2025.02.02NTTリーグワン2024-25 D1 第6節レポート(相模原DB 12-40 S東京ベイ)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2025年2月1日(土)14:30 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 12-40 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

相模原DBが直面する課題。成長のために、基本に立ち返る

「15人がしっかり一貫性をもったプレーができるかどうかがチームの勝利にかかわってくる」と語る、鶴谷昌隆バイスキャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)とクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)の一戦は、S東京ベイが昨季の借りをきっちりと返す結果となった。

S東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチが「今季に入ってからのベストな80分間だった」と振り返ったように、S東京ベイが序盤から得点を重ねて試合をコントロールした。

相模原DBは昨季の対戦同様、「ボールインプレーを増やして、自分たちのラグビーをやっていこうというプラン」(鶴谷昌隆)だったが、ペナルティを重ねて多くの時間でS東京ベイにボールポゼッションを許し、アタックが単発に終わった。

安昌豪が試合前日に負傷離脱するなど、複数人のフロントローをけがで欠く中での、リーグ屈指の強力なフォワード陣を擁するS東京ベイとの対戦。それでも前半は、22mゾーンでのギリギリの攻防をしのいで得点機会をつぶしていったが、後半は途中出場のマルコム・マークスら、S東京ベイのインパクトプレーヤーの加勢に耐え切ることはできなかった。

相模原DBのグレン・ディレーニー ヘッドコーチは「相手が60%もボールを持っていると、かなりディフェンスの量があるので、すべてを止めることができないところがあります」と苦戦の要因になった数字を示す。

ノックフォワードといった軽度のペナルティが相模原DBにとって命取りになった。鶴谷はこう振り返る。

「自分たちのミスで、そこからのスクラム、セットピースでまたミスが続いてそこからゴール前に運ばれてトライ、という形が続きました。ラグビーは15人で戦うスポーツで、一人ひとりの波がチームの波になってきます」と、クリアな視点でチームの課題を付け加える。

「15人がしっかり一貫性をもったプレーができるかどうかがチームの勝利にかかわってくると思います。それをしっかり月曜日から試合までの間に準備できるかどうか、メンタルを整えることができるかどうか、それがいまは課題になっています」

相模原DBは壁にぶつかれば基本に立ち返る。何度でも。それが成長を促すチームのDNAだ。

(宮本隆介)


三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、鶴谷昌隆バイスキャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「スピアーズさん、おめでとうございます。パワーのあるチームで、われわれが40%しかボールを持っていなかったので、苦労する試合ではありました。スピアーズさんはいいプレーをしていて、われわれのゲームプランとして、セットピースから離れることをしようとしていたのですが、40%のポゼッションしかもっていなかったので、やりたいことがまったくできませんでした」

──新加入のルイス・チェッサム選手の評価や印象を教えてください。

「まずは身長がすごく高い。どんなにいいコーチであっても身長を高くすることはできないので、そこは強みのところです。イングランドU20代表でもあったので、日本で経験を積むことは、彼にとってもいいことですし、われわれにもしっかり貢献できると思うので、すごく楽しみにしています」

──お兄さんのオリー・チェッサムを見ると、もっと大きくなるように思われますが、いかがでしょうか。

「お兄さんも今週、イングランド代表のベンチメンバーになったと思います。(ルイスは)この身長があるから、まだ細目で体重120kgでも、まだまだ大きくはなると思います。

全体的にウォルト・スティーンカンプとリンディ真ダニエル、エピネリ・ウルイヴァイティを中心に、ラインアウトアタックもディフェンスもすごくうまくいっていると思っています。モールも機能していて、相手のモールをうまく止められたところもあったと思います。一番の問題はモールの数が多くて、その原因は、スクラムからのペナルティで22mラインに相手が入れたことです。そんなにチャンスを与えると、すべてを止めることはできないと思うので、そこが自分たちの弱点ではあったと思います。いまスクラムのところで、安昌豪、津嘉山廉人、蜂谷元紹がけがで出られていなくて、すごく厳しいですが、いい学びがあると思いますので、そこから次にどう進むのかが大事になってくると思います」

──グレン・ディレーニーさんがヘッドコーチになり、段階的に新しいコーチが加わったことも含めて、積み上げをしてきていると思いますが、今季に関して、ゲームでの遂行力がもしうまくいっていないようなところがあるとしたら、どんなところですか。

