2025.03.15NTTリーグワン2024-25 D1 第11節レポート(浦安DR 22-33 S東京ベイ)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2025年3月14日(金)19:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
浦安D-Rocks 22-33 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

その強さを知っているからこそ。同じ景色を浦安DRでも見るために古巣戦で新たにした思い

今シーズン、対戦相手のクボタスピアーズ船橋・東京ベイから浦安D-Rocksに移籍、ヘル ウヴェ選手

ホストチームの浦安D-Rocks(以下、浦安DR)にとっては悔しい逆転負けとなった。後半4分まで22対0と大きくリードしながらも、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)の大反撃にあい、終わってみれば22対33で敗戦。14,056人が集まった秩父宮ラグビー場で今季2勝目とはならなかった。

「勝ちたかった。前半を終えて『これはイケるな』と思ったけど、S東京ベイの強さは覚えている。後半に大きいフォワードを入れてきてエナジーを出してくるのはS東京ベイのいつもの作戦。僕たちにとっては悔しいけど、いい勉強になりました」

この言葉の主はヘル ウヴェ。今季、S東京ベイから浦安DRに加わり、この試合を古巣戦として迎えた男は、清々しい表情ながらも、奥歯をかみ締めるように素直な思いを吐き出した。

当然、気合いは入っていた。バイウィークを挟んで迎えた今節に向けて「自分の中では一番楽しみにしている試合であり、一番負けたくない試合だったから、練習も準備も(これまでで)一番完璧にできたと思った」。その言葉どおり、チームとして圧倒した前半はハードワークでもフィジカルでも上回り、一昨季の王者を土俵際まで追い詰めた。だからこそ、今回の敗戦はなおさら悔しかった。

それでも、古巣との対戦でうれしかったこともあった。後半12分にグラウンドを去る際、両チームのファンから注がれた大きな拍手を聞き、「(S東京ベイでは)チャンピオンにもなれたし、オレンジアーミー(S東京ベイのファンの愛称)はいつも優しい。それにチームメートとはいまも仲良し。試合中は友だちじゃないから自分の仕事をしっかりとやるけど、試合後はハグをしたよ」。

試合後、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのハラトア・ヴァイレア選手と

そして何より、多くの学びがあった試合となった。S東京ベイで見た景色を浦安DRでも見るためにやらないといけないことはまだまだ多いが、このチームには大きなポテンシャルを感じている。

「試合は40分じゃなくて80分。いい時間もよくない時間もあるけど、みんなで同じページを見て80分を戦えるようにしたい。D-Rocksには若くていい選手がいっぱいいるので、僕ももっとこのチームのことを勉強しながら経験を伝えていき、チームとしての経験値を上げていきたい」

浦安D-Rocksのヘル ウヴェはそう言って、笑顔でスタジアムをあとにした。

(須賀大輔)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのグレイグ・レイドロー ヘッドコーチ(左)、藤村琉士ゲームキャプテン

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ

「まずは『deleteCマッチ』としてたくさんの募金をいただき、がんに対するアライアンスを高めようということでクラブのマーケティングチームを含めて、ご協力いただいたみなさんに感謝したいと思います。

試合に関しては、俗に言う、前後半で(評価の)分かれる試合でした。前半は良かったですけど、後半は良くなくて負けてしまった。それだけです」

──敗れてはしまいましたが、前半の戦いぶりは評価していますか。

「前半のようなラグビーが、完璧とまではいかないですけど、自分たちが目指している理想に近いラグビーでした。ただ、質の高いチーム相手にはそう簡単にチャンスはもらえないので、その中で相手がうまく対抗してきたときにどうやって勝ち筋を見つけるか。後半はそれをできずに30点(実際は33点)取られてしまったので、そこを修正して勝てるチームになっていきたいと思います。それができれば本当にいいチームになれると思います」

──前半と後半で試合内容が変わってしまった大きな理由はどのように感じていますか。

「いいアタックができていたので、アタックに目がいくと思いますが、前半に一番良かったのはディフェンスだと捉えています。コリジョンエリア、衝突に勝つことでブレイクダウンを遅らせることができていたと思います。後半はそこがうまくいかなくなってしまいました。そうやってうまくいかなくなってきたときに、もっとキックをうまく使うとか、そういう(フィールド)中盤での戦いをもっとうまくできるところもあると思っています」

