NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第6節
2025年2月22日(土)12:00 ベネックス総合運動公園 かきどまり陸上競技場 (長崎県)
九州電力キューデンヴォルテクス 12-39 花園近鉄ライナーズ
怒涛の3連勝でついに白星先行。復帰したキャプテンが背中でチームをつなぐ

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)は九州電力キューデンヴォルテクスとのビジターゲームを39対12で制し、3連勝を達成。開幕3戦勝ちなしの状況から盛り返し、ついに白星が先行した。
花園Lに頼もしきリーダーが帰ってきた。今季のキャプテンを務めるパトリック・タファが長いリハビリを経て、今季初出場を果たした。
「チームがなかなかうまくいっていない姿を見ることもありましたが、自分には何もできない。その状況は辛かった」
けがの影響でチーム練習を外から眺める日々。自らを「プレーでみんなを引っ張るタイプ」と語るタファにとってそれが叶わない時期は本当に辛いものだった。しかし、それでもキャプテンという責務が自らを奮い立たせてくれた。
「オフフィールドでもできることに集中してチームをリードしていこうと思っていました。ロッカールームの中、練習中、外から声を掛ける。たくさん声を出してポジティブなインパクトをチームに与えたいと思ってリーダーとして行動してきました」
チームは開幕3試合未勝利の状況から抜け出し、2連勝を達成。その直後のタイミングでタファは戦列へと復帰した。誰よりも自らが望んでいた「プレーでみんなを引っ張る」ことができる舞台へ戻ってきた。その姿に向井昭吾ヘッドコーチも「彼の背中を見てみんながつながっていくことができていた」と賛辞を惜しまなかった。
1年でのディビジョン1復帰を目指すチームにとって上位2チームを追撃するにはとにかく勝ち続けるしかない。帰ってきたキャプテンはその言葉に決意をにじませる。
「メンタルを落とさずにチャレンジし続けることが重要だと思います。スタンダードをこれ以上、下げてはいけない。ほかのチームにとって脅威となるようなチームであり続けなければいけないし、そのためには努力をし続けることが必要です」
その模範となるキャプテンが戻ってきたことは花園Lにとって大きな力になることは間違いない。「キャプテンでいられることは本当に幸せ」と喜びを語ったタファだが、チームメート、そして、ファンは彼がキャプテンでいてくれることをきっと喜んでいるはずだ。
(杉山文宣)
九州電力キューデンヴォルテクス
九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ
「本日は強風の中、準備してくださった方々にお礼を申し上げたいと思います。本当に素晴らしいグラウンドで、ホストエリアである九州の地、長崎の地で、いまチームとしても勢いがある中で自信をもってここに来たのですが、ライナーズのみなさんに良いパフォーマンスを見せられてしまったかなという印象です。ペナルティが多かったこと、ブレイクダウンで後手に回ってしまったことでこういう結果になってしまったのかなと思っています。ただ、しっかりやってきたことをもう一度、見つめ直して自分たちのラグビーをやっていくところにフォーカスして、また来週、良い準備をして次節に挑みたいと思います」
──対花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)ということでフォーカスして準備してきた部分とその点についての評価を教えてください
「最初の20分がすごく大事だという話はしました。スタッツを見ると最初の20分でライナーズさんがトライを重ねているという傾向が今季はあったので、まずはそこでしっかり我慢すること。相手のアタックをディフェンスで我慢しながら対応して、ボールを奪ってこちらがスコアするという狙いがありました。そこに関して前半はよくできていましたし、前半20分時点ではたぶん、7対0だったと思うのですが、そこから自分たちのエラー、それからミスで相手に流れを渡してしまったかなという印象です。自分たちはディフェンスを強みにしているので、向こうのアタックをしっかりディフェンスでしのぐことができれば自分たちにチャンスが来ると思っていましたが、相手の勢いを止め切れなかったところもありましたし、また、止めて自分たちがボールを持ったときに継続できなかった。そこはフォーカスしていたのにできなかった部分だと思います」
九州電力キューデンヴォルテクス
ウォーカー アレックス拓也キャプテン
「まずはこの試合を開催するにあたってご尽力していただきました関係者のみなさま、本当にありがとうございました。先ほど、今村ヘッドコーチからありましたように自分たちはレッドハリケーンズ大阪さんに勝利して勢いはあったと思いますが、相手のブレイクダウンでのフィジカリティーと全体的にキャリーもそうですが、(相手の)フィジカリティーが高い中で少し、後手に回ってしまって最後まで踏ん張り切れなかったという印象があります」
──おっしゃるようにブレイクダウンではかなり苦しんだと思います。昨季、ディビジョン1を戦った花園Lの強度を体験して今後、どういうふうに生かしていきたいと考えていますか。