「まずはけが人がいて、一貫性をもったセレクションが毎週できていないところがあるので、そこは毎週同じコンビネーションを作りたいというのが一つあります。一番課題になっているのがスクラムのところだと思います。スクラムが強いチームはこのリーグにいくつもいますが、うまく対応できていないところがあります。それ以外はうまくいっていると思いますが、そこを修正しないといけないと思います。ラインアウトの成功率は、昨シーズンは70%台でしたが、今シーズンは90%台なので、そこはポジティブなところだと思います。今日もボールを持てたときはトライにもっていくことができたところがあるので、それをやり続けることが大事だと思います。ディフェンスのところも、コンタクトの入りのところは全体的に満足していましたけれど、相手が60%もボールを持っていると、かなりディフェンスの量があるので、すべてを止めることができないところがあります。そこが五分五分に戻ると勢いも変わるかなと思います。どの試合でも学べるところがたくさんあると思うので、今日もポジティブなところがあったと思いますし、来週に向けてそれを修正しながら戦っていきたいと思います」

──バイウィーク中、チームでどんなコミュニケーションや過ごし方をしてきましたか。

「バイウィークの前は、プレシーズンの最後とリーグ戦最初の5試合で11週連続仕事をしていました。リハビリ中の選手をバイウィークでできるだけ多く戻すというところを一つフォーカスしていました。スクラムやペナルティのところでも話をしましたが、相手もそこが強みのときになかなかそこを遂行できなかったところもありました。けが人もいて、いろいろ自分たちがやらないといけないところがありますが、今日はそれを結果に変えることができなかっただけです」

──マット・ヴァエガ選手、べン・ポルトリッジ選手など選手が少しずつ戻っていることはポジティブに捉えていますか。

「マットが戻ってこられたことはすごく大きいことだと思います。バイウィークでは小泉怜史やチャーリー・ローレンスも毎週体を張って頑張ってくれていたので、そこのリフレッシュも大事です。カートリー・アレンゼもオータムテストシリーズからずっと試合に出続けているので、試合からいったん離れることは大事だと思います。タウモハパイ ホネティ選手もそろそろ戻ってこられると思うので、そうやって人が戻ってくることは、選べる人が増えてすごくありがたいです」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
鶴谷昌隆バイスキャプテン

「(グレン・ディレーニー)ヘッドコーチが話したとおりで、ボールインプレーを増やして、自分たちのラグビーをやっていこうというプランでしたが、自分たちのミスで、そこからのスクラム、セットピースでまたミスが続いて、そこからゴール前に運ばれてトライという形が続いたというのは自分たちの課題であると思います。プランをしっかり遂行できるように、一人ひとりがしっかりそのプランを意識して、理解して、試合に臨めるよう改善して次に取り組みたいと思います」

──クボタスピアーズ船橋・東京ベイはもともとフォワードがプレッシャーを掛けてくるチームなので、セットピースもブレイクダウンもかなり厳しい試合だったと思います。実際、選手としてプレーしてどうでしたか。

「分析でもセットピースの強さや一人ひとりのフィジカルの部分は、リーグワンのディビジョン1でもトップの選手が多いという話は出ていたので、そこに関しては、フィジカルバトルをしっかり勝っていこうという話はありましたが、80分をとおしてそれができたかというと、たぶん今日はできなかったかなというところです。一つひとつのプレーにもっと集中して、一つひとつ勝っていけるように、次もしっかり取り組んでいきたいと思います」

──ディレーニーさんがヘッドコーチになり、段階的に新しいコーチが加わったことも含めて、積み上げをしてきていると思いますが、今季に関して、ゲームでの遂行力がもしうまくいっていないようなところがあるとしたら、どんなところですか。

「コーチ陣はすごくいい分析をしていますし、いいプランもあるので、それに対する一貫性は、選手がしっかり遂行できるかできないかという部分だと思います。ただグラウンドで一貫性をもったプレーをするだけではなくて、グラウンド外でも一貫性をもった生活がしっかりとできているかも関わってくると思うので、クラブハウスやグラウンドにいるときだけ意識するのではなくて、自分の生活や1週間の準備でも一貫性をもった準備ができているかというところは選手一人ひとりが自分のことを見つめ直さなければいけないところかなと思います」

──バイウィーク中、チームでどんなコミュニケーションやどんな過ごし方をしてきましたか。

「バイウィークの位置付けとしては、ラグビーから一回離れてしっかり体と心をリフレッシュするという部分も必要なので、そこにもコミットして、リフレッシュしてきたとは思うのですが、バイウィークからラグビーに戻ったときに、スイッチのオン・オフをしっかりできるかどうかというのがすごく大事だと思っています。そこの部分で、チーム全体として一人ひとりに個人差があるとチームとしてまとまっていかないと思うので、スクラムの課題であったり、ラインアウトの課題であったりというのはあるとは思うのですが、どう直すかは試合の分析それぞれによって変わってくるので、そこはヘッドコーチが言ったように、けが人をどう戻すかというところが大事になってくるし、チームとしてどうまとまっていくかというのが大事なので、バイウィークはリフレッシュというところを今回はフォーカスしてやったと思います」

