2025.04.21NTTリーグワン2024-25 D3 第13節レポート(SA広島 48-3 L戸田)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第13節
2025年4月20日(日)14:00 維新みらいふスタジアム (山口県)
マツダスカイアクティブズ広島 48-3 ヤクルトレビンズ戸田

「振り返るな。時代は変わる」。“白ひげ”のような「生き様」で、このまま昇格を

マツダスカイアクティブズ広島のフッカー、武田知大選手。「当時はチームとしてどういうアタックをするのかが明確にできていなくて個人で戦っているような感覚でした」

マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)は8トライを奪う猛攻を見せ、ヤクルトレビンズ戸田に1トライも許さない堅守も披露。48対3の完勝で今季の2位以上を確定させ、D2/D3入替戦出場を決めた。

2019年にSA広島(当時・マツダブルーズーマーズ)に加入した武田は2022シーズンのD2/D3入替戦、そして、降格も経験している。

「あのときは地力の差も感じました。当時はチームとしてどういうアタックをするのかが明確にできていなくて個人で戦っているような感覚でしたし、個人で組織に向かっていっているから負けて当然だった」

ディビジョン3降格後は一昨季、昨季と4位。昇格に絡めないシーズンが続いたが、今季は堂々の首位を走る。武田もチームの成長を感じ取っている。

「ストラクチャーを構築できたことで一人ひとりの役割がはっきりして、何をすべきなのかを理解できるようになりました。それによって責任が生まれて、みんなが自分の役割に対して努力できるようになったと思います。今までになかったような習慣ができ始めました。そこはチームが変わったきっかけだと思います」

そんな武田には尊敬する人がいる。その人物とはエドワード・ニューゲート。実在の人物ではない。人気漫画『ONE PIECE』に登場するキャラクター、通称“白ひげ”だ。

「生き様が好きなんです。海賊なのに自分の財や名誉よりも仲間を守りたい気持ちが強くて、仲間のことを“家族”と呼ぶ。仲間のことを一番大事にしている姿も好きだし、懐が大きいというか考え方も寛大なところに憧れます」

敵に騙された部下に自分の胸を剣で貫かれても許した“白ひげ”の姿は武田にとって寛大さの象徴だという。そして、その姿はラグビー選手としての自分の生き様にも反映されている。

「ラグビーはボールの周辺が一番、キツいところ。そこに頭から突っ込んでいく。大きい選手が来ても自分からタックルする。そこで自分のラグビー選手としての生き様を見せたいし、ビビりたくない。ラグビーは一度、やられたとしてもまたやり返せるし、負けている人がいても助けられる。“白ひげ”の姿を見て、自分としてはそういう感覚でいます」

“白ひげ”の有名なセリフの一つに「振り返るな。時代は変わる」というものがある。入替戦での降格という経験から3年。もうあのときのSA広島はいない。確かな成長を遂げたSA広島は時代を変えるための扉についに手を掛けた。

(杉山文宣)

マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(右)、芦田朋輝キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「今日はこの雨の中ですごくタフなゲームになることは分かっていましたし、実際にそのとおりのゲームになりましたが、勝利をつかむことができました。今週はセットピースについて集中して取り組んできました。ラインアウトに関してはうまくいったと思いますが、スクラムに関してはまだ修正すべき点がいくつか見られました。そこについては来週の試合に向けて、考えていきたいと思います」

──この勝利でD2/D3入替戦出場となる2位以内が確定しました。受け止めをお願いします。

「入替戦のことはもちろん考えなければいけないんですが、まず考えているのは目の前の試合のことです。昨日、ルリーロ福岡がクリタウォーターガッシュ昭島に勝ったことで2位以内のチームが2つ決まりました。それでも、目の前の試合に集中していきたいと思っています」

──トライを取っていない金丸勇人選手がプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(以下、POTM)に選ばれました。評価を教えてください。

「トライを決めなくてもPOTMに選ばれることはあると思います。チームとしてもレビューする中で賞を与えています。そのときにアタック、ディフェンスで体を張った選手に賞を与えることもあります。今日の彼は後半、ディフェンスの部分が素晴らしかったと思います。帰ってからこの試合をしっかりレビューして、またしっかりと評価したいと思います」

マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン

「直近2試合でセットピースがうまくいっていなかったので、今回の試合はセットピースにフォーカスして準備してきました。今回は雨の中の試合というところで、フォワードでプレッシャーを掛けられたことが結果につながったと思います」

──この勝利でD2/D3入替戦出場となる2位以内が確定しました。受け止めをお願いします。

「入替戦出場が決まったことは素直にうれしく思っています。ただ、ヘッドコーチも言われたように残りの2試合、一つひとつの試合をしっかりと見据えて戦っていくことが大事だと思います。その結果が入替戦にもつながっていくと思いますので、集中して自分たちのチーム力を高めていきたいと思います」

ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(左)、多田潤平 共同キャプテン

ヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ

「本日は素晴らしいスタジアムで試合ができたことについて、運営に携わっていただいた方々、本当にありがとうございました。

試合に関しては、先週の試合ではスコアを広げられての敗戦ということでいかに修正するか、チームとしてどう立て直すのかというところを取り組んできました。マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)さんの強いフォワードに対して、どこまでチャレンジできるかというところをやってきたんですが、そこで相手に食い込まれてジリジリと離されてしまったことがこの点差になったかなと思っております」

──SA広島さんには今季、3戦3敗という結果に終わりました。首位を走るチームですが、差についてはどのあたりに感じていますか。

「コンタクトエリアにプラスして精度の部分というところかなと思います。準備したプレーがうまくいったところもありますが、相手にスコアされたことを考えると、(準備したものの)一つ上を行かれてしまったと思っています」

──まだ順位を一つ上げるチャンスもあります。残り2試合に向けての意気込みを聞かせてください。

「目の前の試合を一つずつ戦って、勝利につなげることが大事だと思います。その結果として4位を狙える位置にいますので、チームとして(リーグワン参入の)初年度を4位で終えるというのは悪い順位ではないと思います。ファンのみなさんのためにも、自分たちのためにもそこは狙っていきたいと思っています」

ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン

「まずはスタッフの皆さま、グラウンドの運営、管理の皆さま、ありがとうございました。本当に良いグラウンド環境でプレーしやすかったなと思っています。

試合に関しては自分たちが準備してきたプレーをいくつか出せたところはあるんですが、やっぱり接点が重なる中でジリジリとSA広島さんの圧力に負けてしまって、ディフェンスもアタックも厳しい場面が続いてしまったかなと思っています。(今季)2連敗している相手だったので、選手もかなり気持ちを入れて臨んだんですが、その一つ上を行かれてしまったと思っています。また、次に向けて頑張りたいと思います」

──SA広島には今季、3戦3敗という結果に終わりました。首位を走るチームですが、差についてはどのあたりに感じていますか。

「私も(ヘッドコーチと)同じく、アタックの精度。相手が準備してきたプレーに対して、こちらも理解した上で対策もしているんですが、一つひとつのコンタクトやパスの精度でラインブレイクされてしまう場面がありました。そこはやはり、SA広島さんの強さかなと思っています」

──まだ順位を一つ上げるチャンスもあります。残り2試合に向けての意気込みを聞かせてください。

「完全に自分たちのラグビーを出し切れたかというとそうではないので、(残り試合で)自分たちのラグビーをしっかりと表現したいと思っています。リーグワンに参入した初年度でファンのみなさんに自分たちのスタイルを見せて勝つ。そこはやっていきたいと思っています」

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