2025.01.20NTTリーグワン2024-25 D3 第4節レポート(中国RR 15-54 狭山RG)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第4節
2025年1月19日(日)13:00 維新みらいふスタジアム (山口県)
中国電力レッドレグリオンズ 15-54 狭山セコムラガッツ

初先発で味わった悔しさとつかんだ手ごたえ。若い力の萌芽がフッカー陣を突き上げる

初先発での出場だった中国電力レッドレグリオンズの若きフッカー、西濱悠太選手。今後に向けて「まずはラインアウトを修正する」と語った

中国電力レッドレグリオンズはディビジョン3第4節で狭山セコムラガッツに15対54の完敗を喫した。

リーグワン初先発を果たした西濱悠太は試合後に悔しさを滲ませた。大卒新人のフッカーは、今季の第2節に途中出場でデビューし、約10分のプレーでもスティール(ジャッカル)を決めて存在感を発揮した。前節は残り5分だったが、2試合連続で出場。3試合目の今節でスタメンの機会をつかんだ。

初先発に向けて、西濱が「一番気にしている」と話したのはラインアウトのスローだった。試合開始8分に迎えた最初のラインアウトは「練習の感覚を思い出しながら投げた」と思い切りいいスローができたが、19分の2本目に「相手のプレッシャーを受けて味方寄りになってしまった」と痛恨のノットストレート。「最初にミスしてやばいと思ってから負の連鎖に陥ってしまった」とそのあとのスローにも響いた。

西濱は「ラインアウトで僕がゲームを壊してしまった」と責任を口にしたが、ミスをカバーするように持ち味のタックルで貢献。「タックルにいっても抜かれることもはじかれることもなく、一発で倒すこともできたし、ラックにプレッシャーを掛けて球出しを遅くすることもできた。個人的には満足できるディフェンスができたと思う」と手ごたえもつかんだ。

後半の11分で途中交代となり、替わりに出たのは先輩の岩永健太郎。出場直後から安定したセットピースとパワフルなボールキャリーを見せつつ、モールから今季5トライ目も決めて確かなインパクトを残した。

「チームにエナジーを与える役割を果たせた」という岩永は、ベンチから見守った後輩のプレーについて、「持ち味のタックルとスクラムは良かったと思う。ラインアウトは修正できると思うし、スローは僕より球筋がいいので、あとは試合に順応して経験を積んでいけば大きな問題ではないと思う」と信頼を口にした。

西濱は岩永のプレーに、「尊敬する先輩なのでやっぱりすごいなと思って見ていた」と刺激を受けたが、ライバルでもあるからこそ、「とはいえ、負けていられないです」と力を込める。

フッカーはベテランの浅井佑輝と中堅の岩永の二人だけだったが、若手の加入で競争が激しくなってきた。岩永は、「自分も強みを生かしつつ、課題に取り組まないといけない」と気を引き締め、「仲がいいので切磋琢磨しながらやっていきたい。でもやっぱり先輩にも後輩にも負けられない」と意気込んだ。

先輩二人にポジション争いを挑む西濱は、「まずはラインアウトを修正する」と課題に向き合いつつ、「フィールド面では負けているとは思っていないので活躍する姿を見せたい」と強い負けん気を示した。

完敗を喫した試合にも出てくる芽はある。初先発で痛感したプレッシャーや悔しさを糧に、西濱がチームを下から突き上げていく。

(湊昂大)

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(右)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「まずは狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の皆さま、リーグ関係者の皆さま、ありがとうございました。今回はホストゲームとして、山口の素晴らしい、維新みらいふスタジアムで、本当にいい環境で試合ができたことを非常に感謝しています。試合の総括は、スコアどおりの完敗だったと思います。大事な局面で自分たちがミスをして、あとは狭山RGさんのいいプレッシャーでわれわれが勝負どころでうまくスコアできなかったところが敗因だと思います。今回は相手の強いキャリアーに対してワークレートでしっかり勝負していこうと話していて、前半にできている部分もありましたが、時間が経っていくにつれて足(体力)も削られていき、スコアが開いて大味な展開になってしまいました。そこでしっかり勝負できなかったのが今回の敗因だと思っています」

──敗因に挙げていた「要所でのミス」を減らすためにどう取り組んでいきますか。

「セットピースでのコミュニケーションやコネクトのところは、選手たちがちゃんとした判断でプレーを選択するところまでは良かったと思いますが、そこでの連係ミスがあったので、ディテールの部分をあらためて詰めていかないといけないと思います。もちろん相手のあることなので、プレッシャーも受けますし、状況も変わってくると思いますが、それに対してゲーム中に対応していくところは、まだ伸ばしていかないといけないなと思いました。本当に狭山RGさんのプレッシャーが非常に強い部分があったので、それに対して受けて立つというよりは、自分たちから先手を取っていく部分が次に戦うときに大切な部分になると思います」