──試合によって波がある原因はどういうところにあると思いますか。

「ラグビーは15人で戦うスポーツで、一人ひとりの波がチームの波になってくると思います。15人がしっかり一貫性をもったプレーができるかどうかがチームの勝利にかかわってくると思います。それをしっかり月曜日から試合までの間に準備できるかどうか、メンタルを整えることができるかどうか、それがいまは課題になっています。それができると、自分たちのラグビーをしっかりできる。ただそれができなければできないというのが答えだと思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、ファウルア・マキシ キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「今シーズンに入ってからのベストな80分間だったと思います。特に今までは、後半で盛り返す展開が多かったのですが、この試合はそういうところもエンジョイできました。特にフォワードがコントロールするべきところをコントロールしてくれて、バックスはストライクだったり、アタックがうまくいったりというところでパフォーマンスにハッピーですし、バイウィーク明けとしていいスタートが切れたと思います」

──シーズンをとおして勝ち点を積み重ねるために、中長期的な準備で意識していることはなんでしょうか。

「まずはどれだけ試合をコントロールできるか。得点に変えられるか。3点であれトライであれ。得点からプレッシャーを掛けていく。そこが今日良かったところですし、やるべきことができて勝ち点も取ることができました」

──現状で課題があるとすればどこでしょうか。

「ベンチのインパクトプレーヤーたちでプレッシャーを掛けたかったところで、後半、スクラムでプレッシャーをマルコム・マークスやオペティ・ヘルが出て掛けられたのですが、そこからのプレーでやりたいことができなかったです。それをするのに10分ぐらいかかったので、そういったところが課題ではあります。ただ、全体としてターゲットを絞ってやること、基礎的なことはきっちりできていましたし、今日の試合に関してはお祝いできる試合というところですが、来週以降に向けて、イーグルスさんとの試合に向けてしっかりやっていきたいと思います」

──立ち上がりからセットピースとブレイクダウンは期待したとおりのパフォーマンスだったでしょうか。

「先ほどキャプテンが言っていたように、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)が手強い相手ということは分かっていました。コベルコ神戸スティーラーズに勝ったのも、ブレイクダウン絡みのターンオーバーからキックを使ってというところが彼らの脅威ですし、今日のアレンゼ選手も良かったです。ただ、そういったところのブレイクダウンのコントロールというところはできたし、キックゲームもストラクチャー化して自分たちがチャンスを作り、しかもそこのチャンスをモノにすることが今日はできたと思います」

──シーズン初めてのバイウィークは、どのような時間の使い方をして準備しましたか。

「先週に関しては、個人で必要なところを、クラブハウスに来てスキルのところをやる選手もいれば、練習をしている選手もいましたし、あとはメンタル的なところをリカバリーして、とにかくチームとしては活動していなかったので、グループだったり個人としてエネルギーの醸成だったり、自分たちのハングリーさを取り戻すような準備をしていました」

──スタンドオフの押川敦治選手に対する評価を教えてください。

「押川選手に関しては、みなさんご覧になって分かると思いますが、才能のある選手ですし、過去2シーズンはけがなどで活躍できなかったのですが、今シーズンの初試合までハードワークをして、今日も成長を見せてくれましたし、役割をしっかり遂行してくれました。そして勝ちにも貢献してくれました。特に試合のところで言うと、コントロール、特にキックのところでいいコントロールをしてくれたので、アタックの成功率も彼を絡めていい成功率でした。彼は能力があるのでエキサイティングな気持ちです」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
ファウルア・マキシ キャプテン

「相模原DBは昨季負けた相手なので、その悔しい思いがあって、今日、一人ひとりのベストを出せたかなと思います。(フラン・ルディケ)ヘッドコーチも言われましたが、いつも前半、自分たちはちょっとうまくいかなかったけれど、今日は入りを大事にしたことで前半が良くなり、後半にフィニッシュできていい結果になりました」

──今季初めて勝ち点5を取れた要因はなんでしょうか。また、この勝ち点5はどう今後に影響してくると思いますか。

「自分たちがやることをしっかりやって、いい準備ができたので、それをプランどおり出すだけです。自分たちにフォーカスして、今日はそれが結果にはつながったので、勝ち点を取れたことはポジティブです」

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