2025.01.20NTTリーグワン2024-25 D3 第4節レポート(SA広島 45-13 L戸田)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第4節
2025年1月19日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 45-13 ヤクルトレビンズ戸田

家の距離は歩いて5分。勝利への道筋を描く、特別な絆を持つ幼なじみのルーキー

写真中央が9番の福山太陽選手、10番が嘉納一千選手

大阪で生まれ育った幼なじみの二人が、今シーズンからマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)で9番10番のコンビを組んで躍動している。

9番の福山太陽と10番の嘉納一千は、互いの家が歩いて5分くらいの距離に生まれて同じ小学校と中学校に通い、嘉納が小学生のころから始めていたラグビーを福山が中学生になって始めると、昼夜をとおして時を過ごす間柄となった。

「太陽は明るくて、いい意味でアホです」と嘉納が笑えば、「一千もいつも明るくて、気さくで誰とでも仲良くなれるヤツです」と福山も笑みを浮かべる。二人とも明るくてどこか似た雰囲気を感じるのは、強い絆でつながっているからだろう。

高校から別々になっても地元に帰った際は絶対に一緒に遊ぶ仲間だったという二人は、大学まで目いっぱいラグビーに打ち込んだ。そして、卒業が迫ってきたときにつながり合った。

福山は少し前の記憶をたどってくれた。

「僕は大学を卒業したあとにどうしてもリーグワンでプレーしたくて、いろいろなチームに自分の動画を送っていたら、SA広島からいい評価をいただいたんです。それでSA広島に入ることが決まったとき、一千はまだチームが決まっていなかったので『一緒に行こうや』って誘ったんですよ」

嘉納は、福山の存在がSA広島に入団する決め手になったと言う。

「いろいろ迷っていたときに、太陽が先にSA広島に決まって声を掛けてくれた。その時『また一緒にやりたい!』と思ったんです。ここに来ることを決めたのは太陽の存在が大きかったです」

同じチームでプレーできることを喜ぶ二人は、通じ合ったプレーを見せてチームの重要な戦力になっている。

嘉納がその特別な関係性を語る。「常に太陽には『僕の声を第一優先に聞いてくれ』と言っているんです。『僕の声が聞こえたときは常にチャンスだから絶対に僕にボールをくれ』と中学のときから言ってきたし、太陽は絶対に僕の声に反応してくれるんです」。それはSA広島の試合でも随所に見られ、4連勝を果たした第4節のヤクルトレビンズ戸田戦でも見事な連係を見せ、前半36分に勝利をグッと手繰り寄せる﨑口銀二朗のトライを演出してみせた。

そのトライのシーンを福山に振り返ってもらうと、とても充実した表情で語った。

「あのときは一千が呼んでいたんで、一千のことしか見ていなかったです。阿吽の呼吸みたいものが見せられたかなと思いますし、これからも一千と二人でチームに貢献していけたらなと思っています」

幼なじみの二人がSA広島で一緒に紡ぎ始めたストーリーは、これからどんな展開になっていくのか。楽しみでならない。

(寺田弘幸)

マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(右)、芦田朋輝キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「チームは45得点して勝利したことに満足だと思いますが、今日は規律とスキルの部分で足りない部分があったと思います。
練習して細かいところをしっかりやって、オフェンスでトライを決めようとか言うことではなくて、シンプルなプレーをしていきたいです」

──ヘッドコーチもキャプテンも反省点を口にされていましたが、良かったところはどういうところでしたか?

「良いところもありましたけど、そんなにないという感じです。いくつかのトライも決めていましたが、それよりも課題に集中しないといけないと思っています」

マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン

「本日はありがとうございました。まず一つ目に、勝てたことは本当に良かったと思っています。ただ、先ほどダミアン(ヘッドコーチ)からもあったように、本当に細かい部分にこだわっていこうというのが今回ゲームのテーマでしたが、立ち上がり15分から20分のところで、まだまだ課題があるというところが今回の試合の総括になると思います。

後半の入りから得点を重ねることができたんですが、やっぱりそこでも細かいミスが多くありました。45点を取れたことは本当に良かったのですが、もう少し自分たちのスキルを見直す必要があると思います」

──ヘッドコーチもキャプテンも反省点を口にされていましたが、良かったところはどういうところでしたか?

「一つはスクラムのところで多くペナルティを取ることができたところが良かったと思います。ラインアウトでもサインプレーをいくつか成功させることはできました。ただ、やはり今回の試合は良かった点よりも課題を見つめ直すことが必要だと思っています」

──9番と10番のハーフ団の選手が良いプレーをしていたと思いますが、いかがでしょうか。

「9番と10番は(昨年加入した)新人の選手なんですが、すごくアグレッシブにプレーしてくれるし、ゲームコントロールもしてくれています。キャプテンとしても本当に助かっています。バックスとフォワードの選手のコネクションの部分を強化していけばさらに良いチームになれると思っているので、そこをやっていきたいと思っています」

ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(左)、多田潤平 共同キャプテン

ヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ

「まずは、このような素晴らしい会場を設営いただきましたマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)のみなさん、ありがとうございました。また、多くの観客の皆さまにもご観戦いただきまして、本当にありがとうございました。

試合に関しては、相手は今シーズン一番の強敵であると認識していて、われわれも何とか勝ちにつながるように、前半の最初からコンタクトエリア(でのプレーに注意し)、またハードワークし続けるところをテーマにやってきましたが、要所でコンタクトエリアでのゲインを許したことでわれわれがディフェンスをし続けないといけない状況につながってしまって、この点差になってしまったと感じています」

──SA広島は連勝を続けています。次回までにどういうところを強化して臨んでいきたいですか?

「やはり敵陣で戦っていきたいと感じていますし、その中でもセットピースとわれわれアタックのところでミスをしないで継続していくというところを改善できないと勝ちにはつながらないと思っています。今日の結果をしっかり受け止めて、自分たちに矢印を向けて次戦に臨みたいというふうに感じています」

ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン

「SA広島の関係者の皆さま、このような会場を準備していただきましてありがとうございました。また多くのグループの社員に来ていただいて、広島でも応援をいただきまして、非常にうれしく思っております。

試合に関しては、やはりフォワードを中心とした近場のタイトなところで力負けしてしまった部分があったので、そういったところが最終的な結果につながったかなと思っております。ただ、自分たちがやりたかったことである、相手陣で自分たちのセットピースからアタックをしてトライにつなげるところは前半で体現できたかなと思っていいます。まだシーズンの序盤ですので、そういったところをもう一度フォーカスしてしっかりと見直して次につなげる試合にしたいなというふうに思っています」

──SA広島は連勝を続けています。次回の対戦までにどういうところを強化したいですか?

「相手の外国人選手の強いキャリアーに対して、しっかりとタックルをしてオフロードパスをさせない、またゲインラインを取らせないというところを選手の中で話していました。そういったところを体現できる場面もあったんですが、やっぱりそこで崩されてしまったところもあったので、もう一度そこをしっかり自分たちが狙って、良いディフェンスをできるようにやっていきたいと思います」


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