「うまくいった部分もありますし、1on1の部分だとしっかり勝てたところもあったので、そこは自信をもっていいのかなと思います。ただ、寄りの部分と言いますか、相手が一人ではなく二人で来たときにやられてしまう場面がありましたし、自分たちは今週、“Body Hight“ということで姿勢を低くしようと話をしてきました。ですが、どうしてもそこで相手に(体を)浮かされてしまってボールを奪われてしまいました。そこでの一人目の姿勢の低さもそうですし、二人目、3人目の寄りを練習中からもっとシビアにやっていかないといけないなと思いました。試合後もそういうトークはしっかりできたので、次の試合に向けて意識して取り組んでいきたいと思います」
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。私としては久しぶりにこのグラウンドに帰ってきて、相変わらず風が強いグラウンドだなと思いました(苦笑)。
今日はエリア(マネジメント)とフィジカルで絶対に負けないというところをターゲットにしてきて、それを選手たちも体現してくれました。やっとキャプテンが戻ってきたので、そのパワーをもらいながら選手一人ひとりが“小さな勝ち”に対してチャレンジしてくれたことでこういうゲームになったかなと思います。この勢いをもって次のゲームに向かっていきたいと思っています」
──これで3連勝となり、白星も先行しました。開幕3試合は思うような結果を得られていませんでしたが、当時といまを比較して何が違うのでしょうか。
「しっかり敵陣で戦えているというか自分たちのプランニングしたところでゲームができるようになってきたというのが一番違うところかなと思います。今季はどこからでも攻める、“ALL ATTACK”を掲げていますが、自陣のトライゾーン(インゴール)から攻めてトライを取れるわけではないので。やっぱり、適切なエリアでアタックができているということ。それを選手たち一人ひとりが理解して全員がセイムページを見てゲームができているのが変わってきたところかなと思っています」
──パトリック・タファ選手が負傷から復帰しました。彼のパフォーマンスの評価とキャプテンが戻ってきたことによるチームの影響についてはどう感じられましたか。
「キャプテンをやってもらっていますが、彼は体で示すタイプのキャプテンですし、今日のプレーぶりもそうでした。アタック、ディフェンス、ボールキャリーと彼の背中を見てみんながつながっていくことができていたと思います。そこは私にしてもすごく頼もしいというかエネルギーになる選手が戻ってきたなと思っています」
花園近鉄ライナーズ
パトリック・タファ キャプテン
「今週はゲームプランをもって取り組んできたのですが、そのゲームプランどおりに選手たちが役割を実行してくれたことに満足しています。そのテーマというのはエフォートとフィジカリティー、努力と体をぶつけていくことです。簡単なゲームにならないのは分かっていました。ただ、選手たちはハードワークして一生懸命に頑張ってくれました。この勢いを次の試合につなげていきたいと思います。ここ数試合は勝つことができていますが、まだまだチームとして改善しなければならないことはたくさんあると思っています。そこについても引き続き、取り組んでいきたいと思っています」
──けがとリハビリは選手にとって辛いものだと思いますが、その期間についてどんな思いで乗り越えてこられたのでしょうか。
「リーダーとして常にポジティブなメッセージ、雰囲気をチームに伝えたいと思って取り組んできました。確かにリハビリを始めてからしばらくの期間は辛かったです。サイドラインからチームがなかなかうまくいっていない姿を見ることもありましたが、自分には何もできない。その状況が辛かったです。ただ、オフフィールドでもできることに集中してチームをリードしていこうと思っていました。ロッカールームの中、練習中、外から声を掛ける。たくさん声を出してポジティブなインパクトをチームに与えたいと思ってリーダーとして行動してきました。私自身はプレーでみんなを引っ張るタイプです。なので、それが叶わなかった時期になりましたが、私以外にもこのチームには素晴らしい選手たちがいます。彼らがチームを引っ張ってくれていましたし、そんな彼らのキャプテンでいられるのは本当に幸せなことだなと思っています」
──復帰できた喜びもあったと思いますが、自身のパフォーマンスについてはどんな感触だったのでしょうか。
「試合も久しぶりでしたし、80分プレーするのも久しぶりでした。もちろん、キャプテンとしてもイチ選手としてもまだまだ改善しなければいけないところ、成長しなければいけないところはありますが、この試合に対しては自分の強みを出そうと意識して臨みました。私自身の強みはボールキャリーとフィジカリティーです。そこを発揮してチームを引っ張っていこうと考えていました。これからまだまだ成長していきたいですし、学ばなければならないことはあると思いますが、自分自身のパフォーマンスについては自分の強みは出せたかなと思っています」
──1年でのディビジョン1復帰のためにこれから必要になってくることはどんなことだと考えていますか。
「D1に戻るためにはこの勢いを継続して、勝利を重ねていくことが必要だと思います。そのためにはメンタルを落とさずにチャレンジし続けることが重要だと思います。スタンダードをこれ以上、下げてはいけない。ほかのチームにとって脅威となるようなチームであり続けなければいけないし、そのためには努力をし続けることが必要です。ただ、D1に戻れるだけの努力をこのチームはできるという自信はあります。引き続き、一生懸命にハードワークをしてD1に戻りたいと思います」