浦安D-Rocks
藤村琉士ゲームキャプテン

「今日、『deleteCマッチ』にたくさんの方に来ていただきありがとうございます。試合のほうは、ヘッドコーチも言ったとおり、前半はすごくいい入りができたんですけど、後半は負けてしまいました」

──後半、クボタスピアーズ船橋・東京ベイが力のあるリザーブメンバーを投入してきましたが、やはり対抗は難しかったのでしょうか。

「対抗はできます。ただ、もう一段階(ギアを)上げていかないといけないと思いました」

──対抗はできるけど、もう一つギアを上げないといけないとは、具体的にどういうことでしょうか。

「いいチームは80分間素晴らしいパフォーマンスができるチーム。後半も変わらずにやらないといけないので、自分たちはもう一段階上げないといけなかったかなと思います」

──マルコム・マークス選手が入ってきてから、スクラムにどのような変化がありましたか。

「彼はすごくいいプレーヤーですし、すごく強かったです。フォワード全体的にエナジーが出ていました。ただ、彼(一人)が、ではなくて、全員でエナジーを出してやってきていたので、僕たちも見習わないといけないと思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、バーナード・フォーリー ゲームキャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「本当に『なんていう試合なんだ』という試合で、前後半をとおして、ファンの方々にはエキサイティングなラグビーを観ていただけたと思います。自分たちはハーフタイムに修正して、冷静にやるべきことをやったので、ひっくり返すことができたと思います。内容としては、小さなことを確実にやったこと、ベーシックなことを確実にやったことでこの結果につながったと思います。そこは選手たちを褒めたいと思います。後半40分はしっかりとチャンスを作って、そのチャンスをモノにしてくれた。どれだけ自分たちのプロセスを信頼して、やるべきことをできるのか。それをできて勝てたことをしっかりとお祝いしたいと思います」

──今日の試合とは直接関係ないかもしれないですが、リーグワン全体をとおして、TMOが多いように感じるのですが、どういう印象をもっていますか。

「二つの見方、両面があると思います。それがスコアやトライの場面であれば、自分たちにとってはいい結果だと思います。ただ、ファンや選手たちからすれば(ゲームが)ストップしている時間が長いので、そこの判断のところをもう少し早くできればいいのかもしれないですけど、時間を掛ける中でもちろん正しいコールはしてもらいたいです。ただ、大事な局面でTMOの方も最終決定をしていると思うので……。そういう二つの思いですかね」

──ハーフタイムにマルコム・マークス選手とオペティ・ヘル選手を投入しましたが、予定どおりだったのでしょうか。

「基本的には、普段は後半10分ごろに投入するんですけど、パワーやドミネートするところが必要でしたし、前半はプレッシャーを掛け切れなかったところで早めの投入になりました。また、先ほど、(バーナード)フォーリー選手も言っていたようにワイドのところでもいろいろとやられていたのでそういう理由もあります。彼らが入ってからは実際に(試合も)動きましたし、トライも取れました。そこからリズムが出て、瞬間、瞬間で勝っていくことができました」

──負傷交替した木田晴斗選手の状態を教えてください。

「ハムストリングのけがと聞いていますけど、いまは分からない状態なので、週明けの月曜日に確実に分かると思います。彼はフィニッシャーとして重要な選手なので、大事に至らなければいいですけど」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
バーナード・フォーリー ゲームキャプテン

「D-Rocksは前半すごくプレッシャーを掛けてきましたし、彼らも称賛されるべきです。特にワイドからワイドにボールを動かしていいトライもありましたし、プレッシャーを掛けられました。それはこのリーグのレベルの高さを物語っていますし、本当にラクな試合はない、競争の激しいリーグですし、一度、スイッチが切れてしまうと前半のような形になってしまいます。このチームのエフォート(努力)に誇りをもっていますし、後半に逆転できたこと、あの前半から挽回できたことは本当に誇りに思っています」

──前半を終えて15点のビハインドはプレッシャーになっていましたか。

「前半、プレッシャーは確実にありました。どんな試合でも失点はしたくない、点数は取られたくない中でD-Rocksさんのアタックはすごかったです。プレッシャーもすごくていいトライもありました。毎週、自分たちも改善できるところは改善していかないと難しいリーグになっていると思うので、引き続きやっていきたいと思います」

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