──後半の序盤に盛り返しましたが、ハーフタイムにどんなコミュニケーションを取って臨みましたか。

「20点差だったので後半の入りでスコアできれば、まだ十分にゲームを組み立てられる点差だと思っていましたが、トライ後のリスタートのところでミスがあり、先ほど言った要所でのミスにつながるところですが、絶対に逃してはいけないところで取りこぼすところがあったと思います。ただ、(後半は)しっかり先にスコアを取りに行こうという話をして、最初にトライを取れたのは良かったと思います」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「まずは狭山RGのみなさん、リーグ関係者のみなさん、本日はありがとうございました。総括はスコアどおりにやられたな、完敗だなというのが率直な感想です。要所での自分たちのミスやエリア取りのところでもったいない場面がいま振り返るだけでもすごくあったので、そこで相手を流れに乗せてしまったなと思います。ただ、やろうとしているディフェンスや、今回の試合で掲げていたフォワードのブレイクダウン周りの密集でのリロード、タックルして素早く立ってディフェンスの枚数をそろえようという話をしていて、そのテーマに対しては概ねできていたところもあったと思います。ただ、後半の途中からずっと相手ボールで攻められ続けると、足(体力)も削られて最後は力尽きたという形になってしまいました。次節に向けては中盤の戦い方やマイボールの精度を上げていくところが課題だと思います。引き続きディフェンスにフォーカスしながら準備していきたいと思います」

──敗因に挙げていた「要所でのミス」を減らすためにどう取り組んでいきますか。

「前節でけが人がたくさん出てメンバーがけっこう変わったところもあり、1週間で準備はしてきたんですけど、まだ細かなところが合ってなかったのかなとは思います。でも、それもチーム力ですし、誰が出てもいいクオリティーでゲームするのがチームの力なので、もう練習するしかないと思います」

──後半の序盤に盛り返しましたが、ハーフタイムにどんなコミュニケーションを取って臨みましたか。

「前半はショット(ペナルティゴール)で点差を詰めたかったのですが、珍しく入らなかったので点差が開いたところもあったと思います。後半はアタックマインドをもって、こっちが先にトライを取りに行こうと話はしていて、それは遂行できましたが、そこから流れに乗れなかったのが敗因の一つだと思います」

狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、飯田光紀キャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「山口に来る前から中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)のラグビーのやり方は分かっていました。すごく激しいプレーを最後までやりとおすチームなので、今週はメンタルと規律のところがポイントでした。ハーフタイムで『まだゲームは終わってないから、後半最初の10分がすごく大事だ』と話していましたが、その10分間でエラーが多過ぎたと思います。でも、今季の試合の中では、今日がベストパフォーマンスだったと思います。もちろん現状としてエラーがありましたが、全体的に悪くないと思いました。このチームはこのレベルで戦うのが久しぶりなので、だんだんメンタルは強くなっていると思いますし、重要なのはこれからパフォーマンスのレベルを下げないことだと思います」

──マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)に惜しくも負けたあと、2試合連続で大勝しました。またいい流れができていると思いますが、この2連勝をどう捉えていますか。

「2連勝しましたが、モメンタムが大事だと思います。このチームは若いので、自信をもってできればいい感じにプレーできると思います。もちろん今日も完璧ではなかったですし、これまでの試合の結果だけ見ると勝ちが多いですが、どれもギリギリの試合だったと思います。私たちがフォーカスしないといけないのは試合のメンタルパフォーマンスのところで、(試合の中で)いいプレーはできるけど、それを80分間キープできていません。SA広島との試合は最初の十数分で19失点して全然切り替えられませんでした。そのあとはパフォーマンスが良くなりましたが、その状態でスタートできないといけません。前節のルリーロ福岡(以下、LR福岡)戦は前半で45得点しましたが、後半は13得点でした。ディビジョン1に上がりたいなら、体のコントロールはもちろんですが、メンタルの強みが必要です。トップのチームはメンタルの強みが違うので、例えばD2のチームもレベルは高いですが、D1に昇格したらシンプルなエラー一つで相手のトライにつながってしまいます。ラグビーは40年前からメンタルパフォーマンスが一番大事なことは変わっていません。それから規律のところも必要で、この二つにフォーカスできるのであれば、D2に昇格できるチャンスはあると思います」

狭山セコムラガッツ
飯田光紀キャプテン

「まずはリーワンの関係者の方々のみなさん、グラウンドを貸していただいた方々、運営者の方々、本当にありがとうございました。今日の試合は中国RRさんが激しく前に出てくるラグビーをしてきて、前半の最初のほうはディフェンスのところで突破されてしまう場面がありましたが、しっかり立て直してコネクションし続けて、アタックもディフェンスもしっかり前に出たことで、相手を止めることができ、結果として勝てたと思います。ただ、まだ課題が残る試合だったと思うので、次に向けて修正していきたいと思います」

──SA広島に惜しくも負けたあと、2試合連続で大勝しました。またいい流れができていると思いますが、この2連勝をどう捉えていますか。

「SA広島戦はこっちが受け手になってしまって負けてしまいましたが、そこから学ぶこともあったので、そこから練習で負けた原因を突き詰めてやってこれました。(前節の相手)LR福岡さんと中国RRさんにこのような形で勝てたので、すごくうれしいですが、まだ試合が続く中で直していかないといけないところもあるので、また次に向けてしっかり準備していきたいと思います」

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