NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第4節
2025年1月25日(土)13:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 30-33 花園近鉄ライナーズ
痛恨の逆転負けの中にも確かな手ごたえ。学びを生かし、次節での2勝目を誓う
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目前に迫っていた、リーグワンのレギュラーシーズンではクラブ初となる2連勝。しかし、歓喜の瞬間は最終盤にその手元からするりとこぼれ落ちてしまった。
花園近鉄ライナーズに先制トライを許した日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)だったが、すぐさま反撃に出ると、前半終盤にペナルティゴールで逆転。後半も先手を取り、残り5分の時点までリードを維持していた。ところが、最後の最後に規律が乱れたところから失点し、30対33の逆転負けを喫した。
後半36分、決勝トライを許すきっかけとなったペナルティを須田康夫ヘッドコーチは「“逃げ”の規律の乱れ」と厳しい言葉で表現し、改善の必要性を説いた。それでも、試合全体としては「非常にいい内容」と評価。チームとしてはもちろん、サム・ヘンウッドのゲイン、ヘルダス・ファンデルヴォルトの自陣からのペナルティゴールなど、選手個々の好プレーも続出した。
中でも2トライを挙げるなど、試合を通じて攻守に高い貢献度を見せたのが河野良太だ。
「コンディションはすごくいい」と調子の良さを実感している河野は、昨季はプレータイムをつかみ取れずに悔しい思いをしたが、課題とされているタックルの精度を向上させ、今季はここまで全試合にスタメンでプレー。磨きをかけたタックルや力強いゲインなど、要所で存在感を放ち続けている。
「今日は残り10分のところまではいいゲームを展開できました。例えばディフェンスで3フェーズは我慢することや、チョップタックルに入ったあとの周りのリアクションなど、“3回連続のポジティブアクション”をチームとしてポイントに挙げて臨んだ試合でしたが、そのあたりもできていたと思います。ただ最後、いくつかのエラーが出るなど、詰めの甘さから勝利を逃すことになったので、これを学びとして次の試合に生かしていきたいです」
惜しくも接戦を落とし2勝目は逃したが、今季一番とも言える試合を見せた釜石SW。ハイパフォーマンスを続けるクラブキャプテンの河野も確かな手ごたえを胸に、1週間後の日野レッドドルフィンズ戦での2勝目に照準を絞っている。
(髙橋拓磨)
日本製鉄釜石シーウェイブス
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日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ
「いわきでのホストゲーム、たくさんのファンの方に来ていただいてうれしく思っています。ゲームの内容としましては、ミスはありましたがわれわれとしては非常にいい内容だったと思います。ただ、重要な局面でのプレッシャー負けであったり、エラーであったり、それからメンバーを入れ替えたときの質というところは改善が必要なところだと思います。そこがしっかりできれば勝ち切れるチームになれると思います」
──今日の試合でポイントとしていた部分はどんなところですか?
「自分たちでモメンタム(勢い)を出すために、3回のポジティブアクションを続けるということを設定していました。そこはこだわりをもってやることができたかなと思います」
──終盤の失点での逆転負けとなりましたが、このわずかな差はどういった部分から生まれたと捉えていますか?
「先ほどお話しした、重要な場面でのエラーはありましたが、エラーしただけでは(スコア的には)イーブンの状態です。そこからネガティブなプレーを重ねてしまったところだと思います」
──今季は規律の部分で劣勢になる試合も多かった中、今日の試合ではその部分はどう評価されますか?
