NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第5節
2025年2月2日(日)16:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 19-31 花園近鉄ライナーズ
キャプテンの長期離脱を乗り越えて。若いチームを支える二人の決意表明
「両チームが非常に拮抗した状態」
マリティノ・ネマニがそう振り返ったとおり、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)の一戦は、後半15分まで7対8と、どちらに勝敗が転んでもおかしくはない一進一退の攻防が繰り広げられていた。だが最終スコアは19対31。敗れたGR東葛は今季初の連敗を喫した。
GR東葛が流れを引き寄せるチャンスは何度もあった。2本のトライがTMOの結果、キャンセルとなり、勢いに乗り切れなかった感はあったものの、「敵陣まで入っていくためにハードワークを重ねましたが、そこで点が取れないことはこの先の大きな課題」とネマニがこの試合で発生したチームの問題点を指摘している。
同様に亀井亮依も、勝敗を分けた差を以下のように説明した。
「トライをもっと取れた場面は多かったと思う。ゲームの流れをいかに自分たちがもち続けられるか。ゲームの肝になるタイミングでラインアウトのミスやペナルティが多く、22mの奥まで入る場面は多かったんですが、そこでのポジションミスや判断ミスもありました」
ネマニは「今季は若い選手が多いシーズン」と言う。試合内容は悪くないが、勝負どころで流れを手繰り寄せることができないといった、そこには若いチームゆえに抱える課題があるのかもしれない。ただ、言い換えればそれはチームの“伸びシロ”でもある。この花園L戦でも、試合終盤には追い上げる意地も見せた。
試合前日の2月1日、GR東葛はキャプテンのニック・フィップスの離脱と、それに伴うチーム内の体制変更について発表している。そしてキャプテンにはネマニ、ディフェンスリーダーには亀井が新たに就任した。
「私の仕事は、若い選手が自信をもてるようにプレーすること。毎週末、実力を発揮できるように自信をもたせること。行動で示し、チームを引っ張っていく」(ネマニ)
「若い選手に寄り添えるようにやっていきます。立場的にも年齢的にも、チームをまとめなければいけない」(亀井)
試合後、決意表明とも取れる力強い言葉を発した二人。頼もしきチームリーダーに支えられながら、GR東葛はフィップスの長期離脱という困難を乗り越え、前へ進んでいく。
(鈴木潤)
NECグリーンロケッツ東葛
ECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ
「まずは残念な結果になり、この結果には満足していません。直近の試合の敗戦を取り戻したいということが最優先でした。ホストゲームでファンの皆さまの前でプレーができたことをうれしく思います。前半は非常に良いスタートを切れたと思っていますが、ストロングポイントである強いプレーができずに0対8で前半を終える形になりました。トライライン際でホールドアップされた形もあったので、若い選手にとってはそこが学びになったと思います。あとは(TMOでキャンセルになったが)左サイドでトライを取ったので、良いものは生み出せていました。ただ、花園近鉄ライナーズはわれわれの22mラインに入ってきたときに点を取って帰っていったというのが大きな違いだと思います。一つ述べると、マッチオフィシャルの判断には合意できかねるものがありました。ヘッド・オン・ヘッドのコンタクトでは、イエローカードかレッドカードが出るものだと思っていたので、当然だと思っていたものが出なかったことは述べるべき点だと思います。後半はペナルティの蓄積が大きかったです。あとは先ほどと同じように後半もチャンスを作り出すことはできていたのですが、ハンドリングのエラーや、行くべき方向とは逆方向に行ってしまうという判断ミスもあり、トライを取り切ることができませんでした。ディフェンスの観点でいうと、タックルで滑って仕留め切れないシーンがあり、特にこちら側で止め切れずにトライにつながったシーンがあったことも記憶しています。良かった点としては、選手たちが最後まであきらめずにできることを証明してくれたこと、その頑張りがあって最後にはいくつかトライを決めることができました。両チームのトライは3つずつだったんですが、ペナルティゴールの差が違いを生んだと思います。コーチ観点でまとめると、前回の試合よりは向上した点もあったのですが、満足のいかない結果になったと思います」
NECグリーンロケッツ東葛
マリティノ・ネマニ キャプテン
「前半は非常にタイトな、両チームが非常に拮抗した状態でしたが、こちらが規律で少し折られる形になりました。前半は敵陣でラグビーができたと感じています。ただ、規律が良くなかったせいで自陣まで押し戻されてしまいました。敵陣まで入っていくためにハードワークを重ねましたが、そこで点が取れないことはこの先の大きな課題だと思います。後半は選手たちも気合いを見せてくれました。後半からのポジティブな点を次の試合につなげていければと思います」
──けがで離脱したニック・フィップス選手に替わってキャプテンに就任されましたが、これからどうやってチームをまとめていこうと考えていますか。
「私はNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)に来て長くプレーしています。そこでは何度も新しい選手が加入し、チームを離れていく選手がいるということを見てきました。今季は若い選手が多いシーズンだと思っています。私の仕事は、その若い選手が自信をもてるようにプレーすること。毎週末、実力を発揮できるように自信をもたせることだと思っています。私自身はそこまで話はしませんが、どちらかというと行動で示し、チームを引っ張っていくタイプだと思っています」
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。GR東葛さんは非常に得点力のあるチームなので、やはり自陣で試合をしないということでプランニングを立ててゲームに臨みました。選手はそれを70分遂行して、確実に先手、先手で試合を運ぶことができて、今日は思ったとおりのゲームができたと思います。最後の10分については、もう少し付け入るスキを与えないようなゲームで、最後にトライを取って終わりたかったんですが、反省点も出つつ、勝ちながら反省点が出たということに関しては非常に良かったと思います」
──前節の試合後は守備の課題について話されていました。この試合に向けて準備期間ではどういうことを意識されて取り組んでいたのでしょうか。
「今までは高いタックルが多かったので、しっかり倒し切るタックルに変えたというより、みんなにその意識をもってもらいました。今までの高さよりも低いタックルで一人が一人を倒すというところからラックが始まるので、そういう意識を高めて今週はゲームに臨みました」
花園近鉄ライナーズ
野中翔平ゲームキャプテン
「いつも以上にチームとして一体感があったかなと。戦術や戦い方は向井さん(向井昭吾ヘッドコーチ)がおっしゃったとおりですけど、それ以外のところでのチームとしてのコネクション、自分たちのやるべきことの徹底、声掛け、すべて今シーズンのベストだったと思います。これをしっかりベースラインにして、これから連勝できるように、また目の前の1試合、1試合に積み上げていきたいと思います。ありがとうございました」
──どちらに試合の流れが向いてもおかしくはない時間帯がありましたが、そこで耐え切れたのは何が要因だったでしょうか。
「今までは足りていないところ、できていないところが、どのチームとの対戦でも数え切れないほどあって、その中で自分たちの大事にしているものが見えなかったと言うのが前節まででした。今回の試合はシンプルにタックルで倒し切る、それを僕たちはフィジカリティーという言葉で表現しています。スキルのミスはどのレベルでもあることですが、(相手にボールを)蹴られたときにスプリントをして戻るとか、努力でなんとか補える部分は徹底してやろうという話をしていて、目に見えてお互いに頑張ろうという会話ができていたので、ターゲットを絞ったことによって明確に行動に移せたと思います」