力がありますし、気が抜ける試合は一つもありません。先ほどカジ(梶村祐介)が話していたように、ディフェンスに関して選手たちに強調していることは態度の部分です。今日は態度の部分で前よりも、少しソフトな選択ではなく、タフな選択をできるようになってきた選手が増えています。そんな選手をどんどん増やしていきたいです」

──スクラムで優勢な状況を作れたことが勝利につながった印象です。

「今日は、スクラムはドミネート(相手を制圧する)すると1週間ずっと発破を掛けてきました。選手たちは良くやってくれました。自分たちがやろうとしているスクラムを組めれば、力はあると思うし、そういうメンバーがそろっています。特に1列目の選手は自信になったと思いますが、継続して、一貫性をもってやっていかなければいけません」

──相手に教え子の選手がいたことは意識されましたか。

「安ちゃん(安昌豪)と津嘉山(廉人)のことですか。二人ともプロップなので、そりゃドミネートしようとするでしょ。リスペクトを込めてドミネートしますよ」

横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン

「今日の試合は『キープ・ファイティング』というテーマを掲げて臨みました。前半の40分で自分たちのメッセージやエネルギーを相手に伝えることができました。ただラスト10分のように簡単にスコアを与えてしまうことはチームの課題ですし、自分たちの弱さでもあります。またこの試合から学んだことを次の試合につなげて良い準備をしていきたいです」

──ニッパツ三ツ沢球技場での神奈川ダービーは初めてでしたが、8,000人を超える観衆が詰め掛けました。試合の雰囲気をどう感じましたか。

「多くのファンの方々にお越しいただきありがとうございました。ダイナボアーズさんとの試合では毎回“ザ・神奈川ダービー”という雰囲気を選手たちは感じています。相手の応援団の声援の大きさを感じながら試合をできたなと感じています。昨季もそうでしたが、ダイナボーズさんとは毎試合、毎試合ハードな試合になりますが、今日の試合に関しては、自分たちの準備のほうが相手を上回ったと思っています」

──ディフェンスに関する言及がありましたが、試合に向けての準備では、ディフェンスの面を重点的に取り組んでこられたのでしょうか。

「選手の間ではやることをシンプルにすることや、何をやらなければいけないということを明確にしたことで、今日のような70分までの展開になったと思っています。特にディフェンスに重きを置いたということではありません」

──終盤に失点が重なった明確な原因として、何か思い当たることはありますか。

「自分たちのシステムとして、相手のボールキャリーに対して、しっかり二人で入って勢いを消して、さらにその次のフェーズでプレッシャーを掛けるという狙いが根本にあるので、そこを崩されたことが原因の一つです」

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、岩村昂太キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)さんに『勝利をおめでとう』とお伝えしたいと思います。良いプレーが多かったですから、勝者に値します」

──フォワード陣がかみ合っていなかったような印象です。

「ペナルティが多かったことは確かですが、フォワードのプレーには満足はしています。アタックもうまくいっていましたし、ディフェンスでもモールでもうまくいっていました。またスクラムでも、自分たちが良い形で入ったら良かったですし、そうではないときは崩れる場面もありましたが、面白い展開の試合はできました。試合に影響したのはセットピースでのペナルティです」

──速報値ではペナルティの数が20ありました。どのように改善していくのでしょうか。

「それだけペナルティがあると戦うのはかなり難しいと思います。ご指摘のとおりです。開始10分で10個ぐらいあったでしょう。ただ選手たちは32分ぐらいまでは0対7(実際には34分まで)でしたし、不利な状況でも粘り強く戦ったことを私は誇りに思います。あきらめずに最後まで戦い続けたことは成長の証です。われわれが20以上のペナルティに対して、相手は4つ、5つぐらいだったでしょうか。どのように修正するのかを考えなければなりません」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン

「ペナルティによって自分たちで苦しめてしまいました。レフリーを含めて、うまくコミュニケーションを取れなかったことは反省点です。ただ自分たちの形で敵陣に入ることができれば、トライにつなげられることを証明できました。それができたことはポジティブに捉えています」

──神奈川ダービーの雰囲気についてはどう感じていますか。

「お互いにホストエリアを神奈川県に置くダービーという中で、多くの方々にプレーする姿を見ていただけたことをうれしく思いますし、ファンの方々に勇気や活力を与えられる仕事をしたいと思って挑んでいます。東京で試合を開催するよりは、はるかに熱い応援がたくさん聞こえてきました。神奈川のファンの方々に温かい応援をしていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。神奈川県を代表して、しっかりとリーグワンで上位に入れるように、自分たちがやるべき仕事にフォーカスをして、残りのシーズンを戦っていきたいです。また横浜Eさんと切磋琢磨をして、頑張っていきたいです」

──ノーサイド後のハドルの時間が長かった印象です。どんな話をされたのでしょうか。

「たくさんのペナルティが重なっていることは、ハーフタイムでも話していました。自分たちがコントロールできないことに意識をもっていくと、自分たちのやるべき振る舞いが疎かになってしまうので、後半はコントロールできないことは意識せずに、自分たちが準備してきたことや自分の仕事を遂行し続けようと話しました。試合後にどんな感覚をもっているのか。そういったコミュニケーションを取りました。やるべきことができたときにはスコアにつなげることはできましたが、逆にスコアを取られてもいたので、ハドルではみんなのフィーリングを聞きながら話をしていました」

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