「前半は確かに規律(が乱れる)のところもありましたが、やり合いの中で仕方ない部分もあったと思います。ただ、最後の(失点につながった)ペナルティのところに関しては、あきらめたというか、“逃げ”の規律の乱れだったので、そこは逃げるのではなく、『勝負強いチームにならなければ』と感じました」
──前節は落和史選手がフルバックとして交代出場し、今節は同じポジションで先発しました。この意図を聞かせてください。
「スキルセットが非常に高い選手ですので、アタックのオプションを持てますし、スコアをする上でバックスのプレーヤーとしていいパフォーマンスを見せてくれました。特にキックですね。非常に精度の高いプレーを見せてくれたと思います」
日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン
「今週の花園近鉄ライナーズ戦に向けていい準備ができていたので、勝ち切れなかったことはすごく悔しいですけど、相手の(ボールを)回すアタックに対してディフェンスではすごく対応できていたのでそこはポジティブに捉えています。(今季は)これまでディフェンスが後手に回る試合が多かったので、そこは修正して臨めた試合だったかなと思います。ただ、須田ヘッドコーチからもあったとおり、重要な局面でのエラーやチームとしてのほころびが出て勝ち切れないところ。そこがシーウェイブスの課題だと思うので、修正して次の日野レッドドルフィンズ戦に臨めたらと思います」
──今日の試合を次節にどう生かしていきたいですか。
「今日の試合はラスト20分、ゲームクロージングのところ、勝ちが見えたところで気の緩みのようなものがペナルティにつながってしまったと思っているので、普段の練習から声を掛け合っていますが、もう一度、規律という部分を意識することでしか改善できないと思います。リーダーが先頭に立ってチームにアプローチしていくところをキャプテンとしてやっていければと思っています」
花園近鉄ライナーズ
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花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。非常にいいグラウンドでプレーさせていただきました。本当に勝利を願って(試合に)臨みました。勝ったことはうれしく思っていますが、まだまだ改善の余地があるゲームで、守勢に回ると守り切れないという部分が修正ポイントかなと思います。流れをつかんだときには非常にいいトライをしていましたが、まだまだ自分たちで今季のスローガンである『All Attack』のところまではいけていないと思います。それを目指してまた一試合一試合チャレンジしていきたいと思います。今日のゲームは勝てたということで一瞬ですが、喜びたいと思っています」
──勝利したものの、満足できていないというお話がありましたが、どんなところに課題を感じていますか。
「今週の試合では、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんのキーマンがアタックしてくることは分かっていましたので、ラインスピードを上げて、ディフェンスをしっかりしようということでやってきました。最初のうちはそこができていましたが、マークがずれて押し込まれるところもありましたので、レベルが上がったディビジョン2の上のチーム相手にはそれをやり続けないと得点も取られてしまう。そういう意味ではディフェンスのところ(が課題)。あとはラインアウトのここ一番というところでミスが出てしまうところは不満かなと思います」
──前節終了後、「試合中盤以降の規律に課題がある」というお話をされていましたが、今節の戦いぶりはどのように映りましたか?
「まだ甘いところがあったり、規律を維持しなければいけなかったりする場面はありますが、外側(ベンチ)からそういう声が出るのではなく、チームの中から『規律を(維持しよう)』という声が出て、それを試合中に修正できないと(難しい)。ペナルティというものはレフリーが判断するものでもありますし、そのあたりを練習から改善できるようにということで練習はしていますが、次のゲームは、よりレベルアップして臨めればと思います」
花園近鉄ライナーズ
河村謙尚バイスキャプテン
「まずは『この一戦に懸けて、勝利しよう』と話していたので、勝つことができてうれしい気持ちはあります。でも、まだまだチームが完成し切れていない場面も多くて、釜石SWさんのプレッシャーに負けてしまう部分もあったので、そこは修正しなければいけないと思いますし、まだまだやらなければならないことはあると思います」
──勝利したものの、満足できていないというお話がありましたが、どんなところに課題を感じていますか?
「まず自分たちがやってきたことを出すところに関しては、いい時間帯もあったんですけど、崩れてしまうとプレッシャーを受ける時間帯が多くなっていましたし、そういう部分ではやるべきことをやり切る一貫性が足りていないと試合中に思ったので、そこを突き詰めてやっていきたいと思います」